小児病棟のおばけ
- カテゴリ:美容/健康
- 2012/08/17 23:57:29
夜、鏡を見るのが怖い。
原因は保育園年長の頃にさかのぼる。
10万人に一人と言う珍しい病気に罹り、諏訪の赤十字病院に入院することになった。
町医者で風邪と誤診されたため症状はかなり進行していた。
諏訪に向かう電車でたまたま同じ組の男の子と出合った。
「うとうと?」
病気の為に口を開けることができなくなっていた私はうなずいた。
その子は信じられないものでも見るように私を見ていた。
病室には白いベッドが8つ棺のように並んでいた。
この部屋に私は一人隔離された・・伝染病だった。
母が付き添っていてくれた。 大人には感染しない。
朝の目覚めは不愉快だ。
目も口も一旦閉じると、のりで貼り付けたようになり
無理に開けようとすると皮膚が裂けて血が噴出す。
お湯で湿らせて、少しずつはがしていくのが母の毎朝の日課だった。
日中、閉ざされたガラスドアの向こうに同年輩の子供たちがやって来る。
「この部屋におばけがいるんだよ」と言いながら覗いている。
私にはどこにお化けがいるのか見回しても分からない。
ガラス越しに聞いてみようと、ドアに近づくと
「きゃ~!!おばけ~~!!!」といって逃げていく。
慌てて後ろを振り返るがなにもいない。
私をからかっているのだと思った。
トイレには必ず母と一緒に行くことになっていた。
けれど、なぜかそのときだけは母がそばにいなかった。
仕方なく一人で行った。
用を済ませて手を洗い、顔を上げた。
ぎょっとして、凍りついた。
前の鏡に見知らぬ何かが映っている。
目が私を見ている。 が、人ではない。
葡萄?子供たちが言っていたお化けってこれ?
デラウェアよりもっと小さな粒がいっぱい付いた紫色の顔。
だけど、いくつかの粒は腐って袋が裂け血が流れている。
意を決して後ろを振り返った。
が、何もいない。
もう一度鏡を見る・・やはりいる。 私をじっと見ている。
「きゃ~~」
病室へ走って逃げ帰った。
母が私の悲鳴をきいて駆け寄った。
「お化け! お化けがトイレにいる!」
と、訴える私に母は言った・・「見ちゃったんだね」
手鏡をとりだし、私の前において「それはこんなだった?」
覗き込んだ私が見たものは紛れもないあのお化けだった。
お化けの正体は・・・ワ・タ・シ
電車の男の子の不審げな顔も、子供たちが逃げたのも納得できた。
姿が映らないように看護師さんたちも気をつけていたという。
退院の日看護師さんが言った。
「こんなにかわいいお顔だったのね」
今も夜姿が映るものには緊張する。
また、お化けが映るかも・・いやもうお化けになっているかも・・・
子供って無知からくる残酷さがありますよね。
いじめもその延長線上にある・・けど、限度があることを今の子には知ってほしいです。
>ねこっとさん
医者の誤診って取り返しがつかない場合もあるから怖いですよね。
目立たないけど、全身に水玉状に色素が抜けたところがあります。
唇は赤いはずのところが肌色に丸く抜けてるので、稀に気がつく人がいますね。
もう気にするお年頃はすぎたので^^;
私を形成した原点はこの入院だったと思います。
>睦月さん
辛かったけど、入院してよかったと今振り返ると思います。
母との信頼関係はおそらくこの時できたのだと思うから。
思春期に荒れていたとき、踏みとどまったのはこの時の記憶が潜在意識にあったからではないかと・・
>ティリモさん
い・・いぁ・・あの・・社交辞令ではないかと・・
化けの皮がはがれちゃったし・・繕わなくちゃ・・あはは。
>高清水さん
こちらこそいろいろな格言に助けてもらっています・・ありがとう(^^)
この入院で初めて本と出会いました。
保育園の先生がお見舞いに本を5~6冊持ってきてくれて・・感謝してます。
辛かったですね苦しかったですね
それを乗り越えたうとうとさんだから
いつも言葉に助けられているのかな?
うとうとさんから強さを貰っています
ありがとう(^^)
うとうとさんってかわいいんだ!
子供の時だけじゃなくて、きっと今も。
できれば病気なんかしたくないけど、病気で辛かったときのことを忘れず、人に優しく出来たらいいな~、と、思います。
完治されたようで、良かったです。
人にはいろんな歴史がありますね。
今だから語れたのでしょうが・・・
常に冷静に判断するっていうことが無理で、人が傷つくことをさらっと口にしてしまったり。
ニコ友で申し訳ないですけど・・・もうそんなことはないでしょうけど・・・うとうとさんが健康でいることを
祈っています。