Nicotto Town



お涼の活躍17(忍者物語)37




その日は久しぶりに与一と正太が帰ってきた。

もうじき、正月と言ってもまだ旧正月の時代で

2月頃だ。

十日ほど休みだと言う。

其の前に近々姫様ご一行がお帰りになるので

其れが落ち着いてから、残りの仕事をすると言う。

久しぶりのごちそうを家族そろって食べ終わると

与一と正太が改まって二人に話があると言う。

此の仕事が終わって春になったら

京で宮大工をしたいと言う。

与一が言うには自分は棟梁になっていない。

棟梁がある程度の熟練した大工に
其の大工の名前の掘った道具を一本やる。

それから自分で買う道具に
自分の名の焼印の刻印を入れて貰う事が出来るのだ。

此れはある程度、一人前と言う棟梁が認めたしるしである。

其れがあるとどこでもある程度は大工として雇われる。

正太は腕が良いのに、棟梁が死んで、其の道具を貰ってない。

自分は棟梁に貰った道具を持って居るが、
修繕屋になったので一人前の
家一軒立てられる大工としての棟梁ではない。

正太だけが名のついてない道具で
大工をやっていて不憫に思った事。

そこで寛太に相談したらいっそ京に来て
宮大工の所に入ったらと言われた。

正太もやってみたいと言う。

そこでいっそのこと、家族ごと京へ行かないか。


生活は苦しくなるかもしれないが、
正太はまだ若い。

そしてこれが正太の歳で
最後の機会かもしれないと言う。

お涼も佳代も賛成だった。




数日後に松姫様の行列が字源領から城への街道を通った。

国中がお祝い状態で竹朗丸様の馬上の姿に涙する年寄りたちも居た。


佳代の作った子供晴れ着が
10枚たまったのは3月の初めである。

其れと綿入れ半纏を合わせると3人の女がちょうど

風呂敷に入れて担いでもおかしくない量だ。

その事を香魚姫様の所に報告に行くと

既に家の中の片づけが始まっていた。


それぞれ世話になった人に渡して貰えるように

荷物を風呂敷に包んでは名前を書いた布を縫いつけると言う。

お涼に使って貰おうとして、風呂敷に包まれていたが、
お涼もその内京に一家で行く話をすると喜んでいた。

香魚姫様は本当に心使い、
気配りのある人だと感心してお涼は帰ってきた。


お涼は其れまでに自分も何か世話になった人に
お礼をしたいと思った。

お涼達一家が京へ発つのは4月になってからである。

其の前に雪を掘ってやわらかいちびタケノコでタケノコご飯を作って

お涼も世話になった人にご馳走しようと男山に入った。

2年前に竹が切られてから、
タケノコが見つけやすくなった
穴場をお涼は見つけておいた。

ちびタケノコとは頭が出たばかりの
まだ成長しきってないタケノコを
早取りするのである。

此れはどこにあるかを余程詳しく知っていないとできない。

お涼は急斜面の山を籠をしょってどんどんと登って行った。


もう何度も来て、其のわずかな違いを見分けられる様になっていた。


此のタケノコは傷つきやすい。
成長して無いぶん、柔らかいのである。

長さは10センチ前後。

3月になってからだとその年によって遅い時もあるが

ちょうど雪が解けたかどうかの時が良い。

実は1週間前にも来ていた。

そして見つけた所にしるしをつけておいたのである。

昨日来るはずだったが、季節外れの雪が降った。
そこで一つだけ印の解けた所を一本掘って、
後は梅の花を見ただけで帰って来た。

早咲きの梅に白い雪が乗って、
お涼は其の梅の強さに感激した。

与一が、寛太がお涼の子供の頃の話を昼の休みの時に聞いたと言う。

二人はすっかり打ち解けて
昼は一緒に飯を食っているようだ。

小さい子供のお涼が見つかった、その日は夏でも特に暑い日で
修験者も涼もうと日掛けに入ると其処にお涼が日を避ける様に

そして誰にも見つからない様にひっそりと屈んでいたそうだ。

明らかにお涼一人で周りに誰も居ない。

生きる為の3歳の子供の考えた知恵だ。

「そんなに生きたいか?なら、生きれる所へ連れて行ってやろう」と言って

寛太の居る村へその子を連れてきたそうだ。
 

名を聞いても首を振って言わないので
涼しい所に居たのでお涼と名をつけられた。

其の3日前、修験者が水を一杯頂こうと一つの農家の家を訪ねた時に
家族の死体の中でボー然としている寛太を見つけた。


親の死体の傍に一人の侍の死体が在った。
おそらく寛太がやったのだろう、手に鎌を持って居る。

名を聞くと「寛太」とポツリと言った。

そして、諦めた様に座り込んだそうだ。

修験者が俺と来るか?と言うとうなずいて
ついて来たそうだ。

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2012/05/04 21:42
彩夜はまだ母親が生きてましたので、母親と一緒の部屋に寝かされました。

お涼と寛太は一緒の小さな小屋の上に寝かされました。

ちびすけと言われて、彩夜に遠慮している大人の忍者達も

二人には気軽に接していました。

そこで二人は大人の愛情をたっぷり貰って育つのです。

大人の忍者達も愛情の出す場所が欲しかったのです。

子供を抱き上げて乳房の間に入れて湯あみをしてあげて見たかったくノ一も居るのです。

そんなくノ一のさびしい愛情をたっぷり注がれて、

お涼も寛太も性格が良く育ちます。

後で夕奈が10歳頃に来ます。

その前に彩夜の母親が仕事先で死んで

彩夜とお涼と寛太が一緒の部屋に寝かされています。

其の後にお涼より二以上下の年代の子が入ってきます。

稲や、自称大工の身内として入ってくる子達です

其れと彩夜が女郎屋を開くのに連れて行く娘です。

村長は彩夜の母親とは親子ほど年の離れた人で

彩の母親の年代の手練れの忍者に成る物を連れて

山奥に村を作って、衛兵を育てる村にまで作り上げた人です。

何処かの侍で、腕が立ち、小さな出城を領主の二男と家来達と守っていたのですが、

二男が自分を守る侍を連れて逃げて、最後まで闘って、

何とか出城を守るのですが、肝心の本体が負けて、

出城を明け渡して生き残った兵と出城の飯炊き女とで

此の山に逃げて、隠れ住みます。
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2012/05/04 20:44
出発の準備・・・整ったようです
寛太のお話は初めて聞きました

では・・・・さらに次を・・・・・



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