続ワンコ侍 (中)
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- 2012/05/02 20:13:41
夜空の星が瞬く影で 悪の笑いがこだまする
街から街へと泣く人の 涙背負って始末旅
今宵も奴らが 天に代わりて悪を討つ
時は江戸 所は仁湖斗藩
京に命を救われたワンコ侍。 眼前で繰り広げられる悪逆無道
見過ごしておけるはずもなく 正義の咆哮が仁湖斗藩にこだまする。
ゴン!
鈍い音が、辺りに響き、娘を連れて行こうとしたゴロツキAはもんどり打って倒れた。
ワンコ侍の刀の峰は、ゴロツキAの脳天にメリ込んでいた。
相棒の異常に気付いた男は、父親を蹴るのを止めすぐさま振り向き刀を抜いた。
「なんだてめぇ! 正義の味方気取り…か…」
しかし言い終わる前に、ゴロツキBは倒れた。
ワンコ侍の刀の峰はゴロツキBの顔面を的確に捉えていた。
大の男が2人して地面に寝転がると同時に、周囲からは賞賛と狼狽の声が上がった。
京があわててワンコ侍に駆け寄ってきた。
「おいおいお前さん、大儀名分はどうしたんだよ?」
「ちがうなの~今のはお蕎麦代!」
京は、プッとふきだしながら。
「なるほど、義理堅い奴だ」
「それでは、迷惑掛かるので拙者これにて失礼するなの」
「ああ、きぃつけてな」
ワンコ侍がその場を離ようと歩を進めると、後ろから声が上がった。
「ぉ…おい!役人を呼んで来い」
「ひぃ…こいつら死んでる!」
「犯人? あのイヌか~」
「キャーーー」
「お父ちゃん逃げるのよ~」
子ワンコが吼えるような声を上げる。
しかしワンコ侍は声よりも先に猛烈にダッシュをしていた。
「ゼェゼェゼェ…一体なんなのよ」
「お父ちゃん、殺しちゃったの?」
「そんなのしないなの! フッ峰打ちでござるぜ! ってやったはずなの」
「じゃあ、誰が殺しちゃったなの?」
「う~ん? わからないなの! でももしかしたら…」
草木も眠る丑三つ時
壁を飛び越え仁湖斗藩の屋敷に忍び込むひとつの影があった。
その影を負うように重なるもうひとつの影。
「キャーイキナリ見つかっちゃってるなの!」
だが人影は、ガクンと崩れ落ち倒れた。すでに息絶えている。
そしてその向こうに居た人影に、ワンコ侍は見覚えがあった。
「…あなたは!京さん!」
「おぅ~ワンコ珍しいとこで会うな」
「京さんが仕事人なの?」
「おいおい何言ってるんだよ! 俺はイケメンかんざし屋だよ?」
「でも、現行犯だし…証拠十分だし…」
京の手には血の付いた匕首が握られていた。
すると後ろの茂みから声が聞こえてきた。
「ご隠居どうやら先客のようですぞ」
「何!?悪を成敗するのはワシの至上の喜びじゃぞ! 邪魔をするのはどいつじゃー?」
茂みから出てきた2人とバッタリご対面のワンコ侍。
「ご隠居さん! かくさん!」
「お~ワンコよ!生きておったか」
「うんうん どうしてこんなトコにいるなの?」
「皆まで言わすなよ 悪あるとこに我らアリ だろ?」
「じゃあ、4人揃ったトコで成敗しちゃう?」
「や~!」
黙って聞いていた京が横から口を挟んだ。
「おいおい 俺も頭数に入ってるのかよ」
「悪を倒す、正義の仲間なの京さんも!」
「つるむのは趣味じゃないがしゃぁないな。いっちょやるか!」
「おー!!」
深夜の大バトルここに発生!
「オラオラ~藩主てのはこんなもんかよ!」
ドカバキグサッ!ドカバキサクッ!ガッチャーンガラガラ!
ドカバキグサッ!ドカバキサクッ!ガッチャーンガラガラ!
ゴロツキから藩主の部屋を聞き出した一行は、
いよいよラスボス仁湖斗三四郎の間の前まで来た。
「どうやらここのようだな」
「じゃあワシ直々に…」
ご隠居が襖に手をかけた瞬間、襖は斜に切れた。
「今晩は、そしてぇええ 永遠にグッバーーイ!」
なにやら有名時代劇とのコラボの匂いが・・・
刑事ワンコって言うのもありましたが
続きは明日のお楽しみー