「忍者物語」子供編4其々の仕事
- カテゴリ:30代以上
- 2012/06/14 17:33:53
コーデ お涼が扮した稚児
寛太が実践の厳しい訓練が始まった頃だ。
最初にお涼が其の間に仕事が入ったのだ。
其れは10歳の頃だった。
5歳の男役の稚児の仕事だった。
京近辺の守護領、荘園領が
土地と権力の奪い合いが激化していた。
其の間で疑心暗伎の葛藤が
お互いの動向の探り合いをしていた。
一人の領主の家臣の家に周りの家や領土の
動向を探る役の仕事が回って来たのだ。
神社同士の連絡として、
神主の信頼している稚児が
子供が読んでも解らない文を持って
高い身分の稚児が狩衣を着せられて
修験者達に守られながら、
秘文を持って使いに出されるのである。
殆ど何の問題もなく通れる。
場所によっては特別待遇で
客室で稚児だけが待たされる。
茶と菓子を与えられて、
口八丁で秘文を一時預かりになる。
その間に其の秘文は書き写されるのである。
其れが本当の目的でない。
偽の文章だから書き写されようが
問題は無いが一応子供ながらも
お涼は拒否して見せる。
其処を、うっかり茶で汚されてもこちらの責任
食べ終わるまで預かりおこうと言われて、
すんなりと出して目の前の菓子を食べる。
その時に京言葉が質問で返答されないと素性がばれる。
最初は寡黙な子供だったが、
一言、二言と、京なまりを覚えて
其処は何とかやり過ごした。
その間2度程、村に帰ったが
其の最後の仕事は12歳になる
頃で終わった。
秘文の中身に疑問を持たれて
偽物と見破られたのである。
既に其の神社が今期に限って
季節がら終わっている祭事を
今後の手順の打ち合わせの文を
怪しまれた。
修験者に不審がった関所の役人の
詰問をしている声が聞こえている。
お涼は既に何度か来て重要な文章が此の部屋の
どこに仕舞われて居るかを見ていた。
子供だと甘く見て、お涼の目の前で仕舞っていたのだ。
お涼はとっさの判断で
それらを何度かに分けて胸に押し込んだ。
其処へ戻って菓子を頬張っているお涼を
人質にしようと一人の役人が
やってきてお涼をむんずと掴むと
既に切りあいが始まっている場所に
連れて行こうとした。
とっさに小刀でその腕を切りつける。
手を放した途端に何度も習った首を切りつけた。
返り血を浴びながら庭に出ようとしたお涼を
一人の仲間の忍者が脇に抱えるとあっさりと
庭石を使って塀を乗り越えた。
既に仲間が先に走り去っていた。
バレてしまった以上、
このやり方は2度と聞かない。
雇い主に事の顛末を報告し、
其の雇い主との契約はそれで終わりだ。
最後にお涼が狩衣の下から、
数回に分けて胸に入れた
手紙と記録書の束を置いて頭を一つ下げた。
去ろうとすると待つようにと言われ、一時待たされた。
其の中に、色々通る度に書き写した文と
色々な近隣の国の
重要な手掛かりが多く載った文が
かなり見つかった。
大体の其の国の領主が掴んでいる
情報が得られたのである。
仕事が失敗したとは言え、
手柄であったと最初の内金で終わりの所、
残りの約束の半年分の金が払われた。
お涼の寡黙で無知に見える稚児姿が
特に警戒が厳しい領国の関所の役人を
油断させた結果であった。
自分達が雇った事が解れば
其の家臣の家のみならず
全てが終わる可能性がある。
しかし利用価値は計り知れない情報が
中にあった。
自分達の雇い主がばれる可能性を考えると
其の為に2度と来れないだろう場所を
忍者達は去った。
其の後、数年かけて彼らを雇った家臣が居る領土は
数倍の広さになり、
