レタスと私 後編
- カテゴリ:ペット/動物
- 2009/06/26 12:46:34
レタスが我が家に来てほぼ一年がたった頃、彼女は立派な雌ネコに生長した。
その証拠に、避妊をしていなかった彼女のお腹は、大きくなっていた。
次第に大きくなる彼女のお腹を見て、私は仔猫の貰い手を捜さなければならないと考えていた。
何匹生まれるかという不安もあった。
あまり多い数だと、貰い手が見付からないな、と・・・。
しかし、出産日が近づく頃、レタスは我が家に入ることを拒絶するようになった。
彼女が出産場所として選んだのは、我が家の隣の空き地の隅だった。
仕方なく、私はその場所に新聞紙などを敷いてやり、床を作った。
ある日、雑草に隠れた出産場所に近づいて見るよ、「み~み~」という小さな泣き声が聞こえた。
レタスは3匹の仔猫を一生懸命舐めていた。
しかし、3匹のうち1匹は動いてなかった。
そしてレタスのお腹にはまだ仔猫が残っているようだった。
レタスはこっちに来るな!という風に、私を威嚇した。
仕方なく、私は家に帰った。
そして夕方行ってみると、大変なことが起こっていた。
仔猫はカラスの襲撃を受けていたのだ。
カラスに突っつかれて息絶えてしまった合計5匹の仔猫達を、レタスは必死に舐めていた。
レタスが仔猫を諦めるのに、数日を要した。
私は仔猫たちをその空き地の隅に生めてやった。
レタスは再び我が家に戻ってきた。
「レタス、お前は遊び半分に狩りをして小動物を殺しただろう?。自分のした事は自分に帰って来るんだよ。」
私はレタスにそう言った。
レタスは、わかっているのかいないのか、低く短く「ニャー」と鳴いた。
出産事件から更に一年が経った。
私とレタスが出会って、もう2年半が経った頃。
レタスはエサを食わなくなった。
体調が悪いようでもなく、いつもと同じように元気に外で遊んでいる。
「外でエサでも貰っているのだろうか?」
私はそんな風に考えていた。
しかし、レタスの身体は徐々に痩せていった。
美しい毛艶は時間と共に輝きを失ってきていた。
エサどころか水も摂らなくなり、大好きなミルクも缶詰もお刺身も一切口にしなくなった。
ある日、レタスは夜になっても帰ってこなかった。
私はいつも彼女が遊んでいる近所の公園や、仔猫達が眠っている空き地を探したが、彼女は見付からなかった。
とうとうレタスは、朝まで帰って来なかった。
翌日も、その次の日も・・・。
私はネコの習性を知っている。
ネコは死期を悟ると、自分の家を出て行ってしまう。
私は、レタスはもう帰ってこないかも知れないと思った。
レタスが家を出て、10日ほど経った日のこと。
早朝、家の外にネコの影が見えた。
痩せ細ったレタスが帰って来たのだ。
私は扉を開けてやり、レタスにエサを与えた。
しかし、レタスは口にしなかった。
私を見て嬉しそうに短く「ニャン」と鳴いた。
レタスの目は、目ヤニで汚れていた。
私はレタスを綺麗に拭いてやった。
その日、私は仕事があって家を空けた。
夕方に帰ってくると、レタスは私の部屋で横たわっていた。
息が荒く、意識はあるようだが鳴くこともできないようだった。
レタスは自分の死に場所に、私の腕の中を選んでくれた。
私が帰宅して約一時間後、レタスの荒い息は消えた。
レタスは、私の帰宅を待っていたかのように旅立っていった。
思えば、レタスは我が家に来てからずうっと涙を流していた。
最初に従兄弟が拾ってエサを与えた時も、涙を流して食べたと聞いた。
ネコは、感情から涙を流す事は無い。
ネコが涙を流しているという事は、恐らく病気になっているという事を、私はレタスを失ってから知った。
私はレタスの亡骸を、江戸川の河川敷に埋めた。
レタスは江戸川の一部になった。
私は今でも、江戸川を見るとレタスという友達を思い出すことにしている。
