石の血脈
- カテゴリ:小説/詩
- 2012/07/01 09:59:59
半村良さんの伝奇小説。物語は、吸血鬼伝説がテーマ。
吸血という行為は、一種未知のウイルスによってもたらされた伝染病という解釈をしている。
遺伝的に抗体をもつ家系は、吸血ウイルスを注入されると吸血鬼にならずに獣人(狼男)に変貌してしまうという。
このウイルスにより肉体の変貌が進み、食事は液体しか受け付けなくる。
最終的に永遠の生命を得るためのケルビム(石像のような状態)になるのだが、このためには大量に人間の血液が必要となる。
石像のような状態で数100年もの眠りにつき、目覚めることができると1度だけのウイルス射出後に不死である「神」となる。
よくまあこんなストーリーを考えついたものだと思う。
ところで、人間の体では、異常な状態で起こる病的石灰沈着とも呼ばれる症状がある。
体液中のカルシウムイオンが炭酸カルシウムなどの形で細胞間に沈着することで、軟部組織にカルシウム塩が沈着した状態となり、結果として硬化した組織が形成される。
この状態が、ウイルスによって加速されケルビム化するのでは^^
大量の血液が必要ということは、血中の大量のカルシウムイオンが必要という事実とも一致する。
さすが半村良さん。
考えて見れば、人間が石化するというのは、ギリシャ神話のメドゥーサの例がある。
「自分の髪はアテーナーの髪より美しい」と自慢したために、メドゥーサはゼウスの娘アテーナーの怒りを買って身の毛のよだつような醜さに変えられ、美しい髪は一本一本を毒蛇に変えられてしまう。
そして宝石のように輝く目を持ち、見たものを石に変える能力を持つことになる。
ひよっとしたら、メドゥーサの毒蛇にかまれウイルスをばら撒かれることで人間が石化したのではないのか?
このウイルスはテロメアの短縮阻害にも関与し、結果として感染した生物の細胞分裂が永久に可能となることで不死となののかも^^
ガンも癌という漢字に示すように細胞が石のような状態になるのだが、癌もウイルスによって引き起こされる・・・
上記内容はすべて虚構であり、よい子は信じないように^^
注)
1.ウイルス
他の生物の細胞を利用して、自己を複製させることのできる微小な構造体。
タンパク質の殻とその内部に入っている核酸からなる。
生命の最小単位である細胞をもたないので、生物学上は非生物。
2.ケルビム
智天使の複数形。
3.テロメア
細胞内の染色体末端を保護する役目をもつ。
細胞分裂を繰り返すことで染色体のテロメアは短縮し、細胞が老化し死に至る。
確かに昔々の本です^^
いつか、また読みたいです^^