保険論
- カテゴリ:20代
- 2012/04/18 02:16:41
一口に保険学と言っても、保険には様々な側面を有しており、例えば保険経済学、保険法学、保険経営学、保険数理、保険医学等が存在する。保険学は言わば総合科学である。
近年では保険をリスクマネジメントの中の一手法として理解する立場もあり、アメリカではリスクマネジメントアンドインシュランスと題するテキストも多く存在する。
新保険学では総合科学としての保険学入門のきっかけとなるよう配慮された構成となっている。章立てとしては、制度論、リスクマネジメント論、保険経済学、保険法学などで構成されている。
制度論では、保険とは何かについてや保険の特質について記述されている。
保険とは何かというところでは、入用充足説と経済生活確保説という、保険についての二つの学説を論じている。
入用充足説では、保険とは、同様なリスクにさらされた多数の経済主体による、偶然な、しかし評価可能な入用の相互的充足であるとしている。この考えは自然で受け入れやすいものであると思われる。
もう一方の経済生活確保説では、不確定な将来に対して経済上の保護を得ようとする動機が、全ての保険において、保険契約者をして保険契約を締結させる、としている。この考えも保険を説明するのに支持できるものであると思われる。
保険の特質としては、保険は、大数の法則、収支相等の原則および給付反対給付均等の原則という数理的あるいは技術的な法則および原則が当てはまるように運営されており、高い技術性を有している点や、団体性、公共性といった点が挙げられている。
制度論からは保険の総論的な事柄を復習するのに役立った。直接的に業務に関連することはないが、保険会社で働く人間として知っておいた方がよい事をまんべんなく学ぶことができた。
リスクマネジメント論では、リスクの概念、リスクマネジメントやリスクファイナンスについて記述されている。
ひとことにリスクと言ってもそれを指す意味は様々あり、例えば損失発生の可能性であったり、期待値であったり分散であったりする。保険経済学ではリスクと言えば分散を指すことが多いが、一般に使用されるリスクという言葉はこの限りではない。
リスクマネジメントやリスクファイナンスの分野においては、業務で携わったこともあり、復習になった。保健分野におけるリスクマネジメントと言えばCOSOが有名であるが、これについても言及されており、よい復習となった。
リスクファイナンスはアクチュアリの試験勉強や業務で得た知識があったので読みやすかった。ただし本機構においてリスクファイナンスを実務に応用する事はないと思われるので読み物としての知識にとどめておいて十分だと感じた。
入社二年目のときに読んだ際はよく分からなかったことや何となく漠然と捉えていた箇所も、数年後に読み直すとすんなり理解できるようになった。業務知識が増えていたのだろうと思う。
その他にも、本機構が編集している自動車保険論や自動車保険の概況などを読み、実務を思い出すための復習とした。特に自動車保険の概況は担当者として編集に数回参加したことがあるので、思い入れも強かった。業務に復帰する気持ちも強くなったと思う。実際に今年度の作成に携わるかどうかは分からないが、携われるとしたら全力で業務を遂行したいと思うようになった。