喉にひっかかった蔓性の、
- カテゴリ:小説/詩
- 2012/07/19 20:24:36
ずっと名前がわからなかった植物があった。
蔓性で、7月~8月頃に、額紫陽花の花びらがない部分だけ、
みたいな花をつける。ただし、色はオレンジ色。
葉っぱもガマズミやアジサイのそれに似ている。
それが、また咲いているのをみたので、写真に撮った。
それを、ツィッターで流したら、すぐに教えて下さった方が何人か。
嬉しい。よく一緒に生えていたヘクソカズラやヨウシュヤマゴボウは知っていたのに、
なぜかこの蔓性のオレンジ色のつぶつぶとした花だけは、
もう長いこと、名前を知らずに過ごしてしまっていたのだった。
名前はヤブカラシ。または貧乏葛。
藪をからすほどの繁殖力、だから、
貧乏をしている家でも育つ? ちょっとかわいそうな名前だが、
ヘクソカズラといいコンビの名前ではないか。
ともあれヤブカラシ。
名前を知ると、何か、近づけたような気がする。この花は特に。
はじめて見た、というか、意識的に見たのは、中学生の頃だ。
当時、散歩に出かけていた林の入口付近に生えていた。
暑い夏の盛りだ。林には、植物をみにいっていたと思う。
あるいは林の真ん中。なぜか日が射している。
まわりは密集した木々が沢山で、暗いほどなのに、その真ん中だけは明るいのだ。
伐採していたのだろうか、たまたまなのか、覚えていないのだが。
ともかく、その林の真ん中の明るさが好きだったのか。
日射しにうがたれた、あつい穴。
春はシュンラン、キンラン、ギンラン、イチヤクソウ…。めずらしい花の宝庫だった。
夏は…あまりおぼえていない。ただ涼しかった。秋はアキノキリンソウ、フジバカマ、ツリガネニンジン。ただしこれは林の縁。もうすこし秋も深まるとガマズミの実。
ああ、夏は、だからヤブカラシだ。ヘクソカズラとヨウシュヤマゴボウとともに。
だが、なぜかヤブカラシだけは、ずっと名前がわからなかった。わからないのに、どうしてか気になる植物だった。
毎年、どこかしらでそれを見る。名前がわからない。もどかしく思う。
だがそのうち、季節がかわる。かわると勝手なもので忘れてしまう。
そのくりかえしだった。
ここ数年、名前を知ることの喜びをかみしめるようになってきた。
名前がわかると、すくなくとも、名前をよべるようになる。
あいさつができる。なにか接することが。
だが、総じて、名前を知るまではあまり存在を認識していなかった、
というものが多いのに対して、
このヤブカラシは違う。名前は知らないながら、ずっとわたしの
喉元にひっかかった骨のような存在になっていたのだ。
それは名前をしることでどうなっただろうか。
どうなるのだろうか。
今日、ちがう家の庭で、また発見した。
ヤブカラシ。ヤブカラシだ。
もう名前で呼べる。
それはどこかようやく再会したような感触だった。
厳密には、詩ではないのですけどね^^
日記よりは、どちらかというと、詩や私小説に近いかなあと^^
エッセイって、区分ないのかしらん。
ヤブカラシ、林の縁や、荒れ地、お庭のフェンスなどに。
繁殖力が強いので、あまり手入れしていないお庭などに
いついてしまうんだとか。
気にしていると、けっこうあちこちで見かけます。
そして、橙色のコンペイトウみたいな花がかわいいのです。
なんというか、思い出ぶかい花なので…。
父が早くに亡くなったのですが、
父といっしょに林とかに植物みにいって。
その折に咲いていた花なのでした。
ぜひ、さがしてみてくださいね。
ヤブカラシ。
生きものは、みんないっしょ。
人間だって、おけらだって、アメンボだって、ヤブカラシだって、みんな生きているんだ、友達なんだ。
どっかで、聞いたことのあるような歌かな。
生あるものには、すべて魂が宿る。ハワイアン民族やインディアン民族等、日本人もそうだけど、それが本来の生き物としての、当たり前の考え方なんだけど。みんな忘れている人が多いよね。
名前で呼んであげて、ヤブカラシさんもきっと喜んでいると思うよ。
僕も、探してみるね。ヤブカラシ。
なんか、頭に残るんだな。ヤブカラシ。
ヤブカラシ。気になるなー。