本日、６時すぎに起床。
北向きの窓に切り取られた外の景色に明るさを確認する。
前日の天気予報は曇りだったの対してうまい具合に期待を裏切ってくれたようだ。
これなら見られるかもしれない。

ベランダに出るが、この位置からだと肝心な太陽は見えない。
テレビをつけて、顔を洗い、朝食の用意をする。
朝食と言ってもパン一枚に野菜ジュースだけ。ベーコンは前の晩に使ってしまったし、青いものは何もない。
さっさと食べて出られる準備をしよう。

ふと、外をみると差し込む日差しに弱さを感じる。
向かいのマンションの住人がメガネを付けて空を見上げていた。
時間は６時半をすでに回っている。大阪ではすでに食が始まっているはずだ。

テレビのニュースは日食について、こまめに報道してくれている。
日本より随分と先に食が始まる台湾では、厚い雲に覆われていて観測が出来ないようだ。
九州の何かしらの島では雨まで降っている。日食を楽しみにしていた子供たちが、使い道のない日食メガネを振り回していた。
ちょっとまずいかな？

家から会社に向かう道である大通りは丁度東西に走っている。
まっすぐ進めば太陽が拝める。夏の日差しが強い日などは、日蔭すらなくて困るぐらいだ。
しかし、今日だけはこの道に感謝できるかもしれない。
大阪での日食の時間は７時２８分。
丁度、その時に道路を歩いていればしっかりと観察できる。
時間を逆算して、家をでることにした。

いざ、外にでると薄暗さを感じた。
食のせいかと思ったら、天気予報通りの薄曇り。
しかも、太陽がある方だけが曇っている。
兎に角、直接みられるところまで歩き出すことにしよう。

時間は７時２５分を指していた。
東西に走る大通りに出て空を見上げる。
薄曇りの中、食が進んだ太陽を確認することができた。
大きくかけた太陽が雲のフィルターを通してしっかりと見える。
日食メガネは全く必要ないようだ。
雲は厚すぎず、薄すぎずといった具合でじっくりと太陽を見る事ができた。

しばらく立ち止まって食が進むのを楽しんだ。
予定時刻になると空に金環が綺麗に現れた。まさに太陽の指輪である。
今でこそ、月が太陽を隠すことによって起きる天体ショーである日食だが、昔の人はそれはもうびっくりしたと思う。
そんなことを思いながら、天にある大きな光る輪を眺めた。

ふと、周りをみると同じように空を仰いでいる人が多くいる。
皆、一様にケータイやスマホで写真を撮っているようだ。
中にはフラッシュをたいてる人もいた。自動設定なのだろうが、これほど意味を持たないフラッシュも無いであろう。
ダメ元で携帯で写真を撮ってみたが、案の定写真の太陽は小さすぎて全く解らなかった。
気休めにもならないとは、この事である。

しばらくすると、雲の厚みが更に増して完全に太陽を隠してしまった。
これ以上の観測は無意味となったので、会社に向けて歩き出した。
少しの間とはいえ、しっかり金環になった太陽を拝めて良かったと思う。
会社についてとっくに食が終わったころ、雲がすっかり無くなってすっきりとした快晴になっていた。

少し残念な思いをしたが、仕方のない事として諦めよう。
さて、みなさんはどのように日食を楽しんだのであろうか。