Nicotto Town


安寿の仮初めブログ


安寿が行く… コペンハーゲン街歩き その2



さて、また街中へと戻り、ローゼンボー離宮へ。
ここは公園の中にあるお城が、
そのまま歴代のデンマーク王、特に絶対王政の頃の宝物館になっているところ。
コペンハーゲンカードを使うと、入場無料です。

チケット売り場で、入場チケットをもらい、
そしてカバンをロッカーに入れるように指示されます。
城の中の装飾や展示品を盗まれないようにするためみたいです。

入口に日本語パンフレットもあったので、
それを見ながら各部屋を廻ります。

まず、最初に思ったこと。
お城の中は薄暗い。
窓があっても、薄暗いなあ~。

これではせっかくの財宝も肖像画も薄暗い中で見ることになり、
その価値が半減してしまうではないですか。

そして、次に思ったこと。
絶対王政の頃の王様って、コレクションの趣味が悪い。

私に言わせれば、装飾過多。
片っ端から綺麗なものを集めて、ごたごたと飾り立てている感じ。
これは、がらくたが詰まった子どものおもちゃ箱を覗いている感じです。
しかも薄暗いから、美しさ半減。

まあ、この頃の王様って、見栄張りですからね。
それにしても趣味悪いなあ~。

一番上の3階が大広間になっていて、
王と王妃の玉座があり、
その前に三頭のライオン像があります。

この大広間で、夜に様々な祝宴などが行われたのだと思いますが、
蝋燭の光だけでは、やはり薄暗かっただろうなあ。
昼間、窓の外からの明かりがある時に行っても、そう思うんだもの。

むしろ私のお気に入りは、
王族の部屋の片隅にあったトイレ。
なるほど~、王も王妃もここで…  ☆\(ーーメ

しかし、これしかトイレがなかったのかしら。
祝宴や舞踏会の時、数が少なくって、長い列ができていたのかも…

安寿の妄想は留まるところを知りません。

さて、上の宮殿を見た後は、
地下室の宝物館へ。

ここには王の冠や王の剣などが展示されています。
でも、私の感覚からすると、何か造りがちゃちいんですよね。 ☆\(ーーメ
素人がセメダインで貼り付けて作りました、という感じ。
こちらの職人は、はっきり言って、造りが雑。
とりあえず、豪華なものを貼り付けておけばいいんだろう、という感じで、
配置のバランスや微妙な傾きまで配慮が行き届いていません。

その点から言えば、
西欧の絶対君主たちが、
中国や日本の陶器や漆器をコレクションしたがったのはわかる気がします。

でも、しばらくしたら、
さっき人魚の像で見かけた日本人団体観光客が入って来て、
「きれい」「おおお~、すげぇ~」と賞嘆の声。

安寿は、日本人でない振りをして、宮殿を後にしました…。


さて、ローゼンボー離宮を見終わって、
今度は、現在のデンマーク王室が暮らすアメリエンボー宮殿へと向かいます。
ここは正午に衛兵の交替式が行われるのですが、
その交代要員がローゼンボー離宮からちょうど出発したので、彼らの先回りをします。

ですが、この衛兵交替式も実に地味。

アジアの国で見た衛兵交替式は、
良くも悪くもエンターテイメント化してまして、
台北でもシンガポールでも、
異様に形式張り、
かつアクロバティックな動作が多いのです。

はっきり言って、
衛兵本来の役割を外れて、
儀式を突き抜け、
曲芸となっています。

本末転倒なんですが、
しかし観光客にとっては、なんか見物を見たという気分になれます。

ところが、デンマークの衛兵交替式は、実に実務的。
音楽を奏でるぐらいですかね、装飾的なところは。

その代わり、実務的だから、しっかり警備しています。
私が背後から衛兵の写真を撮ろうとしたら、
衛兵が「私のうしろに廻るな、前へ立て」と手で合図するではないですか。

おおお~、ゴルゴ13みたいだ…  ☆\(ーーメ

さて、その後、アメリエンボー宮殿の博物館に入ります。
もちろんここも「コペンハーゲン・カード」のおかげでタダ。
ここは20世紀、
つまり現代のデンマーク王室の暮らしぶりを紹介した展示室です。

歴代の王や皇太子の執務室などを見て回ることができます。
その点から言えば、日本の皇室よりも遙かに開かれた王室なのです。

でも…、ああ…、これは王族の遺伝なのだろうか…、
コレクションの趣味が悪い。
というか、何でもかんでもコレクションしてしまうその感性が悪趣味。

例えば、先々代ぐらいの国王の執務室に入ると、
机の上や本棚の棚には、一族の写真がびっしりと並べられています。
まあ、王が王たる由縁は、血統以外何もないのですから、
血筋を確認するものを並べたい気持ちもわからなくはないですが、
大きな机の上、おそらく50以上のポートレートを前にして、
仕事ができる神経が私にはわかりません。

かと思えば、次の部屋は、パイプのコレクション。
私に言わせれば、お気に入りのパイプを一本か二本、
大切に使うのか真の愛煙家なのではないかと思うのですが、
王様たちは何十本も集めてしまい、
それをこれ見よがしに展示しているのです。

驕奢ということは、
こういう無駄な自己顕示欲のことなんだろうなあ… ☆\(ーーメ

というわけで、アメリエンボー宮殿で、
デンマーク王室の趣味の悪さを確認した後、  ☆\(ーーメ
次に、昨日通ったニューハウンを経由して、
クリスチャンボー宮殿へと向かいます。

ここは現在のデンマーク国会があり、
国家的な行事が実際に行なわれている宮殿です。
「コペンハーゲン・カード」利用で無料です。

ここは良い感じです。
なぜなら、ここには王室が住んでいません。
加えて、実務に用いられるため、部屋の中に何もありません。
そして、各部屋が、それぞれ異なった趣で、
 例えばギリシャ彫刻のレリーフが施されていたり、
 例えば現代絵画風のタペストリーで壁が覆われていたり、
 緑を基調にした部屋、ピンクを基調にした部屋。
 しかし、室内に不必要な家具調度はほとんどない。
  そして、観光客が少ない。
こういう空間はとても落ち着きます。
私一人で、長い時間一つの部屋にたたずんでいることができます。

こういう場所で、
重い扉の向こうから、
執事が私のために午後の紅茶を持ってきてくれる…

そして、執事は幻のように壁の向こうへと消え去り、
しかし、それに驚くこともなく、
私は一人、ひんやりした空間と時間を過ごしていく。

  …ええなあ~… ☆\(ーーメ


まだ続く…




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