【アリスサークル】短編。
- カテゴリ:自作小説
- 2012/04/30 22:52:03
三日しか名前を覚えていられないピエロと優しい時計屋。
_________
私には、みんながもっているものが無い。
みんなはそれで自分が呼ばれていることに気づいたり、誰かを呼んだりするけど。
私は誰にも呼んでもらえないから、それが無かった。
_________
「あんた、名前は?」
マスターに言われて逃げてきた先に、その青年は居た。
全身黒ずくめで、長いポニーテールと猫みたいな笑顔が特徴的な青年だった。
「…え……あ、」
――そんなの、無い。
、
私は答えることが出来なくてただ俯いて、フードの下で泣きそうな顔を晒す事しか出来なかった。
___
マスターは確かに優しかったけど、私を名前で呼んでくれたことなんてなかった。
…いや、正確には名前はあった。
__479
この淡白な3文字の数字が、私の名前。
右頬に刻まれた数字は、商品番号だった。
私は物心ついたことから、それが「名前」なんだと思い込んでいた。
みんな数字がついていて、それで呼ばれているんだって。
…まわりのみんながそうだったから。
でも違った。
マスターに買い取られて、私は他の見世物たちが「名前」で呼ばれていることに驚いた。
同時に羨ましかった。
そんなものがあるのかと、自分にも「名前」がほしいと思って仕方が無かった。
マスターは私を気遣ってくれたんだ。
幼い頃からそれが名前だと信じてきた私を。
それが私にとって一番辛い事だった。
結局マスターは最後まで私を名前で呼んでくれなくて、でも。
別れる直前に、マスターは私に、この抜け道の途中に居る墓守に懐中時計を貰え、と言った。
__マスターの言いつけは絶対だし、マスターは私を裏切らないと信じきっていた。
まるで本当に獣でも出てきそうな薄暗い獣道の途中に、その墓守は本当に居た。
死神みたいな姿をした墓守は私に、綺麗な銀色の懐中時計をくれたんだ。
お礼を言おうとしたら、男は闇に紛れるように消えてしまって。
私はひたすら走った。
やがて森を抜けると、その青年は居た。
___
でも私はいつからか気づいていた。
心のどこかで、ずっと前から本当は気づいていたんだ。
___
「………そ、の…私…」
言葉を紡ぎ出せない私に、青年は困ったように笑っているようだった。
でも私の首にさがっている時計を見ると、
「なぁ、この時計、誰から貰ったんだ?」
急に真面目な顔になって私に訊いてきた。
死神みたいな人に貰った、とだけ言うと青年はふむふむと頷き何か納得したようだった。
さっぱりわけが解らない。
青年はその時計に手を伸ばして丁寧に扱いながらも嘗め回すようにひっくり返したり蓋をあけたり、と繰り返していたがやがて。
裏面を見て動きを止めた。
「そうだな、お前の名前、俺がつけてやる」
___
師匠だけが、不安定な私の心のより所だった。
何があっても絶対に守ってくれる。
馬鹿みたいにそう信じていた。
でも、師匠が居なくなって私は初めて気がついた。
…私の名前…
___
青年はそう言って猫のように笑った。
あとから事実をしった私は、今でも三人に感謝してもしたりないことを覚えている。
「ティアー=ノーレット」
泣き虫にぴったりだ。と青年は私の頭をなでながら笑った。
驚いたように青年を見つめる私に、いや、私を。
初めて呼んでくれたんだ。
___
私の名前を、
誰かが私を呼んでくれる。
だから私はそこに居られる。
師匠が居なくなってしまった。
私を誰も、呼んでくれなくなった。
―わたしハ、
たまに顔をあわせるステラが私を呼んでくれるたびに、私は"思い出す"。
でもステラが帰ってしまうと、私は一人になる。
…一人ぼっち。
それを感じることによって、私の中で何かが消えていってしまう。
私はそれが何なのかさえ、解らない。
毎日ただ、何も感じずに一人で過ごしていた。
意志の無い自動人形のように。
「…、」
そして気づいてしまった。
多分、3日目くらいだったとおもう。
いつもみたいに洗面台で鏡を見たわたしは。
「……、」
そこに映っている少女の顔が、
だれだか ワカラナカッタ んだ 、
――だれ?
___
「ティアー」
私は自分の目から溢れ出した熱い雫の名前を、今でも解らないでいる―――
クロウ兄さんは神がかっているくらいにかっこよすぎて彫れてしましそう((
いやー…ダイナくんはねー…
ヴァシカさんに拾われるまで荒れるに荒れてましたよwwww
クロウ兄さんはかっこええのぉ
キャラ表のやつは見ていたがなるほど、裏にこんな物語があったのか
ティアーちゃんを俺の萌えキャラ表に記入したw
ですよねー
でもイベントだと大事になってしまいますし……
ダイナの妹のミューナちゃんに協力してもらおうかとb
クロウ兄さんかっこいいっすwwwww