”とら”と出会ったのは、1996年9月のことでした。
その日はまるで台風みたいな暴風雨が吹き荒れた日で、
わたしは当時つきあっていた彼に勤め先まで車でお迎えを頼んだのでした。
その頃には雨はあがっていましたが、風は生暖かく
いまだびゅうびゅうと吹いていたのでした。

車に乗って帰る途中、その彼が言いました。
「さっき来る時、この先の道路わきで仔猫が歩いてるのを見たよ。」
ええ〜っ、こんな風の強い日なのに...
車にはねられたりしたら可哀想だねって話しながら、
彼が「この辺だよ」って言う辺りを懸命に車の中から見ても暗くて何も見えません。

「ちょっと停めて探してみようよ。」と言って車を路肩に停めてもらいました。
（この時点では気になるってだけで、猫を飼う気持ちはありませんでした。）
暗がりを2人で探しても、仔猫の姿は見つかりません。

「もう、どこかに行っちゃったのかもね...。」
そう言ってあきらめようと思ったその時、道路わきの植え込みの中から
微かに鳴き声が聞こえた様な気がしました。
目をこらして良く見ると、そこには小さな小さな片手に乗るぐらいの仔猫が
そっとこちらの様子をうかがっていたのでした。

おいで、と手を差し伸べても、仔猫は警戒して寄ってきません。
その場にしゃがみ込んで呼び続けると、
仔猫は「いじめる？いじめない？いじめないの？」と迷っている様で
一歩進んでは後戻り、また一歩進んでは戻り。。。
いじめられるかもしれない恐怖と、誰かに甘えたい欲求のはざまで葛藤している様でした。

「いじめないよ〜。いじめないから、こっちにおいで〜。」
根気づよく呼びかけ続けると、仔猫はようやく踏ん切りがついたのか
おずおずと近寄って来て、そしてやっぱりいじめられないのだ！と分かった瞬間、
しゃがみこんでいるわたしの膝にぴょこん！と飛び乗って来たのでした。
「くはぁ〜〜っ！もう置いてけないよ〜〜〜！！こんちくしょ〜！（激萌え〜！）」

この状況でこの猫を置いて帰る人間は　ひとでなしに違いないよね、などと話しながら
仔猫はそのままわたしの膝に乗った状態で、初めてのドライブを経験したのでした。
安心したのか、車の中なのにぺったりとわたしの膝にくっ付いてすやすやと
幸せそうに寝ている仔猫はちょっと大物になりそうな予感がしていました。

後日、何かの拍子にわたしがとらに向かって物を投げるそぶりをした時
異常な程ビクッッ！っとして身を守る体勢になったのを見て
「ああ、きっとこうして誰かに石を投げられた事があるのだな...。」と
とても不憫に思った事があります。
あの時、呼んでいるわたしに近づいて来る事は
この子にとってどんなに勇気の必要なことだったのか、と思うと
とらのことが、愛おしくて、愛おしくて...
そして、ついつい甘やかして育ててしまったのでした。(;^_^A

(2005年4月22日ソネットブログにて掲載分を再掲しました)
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リクエストがあったので、16年前の愛猫とらとの出会いの様子を紹介しました♪
ちなみに保護直後のらぶりぃ❤なお写真は
こちらからご覧いただけます♪→http://onekochan.blog.so-net.ne.jp/2005-04-23