スナイパーへのメール
- カテゴリ:自作小説
- 2012/04/28 22:18:32
私は”超”が飽きるほどつく凄腕スナイパーだ。
ちなみに好きな数字は13。
すでに何人も手にかけてきた実績がある。
今、新たなターゲットの狙撃ポイントでタイミングを計っているところだ。
今回のターゲットはとある男。プロはそれ以上のことは聞かないものだ。
仕事はなるべくシンプルに、というのが私のポリシーなのだ。
もうそろそろターゲットがオフィスの自室に戻るころだ。
ここは約10m離れたビルの屋上、ほぼ快晴に近い天気なので光化学スモッグが
立ち込める都会の割には視界も良い。
たまに吹く風はこの距離の弾道を狂わすほどではないだろう。
まわりを見渡しても視線は感じない。ここで私がスナイパーライフルを構えていても
おそらく誰からも見られることはないはずだ。
決めるのはたった一発のみ。もちろん予備の銃弾は持ってきているがお守りのようなものだ。
スナイパーたるもの、仕事が終わればすぐに引き上げるのが鉄則だ。私の足元にはギターケースと同じ形のライフルを入れるケースを開けて置いてある。仕事が終われば私はただのギタリストだ。
いつ誰がここに来るかわからないのでギターケースは屋上の扉に立て掛けてある。
スナイパーといえばパリッとしたスーツを着てサングラスをかけた紳士を思い出すことだろうが、実際はそんな格好をしていたら逆に目立ってしまう。しかも怪しげなケースを持っていたらそれこそ自分の正体をプラカードでアピールしているようなものだ。
本当のスナイパーはあくまでも一般市民に溶け込む格好をしているし、普段もそんな感じで暮らしているものだ。私もこの仕事を始めてすぐはパリッとしたダークスーツに真っ赤なネクタイをして背筋を伸ばし、何事にも動じないスタイルを貫こうとしたものだ。しかしそれはとても愚かなことだと痛感した出来事があった。
それはそう、夏真っ盛りでとても暑い時期の出来事だった。クライアントからの依頼で、プライベートビーチで寝ているターゲットをしとめることになったのだが、とにかくスーツは暑い。しかもビーチという場所柄、スーツを着た人間など皆無だった。そんな男が一人で歩いていたら、それこそコスプレを見るような視線が集まってとても隠密行動などとれるはずがない。
そこで悟ったのだ、その場の状況に応じた姿でいることが一番の隠れ蓑になることを。尊敬する太眉毛の先輩も常ダークスーツを着ていたか?外国に行けば民族衣装を着ることもあったではないか?マンガだけど。
郷に入らば郷に従え。朱に混じわらば朱に染まれ。・・・だったか?
まあいい。
この近くには学生が多いらしく、ギターを持って歩く連中も少なくない。今回はそんな学生のようないでたちで望んでいる。これならば怪しまれずに済むだろう。本当は30をとっくに超えてしまっているのだが・・・。
念のため今どきの学生言葉もマスターした(つもりだ)。いざとなったら
「ちょーやばくない?」
これはかなり使える。なぜなら否定的にも肯定的にも使えるからだ。
発音もばっちりだ。取り合えず語尾を上げればいい。
この場合、「ちょー」でいったん上げて、「やばくない?」でも上げる。疑問文だが、それほど質問の意思は弱いらしいので
誰からのリアクションはなくてもよい。
さて、そんなこんなでそろそろターゲットが狙撃ポイントに来るころだ。
ブルルルルル・・・・
なんてこった。まさか、こんなタイミングで携帯が鳴るとは。
仕事に携帯は必須アイテムだ。もちろんクライアントとの連絡に使うのだが、用途はそれだけだ。一度の仕事でひとつの携帯を持つ。終われば捨てる。同じ携帯は2度と使わないのは身元がばれないのを防ぐため。
たまにクライアントに情が湧いて直前で延期してほしいという知らせもなくもない。
もしかするとそのたぐいの連絡なのかもしれないが、その場合のほとんどは通話なのだが、これはどうやらメールのようだ。
「帰りに豚コマ300g買ってきて。なければバラでもいいから。それから今日は寄り道しないで帰ってきてね。」
・・・なんだこれは。
後編につづく。
中学の美術の先生がCITYHUNTERじゃなくてキャッツアイに犯人役で出てました。作者の友達だそうで。
話がずれましたね・・・^^;
摩亜屈さん
はじめまして。
簡単に終わらせようと思ったんですがちょっと長くなっちゃいます。
よかったら続きもどうぞ。
穂夏さん
なかなか深い暗号が隠されてます。なんちって。
続きをこうご期待・・・とかハードル上げちゃっていいのか?
はじめましてです^^
なんだか続きが気になります^^
楽しみにしてますね!
…いきなりですいませんでした^^;
CITY HUNTERが大好きだったりりんなのでした(✿→艸←)