『白鳥の湖』を見てきました、ブラビー!!
- カテゴリ:アート/デザイン
- 2012/05/05 22:11:51
余裕がないなんて、ぼやきつつも、
こういうことだけはしっかりと見落とさない。
再び新国立劇場にて、
『白鳥の湖』を見てきました。 ぶらびー!!
いつものバルコニー、最安値席ですが、
オペラグラス片手に、ああ~、ええなあ~ ☆\(ーーメ)
安寿はバレエ音楽が大好きです。
特にチャイコフスキーが好きです。
しかも、『白鳥の湖』は、
かなりのステージ数を舞台袖から見ただけあって、
見どころ、勘どころがわかっている気がします。
なぜ『白鳥の湖』を、かなりの数、舞台袖から見たのか…
それは昔々、
安寿は舞台美術の世界で
日々の糧を得ていたことがあったのでした。
舞台美術の世界は、芝居だけでは食べていけません。
テレビ局や百貨店のディスプレイ、
そしてバレエの発表会などで銭を稼がないと、
喰ってはいけない、きびしい世界なのです。
しかも最近、テレビ局やディスプレイの仕事はどんどん渋くなり…
そんな中、バレエの仕事は辛うじて安定した注文が入るのでした。
なぜかって?
それはバレエ教室の発表会が一年に一回はあるからです。
つまり、バレエ教室は、ピアノ教室と同様、
お稽古事ですから年に一度は発表会を行うわけで、
しかも、大手バレエ団の系列につながるようなバレエ教室は、
いくつかの教室が合同で大掛かりな発表会を行ってくれるのです。
そして、その定番の出し物と言えば、
それは『白鳥の湖』。
『白鳥の湖』は、
その芸術性だけでなく、
バレエ団の営業用にもよくできていて、 ☆\(ーーメ)
初めて舞台に立つ子供向けの群舞もあれば、
ちょっとうまくなってきた子のためのカルテット、トリオ、デュエットの曲もあり、
しかも、バレエなんか見たこともない親戚一同が孫の晴れ舞台を見に押し寄せてきても、
絶対に知っているメロディーとわかりやすい物語があり、
白鳥の群舞では出演者全員が、
これぞバレエの衣装ともいうべきチュチュを着て踊れるという… ☆\(ーーメ)
両親や親戚はその姿を舞台に見つけて、
「いつの間にか大きくなったねぇ、きれいになったねぇ、こんなに立派になって…」
と感涙にむせぶのでした… ☆\(ーーメ) 営業上の秘密をばらすではない。
そんな『白鳥の湖』ですから、
発表会用の『白鳥の湖』セットみたいなものが、
大手の舞台美術屋さんの倉庫にはありまして、
全四幕用の背景幕…、
とはいえ、一幕と三幕は宮殿の中ですし、
二幕と四幕は白鳥の湖ですから、
都合二枚で事足りるという、いや~、楽ちん楽ちん… ☆\(ーーメ) 手抜き~
発表会場となる市民ホールなんかで、
二つの幕を吊し、
リノリウムの床を敷けば、
舞台の仕込みはあらかたおしまい。
後はステージ上に、
立ち位置の目印となるマークを付けてあげれば、OKです。
そうして何度となく『白鳥の湖』を舞台袖から眺め、
終演後にそそくさと幕をたたみ、
リノリウムの床を撒いてきた安寿がいたのでした。
そんな私ですから一度正面から、
本格的な『白鳥の湖』を見てみたかったのでした。
新国立劇場バレエ団は、
様々なバレエ団の精鋭たちをスカウトして構成されているバレエ団ですから、
系列下にあるバレエ団の営業上の理由なんかに配慮せず、
遠慮なくバレエ団最高の配役をしてくれちゃいます。
今日の白鳥は、ワン・チーミン、
王子様は、リー・チュンという中国からのゲストの方なのですが、
(二人とも上手でした)
一週間後の公演で白鳥や王子を踊る方が、
この公演の脇役を務めていたりして、
なかなか贅沢な配役なのです。
(本日が初日で、13日が千秋楽、全部で6公演が行われます。)
セットも二枚の幕を使い回したりなんかしません。 ☆\(ーーメ) 当たり前
今日はなんと言っても、ワン・チーミン。
あなたの二の腕…、筋肉がない~。
抱きしめたら、折れてしまう~。
それでなんであの激しい動きができるのですか…。
『白鳥の湖』は、二幕と四幕の、
文字通り「白鳥の湖」の場面が有名ですが、
しかし、一番ダイナミックな場面は、三幕の、
王子が妃を選ぶ場面で登場してくる悪魔の手先の黒鳥、
いわゆるブラック・スワンなんだと思います。
清純な白鳥と妖艶な黒鳥、
この対照的な役柄を踊り分けるのが、
『白鳥の湖』のプリンシパルに求められるのですが、
うん、ワン・チーミンには、この悪の目ぢからがあっていいです。
技術的にも、三幕が一番の見せ場。
主演の二人は、少しもぶれることなく、安定した踊りで、ぶらびー。
そして、やはりチャイコフスキー。
バレエ音楽は踊ることを前提にして作曲されているので、
一曲一曲のリズムやメロディがしっかりしていて、とても聴きやすく、