おわり
そうですねぇ、通常猫は一人ぼっちで旅立つ事が多いと聞きます。
彼女は帰ってきてくれたんですね~。
とても嬉しかったです。
一緒にケンカもした仲ですから、とても仲良しだったんですよ。
だから帰ってきてくれたんだと思っています。。。
えっと、私はねすね、所詮座って手を挙げて頭の上の穴から小銭を入れられるだけの猫ですから・・・。
家族のように愛した動物ですから、動物と言えどやはりお別れは悲しいですね。
動物は時に私たちに癒しをくれ、時に命の重さを学ばせてくれます。
本当にありがたいものです。
レタスは帰ってきてくれました。
きっと彼女なりに、表の世界でやり残した事があって
10日間でそれを整理したきたのでしょう。
そして最後の日に帰ってきてくれました。。。
猫なのに抱かれて旅立つことを選んでくれたのは
何よりだったね・・・
しかも、その時になって思い直して帰ってくるなんて・・・
心あるひととき・・・間違いなく友だちだ。
アタシが家を出て・・・年老いて病気になったと聞き
家族交代しながら毎日病院に点滴に通いましたよ~
アタシノ番の日・・・迎えに行ったら…冷たくなってました
とても悲しかったのを思い出します
レタスちゃんは~最後に招き猫さんのところに帰ってきてくれたんですね~
きっと大好きな人のところでって思ったんでしょうね。。。
そうでしたか、黒猫手毬さんにとってかけがえの無い命だったのでしょうね。
やはり自分のそばで旅立ってくれる事が、見送る方にとっても安心です。
そして看取られるのだって、安心して旅立って行けると思うのですけどね・・・。
最近2年ほど前に家を出たオス猫は、結局帰ってきません。
こっちは心配してるのになぁって思ってしまいます。
黒猫手毬さんのワンちゃんも、きっと幸せだったのだと思いますよ。
そうですね、もう家族の一員ですもんね。
特に犬は猫と違い、家族間の上下関係も把握しますから。
家族を慕い、守り、愛する動物ですからね。
子供にとっては犬を飼う方がいいと聞きました。
子供が幼い頃は犬は兄となり、子供が成長すると友となる。
やがて犬は子供を守る存在となり、子供が多感な頃になると年老いて命の尊さを子供に教える。
動物を飼うと言う事は、それ以上無い素晴らしい教育になるのかも知れません。
へ~そんな説もあるのですねぇ。
もしそうだったとしたら、とっても嬉しいです。
メス猫は家で死ぬけど、オスはよそで死ぬって聞いた事があります。
私が帰宅して1時間ほどで息を引き取りました。
私を待っていたかのようでした。
やっぱりわたしを待っていたと
思えるふしがありました。
老犬になってからは、わたしのそばにずっといたかったのか
離れようとしませんでした。
レタスちゃんも
きっと、好きな人のところで安らかに旅立ちたかったんですね。
うちの場合は犬ですけど。。
今から彼女が死んでしまうことを考えただけで心がとても痛いんです。。
写真のような形に残るものを残すのはつらいと思って
きっと死んだあと彼女を思い出すことがすごくつらいことに思えるから。。
レタスもそのとき招き猫さんの大事な大事な友達だったってわかります。。;;
弱った身体を安全な場所に置く為だと聞いたことがあります。
そして、そのまま死んでしまうことが多いので、姿をくらますように見えるのだと。
レタスにとって、きっと猫さんの近くが一番安心できる場所だったのだと思います。
普段素っ気無いネコですが、いなくなると寂しいものですよね。
どこが痛いとか言わないですし、なかなか病気も発見できないですよ。
獣医って保険効かないし・・・。
帰って来ない方が、飼い主に感謝しているって聞きます。
雄の場合は特に。。。
どうしても病気になるんだよね。。。
うちの子も帰ってこないんだよ。