其の辺り一円を統括する様になった。
其れはもはや、一国と言って良い地頭領になった。
お涼が稚児の役の仕事について数か月後。
寛太が何とか訓練にがむしゃらに付いて行って
最後ながらもやり遂げた時
寛太にも別の仕事きた。
豪族が領主となった領国の近辺国の
大体の山岳地図作りだった。
母を亡くして家に一人置いて置く訳にも
行かないと言う子連れの薬草を含めた
薬売りの子の役であった。
薬草も扱うので山に居ても可笑しくない。
寛太自身も3尺の縄を持っての
二手に別れての地図作りである。
町も山も寺も城も川も大体の位置と方角を
太陽と月を見ながら書き込む。
其の手伝いで在った。
まさか10歳の子連れとは
忍者とは思われず
可なりの情報を得て雇われた国に持って行った。
何度が村に帰って
訓練に戻ったがそれでも2年間続いた。
最初にお涼が帰って来て、
次に寛太がかえって来た。
それらが始まる一年前、彩夜が9歳の時に、
彩夜の母親が仕事が終わって村に帰る途中に
遭遇したどこかに移動中の
忍者と盗賊の合わさった様な集団に殺された。
お互いに移動中だったが、
無視するのが通常だった。
相手は内密の移動だったのか。
執拗に一緒に来いと迫った。
一緒に来るなら命はとらないと言うのを
断って逃げる時に自分が囮になって
他を逃がしたのである。
深追いする必要も無かったのか
彩夜の母親以外は全員逃げる事が出来た。
十日後に戻ると其の集団は既に先を急いだのだろう、
誰も居なかった。
丁重に葬って在って
卒塔婆代わりの木も刺してあった。
掘ると彩夜の母親のお杏の遺体が在った。
自分達の身代わりに一人で殺された、
くノ一を統括する棟梁らしい死で在った。
彩夜は母の死んだ状況を子供ながらに察知した。
くノ一達が母を慕っていた事も、様子で解る。
そして彩夜にも、10歳の時に旅一座の見習いと
言う役の仕事をあてがわれた。
其の卒塔婆のある場所に
彩夜を連れて行きたかったのであろう。
だが、それだからと彩夜を客扱いもしない。
他のくノ一達に取っては彩の歩く速さに合わせた
遅い旅ではあったが、
彩夜にとってはきつい旅であった。
一度帰って来て、踊りの稽古を積んだ彩夜は
2度目の一座としての旅に出た。
今度は前より歩くのが早くなったが、
彩夜はまるで母がたどった生き方をたどる様な
其の旅を一生懸命熟した。
お嬢踊りの助手の役、
その次の踊り役の衣装を畳んだり、
次の出し物の用意をしたり、
小道具の荷物を運んだりと2回目の旅は
彩夜は人が変わった様に頑張った。
美しく花形だった母の源氏名を
覚えておいてくれている客が大勢いた。
彩夜の母親は忍者の腕も良く、
自分を指導していた忍者が仕事先で死ぬと、
自分がくノ一達を統括するまでになった
美しく優秀な忍者だった。
精鋭の忍者達とは別の一座を率いる忍者としては
右に出る物が無い程の成果を上げていた。
其れだけでなく精鋭の訓練も受けていたので、
精鋭まではいかないが
それなりの仕事も手を抜かないので、
両方のくノ一達から慕われていた。
旅すがら、先輩くノ一達から、
思い出として其れを聞く度に
彩夜が母の様になりたいと言う思いが強くなった。
私は彩夜は小さい時の辛さが正確に出たと思います。
自分を肯定して、今の自分を納得させたのだと思います。
長の娘だから特別なのだ。だからこう言う境遇なのだと。
夕菜の物語・・・・お涼ちゃんの小さい頃の活躍
彩夜のお話・・・小さい頃そんな目にあってそして忍者物語に登場したものにつながる!
それぞれの性格みたいなものもそうやって培われたものなのでしょうか?