吸血鬼と吸血鬼殺し。【アリスサークル】ⅱ
- カテゴリ:自作小説
- 2012/10/07 12:18:43
――――なにもない。暗闇。
ただただ真っ黒で、黒一色で塗りつぶされたこの場所は、
"わたし"と"あの子【フラン】"の夢の中。
一つの身体に二人で住む私たちは、夢の中で逢うことが出来る。
いつもくだらない話をして、一緒に笑って、
森であったことを教えてあげたり、小さい頃のことを訊かせてもらったり、
仲がよかった。
ハズだった。
私が二年前のあの日、初めて人を殺してしまってから。
あの子は夢の中から出てくるようになってしまった。
目を醒まさせてしまった。
ずっと忘れていた血の匂いを思い出させてしまった。
のどの渇きを、たえがたい衝動を、思い出させてしまった。
「 お前のせいだ 」
血に餓えて、苦しそうに咳き込みながら、あの子は二年前のあの日からいつも、
一日も欠かす事無く私をそうやって呪った。嗤った。
濁った紅い瞳が私を見て、
ただひたすら、同じことを繰り返してあの子は苦しみ続ける。
早く出してあげれば。
私が私で居ることを止めさえすれば。
あの子は今すぐにでも私という存在を喰い潰して苦しみから解放される。
でもそんなことをしたら、
私は、私の大切な人たちをきっと悲しませてしまう。
それに、あの子はきっともう、
見境無くみんなを襲うただの化け物になってしまっている。
そんなの駄目だ。
そうして煮え切らないまま毎日毎日、自然とそのことを考えるのを避けて、
夜になって夢を見て思い出す。
「 オ前ノせいダ 」
そしてアリヒェンにトドメを刺された。
もう時間が無いと、ようやく気づいてから。
闇の中で、嘘みたいに真っ赤に輝く液体がぽたぽた。ぽたぽたと。
病的なまでに白い、白い手首から、腕を伝って。
赤い、紅い水溜りを作る。
やめて、やめてと叫ぶ私に。
あの子は笑いながら、自分の手首に牙を立てて、自分の血を吸っていた。
満たされない渇き。
そんなものが、自分の血なんかで、埋まるわけない。
でも、もう我慢できない。
やめて、やめてと私は泣き叫びながら、
目を覚ました。
夢の余韻に酔って、しばらく呆然としていた。
ふと気づくと左手首が痛いような気がして、見たら、手の平まで真っ赤に染まっていた。
手首の内側に開いた二つの穴から、熱い赤が、鼓動に合わせてどくどくと溢れていた。
急いで洗面所に行った。
洗っても洗っても落ちない赤は、私の視界まで侵して、
とうとう私を狂わせた。
もう赤は落ちているはずなのに、手首が気になって仕方が無かった。
これでもかというほどきつく、きつく包帯を巻いた。
決して肌が見えないように、指先まで丹念に、神経質に、ぐるぐるぐるぐると、
きつく包帯で隠した。
一人で居ると包帯を取って手首を洗いたくなるから、
森に行ってみんなと話しながら忘れることにした。
こんなときちゃんと右手があれば、
何かものを取ったり触ったりするときに左手を見ずに済んだのに、
ことあるごとに気にしてしまって、極力みんなから離れることにした。
でも一人じゃ怖かった。
ああ、手首についた赤い、赤い血が、落ちない
いつまで自分をごまかして、だまして、笑っていられるか心配だった。
怖かった。
今にあの子が出てきてしまって、
大切な人たちを壊してしまいそうで――――
__ダれか、タすケテ
*****
おしまい。
タイムリミットは一応テスト明けを予定にしてます、えへ!爆
手についた血が落ちないとか…ありがちな感じですが…もうちょっと病的で……←
あとで読み返したら赤い字に目がチカチカしましたけどね✩ty
文章書くのが面倒で心境を連ねてっただけなんです。ry
なんか切ないし悲しいです・・・。
見てたら左手を気にしちゃいましたよ!(((
文字の色がなんかすっごくリアリティ溢れるカンジで←
やっぱ糾蝶さんはすごいです!
おっ!あざまーす!ry
一番の救いはさっさとアリヒェンが【フラン】を殺しちゃうことだけど……
【わたし】がきっと引きずるっていう。
してあげてください。w
なるべく思い出させないように
前には二人狩ってそれぞれに、それこそ色々とあり……
今回も責任重大で……私のせいか……←爆ぜろ
シュバッと1から見てきました。
ずっと助けを求めてるフランちゃんに救いは!救いはないですか・・・
もうぎゅってしてあげたいです。みんな側にいるよってなでなでしてあげた・・・グズッ(´;ω;`)
アリヒェンも吸血鬼殺しになって・・・色々あったと思うとorz