「忍者物語」子供編11夕奈自力で情報を掴む
- カテゴリ:30代以上
- 2012/06/18 16:37:53
コーデ夕奈
お美津が精鋭男達と帰って来た。
きつい仕事だったらしく、
一緒に行っていた棟梁が
長めの休みを取る様に決めた。
数日後、寛太を連れて男が数人村を出て行った。
お美津はお涼にまた大道芸や業の訓練を教えた。
稲もすっかり元気を取り戻していた。
稲と八郎も其の訓練に加わった。
お美津の教える事は殆ど実践の遊び版の様だった。
3人は楽しくて仕方が無かった。
特に八郎は元気になるにつれて、
色々な事が出来る様になっていた。
お涼と稲と八郎と一緒に読み書きを教わったが、
寛太の様に逃げ出さず、
八郎はまじめに座って習っていた。
その頃には6歳の女の子達も半年たち、
7歳になった子もいた。
既に夜は3人で便所に行っていた。
相変わらずお涼に懐いて
お涼が教えるお手玉を一緒にしたり
石で葉を落とすのを稲や八郎に教えると
真似をした。
お涼が川に行って魚の取り方を教えると
八郎が一番取れる様になった。
大抵は大人の酒の肴にされたが、
味噌を入れた野菜の汁に切った魚が入って
煮られた事もあった。
八郎が次から次と色々な事を教えろと言うので、
危険だが、ついに猪の罠の仕掛け方を教えた。
罠になかなか猪が掛からなかったが
遂に猪が掛かっていた。
近寄ると牙で刺される恐れがある。
寛太が自分にした様に
稲や女の子を遠くの木の上に登らせた。
手持ちが良い木の枝を切ると
先を尖られた。
罠に落ちて暴れているイノシシを
それで刺して弱らせるのである。
大きさによって罠を勢いでよじ登ってくる事が在る。
更に突き刺す時に其の勢いで
振り回されて罠に落ちる時がある。
其れを八郎にしっかり教える。
先に石を持ち上げて投げつける。
やっと持ちがる重い石だ。
勿論その程度で死なない。
何度も二人で繰り返して、ぐったりした所を
槍で突き刺す。
此処が一番危険だと八郎に教える。
この時に息を吹き返して暴れる時がある。
だから、すぐに槍を放す。
思い切りさして、すぐに離す。
二本目を刺す。
それから様子を見て、動かないようだと
3本目を深く刺す。
穴に落ちる様なイノシシだから、子供のイノシシだ。
大人のイノシシなら、穴を牙で掘ってよじ登ってくる。
子供のイノシシと言っても赤ん坊ではない。
立派な牙がある。
穴の下に血だまりが出来ている。
びくとも動かなくなってから、
下りて首を欠く。
とどめを刺すのだ。
そこで初めて
木の蔓を四本の足を其々縛って
稲達を木から下す。
此処まで、寛太は何時も一人でやっていたのだ。
それから、全員でイノシシを引き上げる。
そして、村まで全員で引きづって帰った。
その日は牡丹汁である。
大人達も子供達もあちこちから明るい声が響いた。
意外な事にお美津が一番喜んだ。
何と言ってもお美津の弟子達の手柄だ。
一時はどうなるかと思った子供達だ。
中には皮膚病で尻がごわごわで
血がにじみ出ている子さえ居たのだ。
夕菜たち旅芸人一座がかえって来た。
その時の報告で夕菜が3度ばかし、
買われた事が報告された。
「あの生臭坊主だ」と言うだけで大人達が
誰か解るほどの和尚で
仕事で回った地域の関係上、
其処は旅籠が無い。
寺の境内を興業に使わせてくれると言うし、
寝泊りもさせてくれるが
其の代わりに女を要求した。
檀家の未亡人をはらませる手癖足癖の
悪い坊主として有名で
出来れば其処は避けたいが雇い主の所へ帰るには
行きと帰りは必ず通らなければ成らなかった。
最初は流石に何とか断ったが、
大ぼら吹きと陰で言われている和尚で
口癖が京のどこかの大きな寺に居たと言う。
夕菜が其の寺の名前を聞くと
自分から次は相手をしたい言い出したと言う。
