Nicotto Town



続ワンコ侍 (中)


夜空の星が瞬く影で 悪の笑いがこだまする

街から街へと泣く人の 涙背負って始末旅

今宵も奴らが 天に代わりて悪を討つ



時は江戸 所は仁湖斗藩

京に命を救われたワンコ侍。 眼前で繰り広げられる悪逆無道

見過ごしておけるはずもなく 正義の咆哮が仁湖斗藩にこだまする。




ゴン!

鈍い音が、辺りに響き、娘を連れて行こうとしたゴロツキAはもんどり打って倒れた。

ワンコ侍の刀の峰は、ゴロツキAの脳天にメリ込んでいた。

相棒の異常に気付いた男は、父親を蹴るのを止めすぐさま振り向き刀を抜いた。

「なんだてめぇ! 正義の味方気取り…か…」

しかし言い終わる前に、ゴロツキBは倒れた。

ワンコ侍の刀の峰はゴロツキBの顔面を的確に捉えていた。

大の男が2人して地面に寝転がると同時に、周囲からは賞賛と狼狽の声が上がった。

京があわててワンコ侍に駆け寄ってきた。

「おいおいお前さん、大儀名分はどうしたんだよ?」

「ちがうなの~今のはお蕎麦代!」

京は、プッとふきだしながら。

「なるほど、義理堅い奴だ」

「それでは、迷惑掛かるので拙者これにて失礼するなの」

「ああ、きぃつけてな」

ワンコ侍がその場を離ようと歩を進めると、後ろから声が上がった。

「ぉ…おい!役人を呼んで来い」

「ひぃ…こいつら死んでる!」

「犯人? あのイヌか~」

「キャーーー」

「お父ちゃん逃げるのよ~」

子ワンコが吼えるような声を上げる。

しかしワンコ侍は声よりも先に猛烈にダッシュをしていた。


「ゼェゼェゼェ…一体なんなのよ」

「お父ちゃん、殺しちゃったの?」

「そんなのしないなの! フッ峰打ちでござるぜ! ってやったはずなの」

「じゃあ、誰が殺しちゃったなの?」

「う~ん? わからないなの! でももしかしたら…」



草木も眠る丑三つ時

壁を飛び越え仁湖斗藩の屋敷に忍び込むひとつの影があった。

その影を負うように重なるもうひとつの影。

「キャーイキナリ見つかっちゃってるなの!」

だが人影は、ガクンと崩れ落ち倒れた。すでに息絶えている。

そしてその向こうに居た人影に、ワンコ侍は見覚えがあった。

「…あなたは!京さん!」

「おぅ~ワンコ珍しいとこで会うな」

「京さんが仕事人なの?」

「おいおい何言ってるんだよ! 俺はイケメンかんざし屋だよ?」

「でも、現行犯だし…証拠十分だし…」

京の手には血の付いた匕首が握られていた。

すると後ろの茂みから声が聞こえてきた。

「ご隠居どうやら先客のようですぞ」

「何!?悪を成敗するのはワシの至上の喜びじゃぞ! 邪魔をするのはどいつじゃー?」

茂みから出てきた2人とバッタリご対面のワンコ侍。

「ご隠居さん! かくさん!」

「お~ワンコよ!生きておったか」

「うんうん どうしてこんなトコにいるなの?」

「皆まで言わすなよ 悪あるとこに我らアリ だろ?」

「じゃあ、4人揃ったトコで成敗しちゃう?」

「や~!」

黙って聞いていた京が横から口を挟んだ。

「おいおい 俺も頭数に入ってるのかよ」

「悪を倒す、正義の仲間なの京さんも!」

「つるむのは趣味じゃないがしゃぁないな。いっちょやるか!」

「おー!!」

深夜の大バトルここに発生!

「オラオラ~藩主てのはこんなもんかよ!」

ドカバキグサッ!ドカバキサクッ!ガッチャーンガラガラ!

ドカバキグサッ!ドカバキサクッ!ガッチャーンガラガラ!

ゴロツキから藩主の部屋を聞き出した一行は、

いよいよラスボス仁湖斗三四郎の間の前まで来た。

「どうやらここのようだな」

「じゃあワシ直々に…」

ご隠居が襖に手をかけた瞬間、襖は斜に切れた。

「今晩は、そしてぇええ 永遠にグッバーーイ!」

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2012/05/05 21:44
ワンコ侍は本当に犬(ワンコ)だったのですね
なにやら有名時代劇とのコラボの匂いが・・・

刑事ワンコって言うのもありましたが

続きは明日のお楽しみー
アバター
2012/05/03 22:05
またゆっくり読ませて頂きますよ



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