しかも踊りですから、優雅な曲でも物語を前へと引っ張ってくれる。
その感じが好きです。
メロディが中心の曲は、
ハープやヴァイオリンがたっぷりと聴かせてくれますし、
リズムで押す曲は、
金管が走り続け、最後にティンパニやシンバルが締めてくれます。
場面毎の異なる踊り、そのモチーフの明快さと、
決め所でダイナミックに畳みかけてくれる押しの強さ。
バレエ音楽の、このわかりやすさが安寿は大好きなのです。
どうれ、
私も姿見の前で、
白鳥の決めのポーズ…
うっ…
痛て、
痛てて、
うううう~~~… 瀕死の白鳥…
踊り手欠点。
技量がハッキリと見えるので誤魔化しがきかず
下手さ加減がしっかりとわかる
という事です。
...プロの舞台でも、色々とダメ出し、ツッコミをしてしまうので
発表会なんて、とても見ていられない。。。
なんてたいそうな事を言っている私も
かつては、飛べないのに必して羽ばたいてみる
白鳥ならぬニワトリの経験有りです。(^^ゞ
発表会レベルでは、古典ものよりも創作ものの方が
絶対にみんなが上手に見えるし
出し物としてもハイレベルなものが出来ます。
(その分、指導者の負担は大きいけれどもね)
マノンは同名のマスネのオペラもあるけれど
バレエの方はオペラとは関係ないマスネの曲を
寄せ集めてアレンジし直しているの。
有名なエレジーなどもあって、私は好き。
(プッチーニのオペラは"マノン・レスコー"題名で区別している)
若者と死(Le jeune homme et la mort)はホワイトナイツの方。
映画がこのシーンから始まるの。当時、衝撃的だったわ。
15分くらいの男性ダンサーのための小品。
台本-コクトー、音楽-バッハ、編曲-レスピーギ、振付-プティ
そうそうたるメンバーの作品でしょ?
Youtubeにあった映画の冒頭は、今、ないみたいだけれど
原題で探すと、色々なダンサーのものが出てくるのではないかな。
>古典というものは欠点が丸出しになるから (以下省略...)
その欠点というものを教えて、教えて ☆\(ーーメ)
安寿は、古典の枠組みというのかな、
「不幸な娘がいましたが、王子様に助けられました」という
マンネリな枠組みが嫌い。
でも、そんなこと、
もうどうでもよくなっていて、
音楽と踊りだけ楽しむつもりで見ています。
涙ボロボロで感動…、ということはありませんねぇ~。
「定番」というのは、
歌舞伎のように芸の見どころがはっきりしているので、
「よっ! 待ってました」てな感じで見ています。
マノンは見たことがないので、
今度見るリストに入れておこう。
バリシニコフは、今調べたんだけど、
「愛と喝采の日々」かしら、それとも「ホワイトナイツ」?
ともかく、これも見ていないから、リストに入れておかなくては…。
うう~、リストがパンクする~。
確かに発表会の定番だけれど
古典というものは欠点が丸出しになるから (以下省略...)
クリスマスの胡桃割りも....食傷気味。。。
私はマノンのようなネオクラシックや
若者と死(昔、バリシニコフの映画で有名になった)のような作品が好き。
チャイコフスキーの音楽はメロディーラインが綺麗よね。
オペラなんかもメロディーが綺麗。
言葉は全然わからないけれど。。。。
はい、リノリウムの床は、
男の人でも持ち上げることができません。
それほど重いのですが、
バレエの発表ができるホールには、
たいていリノリウムの床が
心棒に撒いた状態で舞台の隅にころがっています。
ですから、それをゴロゴロ転がして移動させ、
きれいに並べて、敷き詰めていけばいいのです。
確かに肉体労働ですが、
コツさえ覚えれば、女性でもできます。
背景の幕、特に湖の幕は、
なんか薄汚い感じの幕なんですが、
照明が当たると、あら不思議。
この薄汚さが、北欧のどんよりとした冬の空に見えてくるではありませんか。
白鳥の方は、
ただひたすら、か細く、美しく…、
「およよよ~、およよよよ~」
という感じで踊りますので、
なんかこの世のものではないような感じがします。
それに対して黒鳥の方は、
「はーい、出てきました。誘惑しちゃいますよ~」
とキューティーハニーのような感じで、 ☆\(ーーメ)
小気味よく踊りますので、
断然かっこいいです。
痛めたのは、
首の筋と脇腹、
なんか寝違えた時のようです。
お風呂で温めてから寝ることにします。
リノリウムのシートって、地味に肉体労働だと思います。
黒鳥(童話などではオデット姫と対応してオディール)の
登場シーンは私も好きです。
悪役が物語の後半に善い役を出し抜くって、幼心に印象が強かったですね。
安寿さん…腰痛めますよ。湿布をどうぞ。。。