其れまでに姉さん達がどんな事をするのかを
見て知っていた。
最初に断る時も年齢とおぼこを理由に
一座は芸を売るのが仕事で女郎屋でないと
断わった。
だから、芸人に無理に体をふれさえない。
「本人が嫌だと言えば、興業を断念しても
芸人に芸以外はさせない」がそれだけの芸を
持って居る一座を売りにしていた。
本人が承知したのと「おぼこ」だからと
それなりの特別な金額を言うと
払うと言う。
「うちは女郎屋で無いので、
今までこんなに若い子を出した事が無い。」と
更に吹っかけるとあっさりと言い値を出した。
最初があんな奴で可哀そうだと
反対する者も居たが、
本人が覚悟が出来ていると言うので承知したと言う。
其の後にまた雇い主から、
同じルートの仕事を再度言われたので
其の寺を使ったが、
今度も夕菜からまたやりたいと言う。
和尚も其れを聞くとまんざらでは無い感じで
今度もそれなりの金額を払うと言う。
結局其の帰りと3回、其の和尚に買われたと言う。
順平が夕食後にお隅が居なくなって
一人になった部屋に
夕菜が今夜寝る様に言った。
部屋に夕菜が入ると順平が其の部屋に行った。
「どうした?うん、何でそんな事をしたんだ?」と
優しく聞いた。
「お前らしくないじゃないか。
姉さん達がいくらでも上手に
断ってくれるのを知らなかったのか?」と
頭をなぜながら言った。
夕菜が和尚が京の寺に居た事を聞いたからと
其の寺の名を言った。
其の寺は母を殺した領国の侍達が京に行った時に
寝泊りをしていたのを知っていた。
其の領国が滅ぼされたのは知っていた。
其の後の彼らの消息が解るかもしれないと
思ったと言った。
順平は夕菜の昔の顔が戻っているのに気が付いた。
一時期、柔らかくなっていたのだが、
帰って気が付いた。
何か胸に秘めた物がまた出来たのだろう。
「で、どうだった?何か解ったのか?」
暫く一点を見つめていた夕菜がうなづいた。
「生きていた。彼奴はまだ生きていた。
じじぃになって死んでなかった。」
夕菜の目に涙が貯まった。
「そうか良かったなぁ」順平はそう言わざる
得なかった。
忍者に取って私事は禁止である。
全て命令通りの仕事をしなくてはならない。
つまり其れ以外の殺戮はどんな事情が在ろうと
禁止だ。
勝手な行動もとれない。
其れでも体を使って聞き出した情報である。
くノ一はそうやって情報を掴むのだ。
夕菜は其れを利用した。
まあ、其れも訓練だろうと、
順平はそう結論つけた。
戸の外にお涼が居た。
「お涼、久しぶりに積もる話もあるだろう。
今夜は二人で寝るとよい」と
言って戸を開けた。
夕菜とお涼が顔を見合った。
数か月ぶりの懐かしい顔が在った。
其の夜はいつまでも二人の声を潜めて話す声が
聞こえた。
夕菜は母の仇の篤宗の居る場所を知るまでの事を
詳しく話した。
お涼は寛太がやった事を話した。
二人で布団をかぶって、
声が外に漏れない様に話したつもりだが、
順平が縁の下で筒を通して聞いていた。
正に筒抜けとはこの事である。
其の部屋は極一部の者が知って居る
中の話し声が聞く事が出来る
仕掛けがあった。
夕奈は侍の子です。忍者の修業は其の手段と既にしています。
夕奈は其の為に体を使います。
刀で向かい合っても相手を切れない 夕奈が得た技術です。
順平も元は侍。育てらえた環境が解るので訓練の一つとして
合議での報告はしません。
その部屋は客間です。
何処かの忍者が話し合いに来た時に
待たせたりします。
親の敵の消息がわかって良かったのかな
猪鍋・・・弟子たちの活躍に師匠も満足^^みんなの笑顔が浮かびます
お涼ちゃんとの布団に潜ってのお話
修学旅行を思い出しました
筒抜け!まさにこれが本物ですww
聞ける仕掛け・・・・あるんですね^^