続ワンコ侍 (下)
- カテゴリ:レシピ
- 2012/05/02 20:16:44
夜空の星が瞬く影で 悪の笑いがこだまする
街から街へと泣く人の 涙背負って始末旅
今宵も奴らが 天に代わりて悪を討つ
時は江戸 所は仁湖斗藩
ついに藩主三四郎を追い詰めた一行。
しかしその前に立ち塞がる一人の男がいた…。
襖を斜に斬った刃は、ご隠居の鼻先三寸を掠めて行った。
「ほ~アレをかわすか 案外やるじゃん賊のくせによぉ」
その風貌にワンコ侍は見覚えがあった。
「あなたは、うっかりさ~ん!!」
「なんだワンコじゃね~か おうおう一同雁首揃えて賊の真似事か?」
「違うなの 仕事人のお手伝いなの!ね~京さん」
「おいおい 俺の正体バラすなって! ま、そういうことだ そういうてめぇは~」
「無論 悪藩主の用心棒よ」
「なるほどつまり敵だな」
「そうなるな」
「なら死ね!」
カキーン キーン
二人の壮絶な打ち合いが始まった。
「たいしたことねぇな~それでも仕事人かよ」
「ぬかせ!」
(こいつは、やべぇ~マジで桁違いのモンスターじゃん)
防戦一方の京を見かねてご隠居一行も加勢を始める。
「京さんを助けるのよ~!」
ご隠居にかくさん、ワンコ侍が参戦4:1となり、やや互角の展開に藩主三四郎もビビリだす。
「おい、はちべえ大丈夫かいのう?」
「るせぇ~黙ってろ」
うっかりさんは、三四郎を蹴飛ばすがそのため体勢が崩れた。
「今よ!押し倒しちゃって!」
「お い きたねぇぞ~」
藩主三四郎に覆いかぶさるように倒されるうっかりさん+4人。
(プスッ)
「ん? ちょっと待って何か音したのね?」
一人一人立って行くと、一番下にはうっかりさんの刀が脳天に刺さり絶命した三四郎の姿があった。
「うっかりさん!ナイス! 悪は滅びたのよ!」
「さすがだのう 今までのは油断させるための芝居ってわけか!」
「そうなの? 見直したなの!」
皆で次々とうっかりさんを褒め称えるが当の本人は肩を震わせていた。
「んなわけね~だろう!」
うっかりさんは神刀台無をビュンと降りぬくと襲い掛かってきた。
「俺様のサクセス邪魔しやがって…。てめえら全員ブッとばす!」
逃げまどう一行 追いかけるうっかりさん 家財一切合財が切り刻まれていく。
「うっかりさん! それダメ~大黒柱よ!」
「大黒だか布袋だかしらねぇが~真っ二つぅぅぅうう」
「あーーーー!!!」
ミシ ミシ ミシッ ミシッ
「みんな逃げて!!」
「ネズミのように逃げ惑え!!」
ミシ ミシ ミシッ ミシッ ミシ ミシ ミシッ ミシッ
ズーーーーーーン
とうとう藩邸は倒壊した。
「ふぅひどい目にあったのぅ~みんな無事かな…? ちゃんと4人いるのぅ」
「さすがに人が集まってきやがったな。 よし金目のもんパクってずらかろうぜ!」
ノリノリの京をかくさんがたしなめた。
「おいまて、そりゃダメだろ!」
無事逃げおおせたご隠居一行は、腹ごしらえのために蕎麦屋へと立ち寄った。
「悪を倒したあとの一杯はまた格別じゃのぅ」
「ご隠居さん、昼間から一杯やっちゃってるなの!」
「しかしさっきからどうも何か引っかかる…。何か忘れとりやしないかのう?」
「気のせいではないですか?尾行された様子もないですし…」
「そうそうちゃんと4人揃ってるなの! ご隠居さん、かくさん、京さん、ワタシ、ね!」
「ん~なんか引っかかるんじゃが ま!いいか!」
「おじいちゃんもう酔っちゃったのね!」
「いやいや これはボケる前兆か」
「お前ら~!カーハッハッハッハ!」
「あははははは」
4人の笑い声が、仁湖斗藩の青空にこだまする。
今日も仁湖斗藩は五月晴れ! めでたしめでたし。 (完)
その頃……。
藩邸の瓦礫の下で消えゆく命の灯火がひとつあったという……。
ブログアップする前にお話したかったのですが
時間なくて出来ませんでした。
恭介さんに言われた「頑固だね」が心に刺さっています。
これからも、頑固者ですが宜しくお願いいたします。
名前のせいか、うっかり忘れ去られ・・・
でも、おおむね、めでたし、めでたしなのでした(お約束)
子ワンコのほうは数にいれなくて大丈夫です。あれはオマケみたいなものですから
海におとされたハチベイはなんと本当に印籠を拾って泳いで辿りつきましたw
あきれたタフガイなのですよ!
うっかりさんは敵ではないのです!今回はたまたまそうなりましたが
本来はご隠居一行ですよwそして海のど真ん中で落とされても生きている彼のこと・・・。
あの程度でリタイヤなど考えられないのですw
最後まで読んでくださってありがとうございます。
初夢は、そろそろ書きます!(イヤ本当にw)
そうなのですwあわれハチベイは崩れた建物の下敷きに・・・。
そしてすっかり存在を忘れられていたのでした。
楽しく読ませていただきました♪
最初のお話の時から どうしてもわんこ親子二人が重なって
気になって気になって
人数を数えながら読んでましたw
筒井康隆の小説にそういうのがあって そこらへんにオチがあるんじゃないかと思って~
おやこのどっちが残っちゃったのかとドキドキして読み返したら
はちべえさんがいないんですねwww
考えすぎちゃったw
次の活躍を楽しみにしてます^^
それにしても・・・
例のあれを持った人は海から生還できたんですか?
うっかりさんは敵ということなので、まぁ仕方ないのかな。南無南無(=人=)。
ワンコ侍・・いろんな時代劇番組のミックスのような・・。
『初夢の続きは』楽しみにしてますよw
そっか~
大黒柱切っちゃったんだもんね^^;
消えゆく命・・・誰?^^;