Nicotto Town


小説日記。


ガラスの瞳は何も映さない。【短編】ⅰ



 …その日はなんだか早起きしたくて、7時に起きた。
 せっかくの日曜日なのに俺もご苦労なことだ。
 ケータイのアラームのおかげでたいへんスムーズに起床した。
 少しだけ肌寒くなってきたのでかぶった毛布からのそのそと這い出して、
 身体中の関節をバキバキ言わせて伸びをする。

 ちなみに――いまどき畳に布団が敷かれた俺の部屋は北に枕を向け、
 枕のほうが庭に面し、足と、仰向けに寝ると右手のほうが廊下に面している。

 枕をまたいで歩き出すと、
 思いきり母親の趣味の淡い桃色のバラ模様のカーテンを荒っぽく開けた。
 レースのカーテン越しに瞳に突き刺さる眩い朝陽――…と思いきや、
 これでもかというほどの灰色の曇天が俺に重い朝をくれた。
 今に雨でも降り出すのだろう、9月下旬の午後5時ごろくらいの空の色をしていた。
 気が抜けたらあくびの衝動が俺に大口を開けさせ、ふわあああ、とだらしなくあくびをもらす。
 晴れていたら散歩にでも行こうかなんて
 両親が知ったら槍の雨でも降ってきそうなことを考えていたのだが、仕方が無い。
 朝っぱらだろうと関係ない、ネットサーフィンをやらせてもらおう。

 ――コミュ障ヒキニートだ、何が悪い。

 退屈な灰色の雲を白いレースのカーテン越しにぼんやりと見上げながらそこまで思考を巡らせると、
 俺は踵を返そうとして右に身体を反転させた。
 …そしてそれは映り込んだ。
 俺の視界に、我が物顔で。

 それほど広くもない庭は一面に芝生が敷かれ、手入れがされた花壇に4、5本牡丹の木が植えられている。
 花壇は長方形のような形をした庭の縦の辺に造られ、
 俺の向かいの横の辺には、特に何もなかった。
 庭を縦に割るように不揃いな円形の石が玄関にまで並べられている以外に、
 なんの芸も無い退屈な庭先に―――


 "そいつ"は立っていたのだ。


 俺のなんの変哲も無い、そこらに落ちてる石ころみたいに
 平凡な男子高校生(2年生)味気の無い日常をあっさり壊してくれやがった"そいつ"は、



 緩いウェーブのかかった銀色のセミロングの髪をしていた。
 白を基調とした淡い桃色のフリルで飾られた膝丈の着物を着ていた。
 邪魔っけな赤い帯が引きずるほど長いテールリボンになっていて、
 白いニーハイと桃色の鼻緒の黒い下駄を履いていた。
 生きていることさえ疑いたくなるほど真っ白な肌と、
 恐ろしいくらいに整った顔立ちをした150cmくらいの女だった。
 人形みたいだ、と思った。

 口にくわえた水色と白のマーブル模様のペロペロキャンディーが
 いやに子供っぽくて目を引いたけど、
 背中に、明らかに身長を越している水色の輝きを放つ大剣が
 抜き身のままベルトでかけられているアホなほどファンタジーな光景に一瞬怯んだ。
 でも、その左腰に提げられている黒くて細長い筒は明らかに刀とかの鞘に見えて、
 なんでか唯一現実味を持っていた気がした。


 無表情で無機質な顔は、瞳はじっと穴が開くほど
 レースのカーテン越しの俺だけを見つめていた。
 俺は動けなかった。
 夢が現実に浸食してきたな俺もそろそろ夢と現実の区別がつかなくなってきた
 どうしようもない末期だとか頭の片隅で考えてたからだ。


 そいつのガラスみたいな漆黒の瞳になんにも、映ってなかったからだ。




****



――新しいオリキャラにはまた無言系女子を作りたい。

…あれ?これって続くの?
思いつきなので十中八九ⅱは書かないだろうけどあんまりにもな展開だから一応ⅰにしときますってだけ。



電子ウイルス的なものに侵食されたサイバーな近未来で戦う少年少女が
とあるソフトでランダムに作られたペアの相棒(アンドロイド)と一緒に戦う
ぶっとんだSFファンタジーをサークルか小説にしてみたい野望…


アバター
2012/09/23 14:44
>あやかさん

えええ駄作ですよwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwry

ありがとうございます!
情景描写はいつも自分なりにこだわっています*


んんー…w
これより、私個人的にはヴァーチカルをアニメ化したらどうなるだろうってちょっと野望抱いてますw
アバター
2012/09/23 11:13
なんかもうアイデアがすごすぎてwwww


あまりにもすらすらと読めるのが怖い!
あと場面が頭にめちゃめちゃ浮かぶw
表現力パネェっすね!

なんかもう尊敬の意しかないですb(

この小説アニメ化したらいいのに^p^(



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