悲しき休息2
- カテゴリ:自作小説
- 2012/05/06 19:34:21
声の限り叫んだ。 ボクのそばに白く輝く鳥が舞い降りた。黄色の瞳でまたボクを見つめている。 あふれ出た涙を拭き取り、ボクは白く輝く鳥をニナの元へ連れて行こうと思った。 それがヨシュアとの約束でもあるから。ボクが命を捧げることで…ボクは死んでしまうかもしれない。例えそうだとしても…正直、先のことなんてわからない。 命を捧げてくれたニナがいてくれたからこそ、あの星の船で生き残れたのだ。 ならお返しするだけだ。 ヨシュアにもまた会える。死人として…。 そう覚悟を決めて南東にある教会への道を急いだ。 先ほどと違い、町行く人々に出会う。どうやら祈りが終わったようだ。 「あら、お急ぎかい?もしかしておめでた?」と、主婦の笑い声を聞く。 内心そうであればどれだけいいものかと、足の速度を上げた。何せボクは「命」を捧げて「死」にに行くのだから。 教会に着くと、看護長が慌ててボクの元へやってくる。 「ニナさんの心拍が弱まっているんです。早く来てください」 「わかった」急ぎ足でニナのベッドがある部屋に向かって赤茶色の廊下を走った。 木製の古い床だ。ガブリエルの町は周辺の避難場所でもあったため、急な増築で改修された後がくっきりと残っている。途中からベイジュ色の新しい床に変化していた。 その新しい床の上を走り、茶色のドアを開けて部屋に入った。 白く輝く鳥はニナの元へ戻って行った。胸の中へすぅーっと入って行く。 ボクはレヴァンテインを小さな短剣に形を決めて取り出し…それもニナの胸の上に置いた。 ヨシュアが黒い仮面に「命」を吸われたように…ボクの「命」もこの「赤き武器」に吸われているのだろう。ならば…このレヴァンテインはボクの「命」そのものであるはずだ。 レヴァンテインはニナの胸の中へすぅーっと入って行った。 これでボクも死んでしまうのかもしれない。 死か…。 あまりにも突然過ぎて…こんな形でボクは死を迎えるのか。 そう思い「死」の訪れを待った。 だが…目まいがするわけでもないし、「死」が迫っているとも感じられない。 ニナが目を覚ました。 「…あなたが助けてくれたのね」と、ニナは言う。 「わからない…ボクはただ自分の中の「大切なモノ」を捧げただけだ」 「うん…うん。ちゃんと届いたよ…とてもあたたかいモノが。あなたの「命」受け取ったわ」 「そうか…じゃあ、ボクはこれで「死」を迎えるわけだ」 「あなたは利益増加の法則を知らないの?」と、ニナは不思議な顔をする。 「聖書に書かれている物語のことかい?与えたモノが増加して帰ってくるって物語だよね。それなら知っているけど。でもあれはお金や、物のことだろう」と、ボクは言う。 「ふふふ…あなたは不死身になってしまったのよ、ルゥ。」 「?そんな実感は無いけど」 「でも…あなたは私に魂をくれた。それもあなたは私が選んだ相手。あの呪文を唱えた時からあなたの命をつかんでいたのは私…。もしもあなたが私に魂をくれなければそのまま私と一緒に死んでいたのよ。」と、ニナは笑顔で言う。 正直ぞっとした。…そんな恐ろしい魔法、せめて使う前にひと言あってもいいんじゃないの…と、言いたかったが、ぐっと飲み込んだ。ただボクはどうやらか細い糸をかなぐり寄せたようだ。 人生にはそんなところがある。 「……何とも言えないよ。それにどう喜んでいいのかわからない。ただはっきりとわかることは…ボクをパートナーに選んでくれてありがとう。まあ、そのこれからもよろしく、ニナ」と、ボクは途中まで青い瞳を見つめていたが、目線をそらしてしまう。 そのまま押し倒される。 教会の白い天井を眺めながら…ニナのあたたかさを感じながら…つぶやいた。 「ヨシュア……プレゼントは届けられそうだよ」 涙が自然とあふれた。 「ルゥ…」と、ニナは手を床について起き上がり、青い目でボクを見つめる。 「今は少し泣きたいんだ」 「はい」と、ニナはボクの胸を枕にして目をつぶった。 いや、つぶらせた。ボクの手で…。 沈黙が心を癒す。 静寂が覚悟をささやく。 ヨシュア…君に死を。 安らかなる休息を…プレゼントするよ。 それはとても悲しい覚悟だった。…どちらにせよ、ヨシュアを解放する道はそれしか無いのかもしれない。 ボクは静かに泣き続けた。涙を流すことで、ふつふつと胸のうちに熱いものがこみ上げる。 あきらめたくない。例え無理だとしても「黒い仮面」を壊そう。壊して衰弱したヨシュアをスコットの回復魔方陣で回復すれば…生きられるんじゃないか? 最善を尽くしたい。 それで満足できる。 人生というものに…。
「はい、あなた!」と、ニナはベッドから降りて、抱きついてきた。
まちがえて、プログ消しちゃいました。
アトランいきたいな^^
今日、誰かを抱きしめてる夢をみましたw
幸せでした。
頑張らなくていいんですか。
すごく、心を揺さぶられるお話をありがとう(*^。^*)
『死』って言葉が出てきたらなんも言えんなるよ(´ー`)
それでも、なんとなくわかることはあるよっ(*´∀`)
続きがあるんなら また頼むよぉ♬
4月は書く気が起きなくて書けませんでした。ご容赦を。
たぶん、次回で最終回っぽいです。
続いたらごめんねw
お読みいただきありがとうございます。
あい