すでに予兆を感じていた。(忍者物語)其の19
- カテゴリ:30代以上
- 2012/04/17 22:07:31
忍びの技で隣の部屋に忍び込み
佳世と正太の仲直りの様子を聞いていた、お涼は可笑しいやら
正太が精神的にも大人の男になって居る寂しさも感じました。
正太がとっくに女郎屋に行っていたのは知って居ました。
佳世が祖父の棟梁の家に行って、間もない頃に
お涼の顔見知りの忍者が訪ねて来ていました。
その内、正太を待ち伏せて、さも偶然在った様に見せて
飲みに誘い、女郎屋へも連れて行ってました。
その時の最初の様子を笑い話の様にお涼と与一に
話していたのです。
正太の嘘を佳世は見抜けませんでしたが、
お涼はそれで正太も精神的にも男になって居ると感じました。
そして、其の頻繁に忍者が此の領土に入り込み
情報を得ている事から不穏な動きを感じてました。
お涼は聞く事もしない。それはご法度。
それぞれの仕事の話はチーム以外ではしない。
だが、正太と与一がその頃修繕に行っていた家が
武家屋敷の一つだったので、
正太を取り込んで何かを調べさせたのかも知れません。
正太は其の後またお涼達の家に帰って来て
与一の修繕屋を手伝いましたが、
建て増しの仕事も引き受けて、忙しい毎日を過ごしていました。
其の領土とお涼が前に雇われていた反対の領土が
向こう隣りの領土に襲撃されて落ちました。
次の日には知らせが来て、
明日にも今後の警備の見直しの会議が在ると
武家屋敷にも伝令の馬が走り、
佳世の前の家の前が街道になって居る城下町だったのですが、
伝令の馬と其の噂で人が表に出て騒がしかったです。
佳世は不安に思いながらも床に付いたその夜の明け方近く。
襖がカタカタと揺れたと思ったら地鳴りの様な轟音が近づいてきて
更に、家が揺れて飛び起きて雨戸をあけると遠くが赤く光っています。
すぐに棟梁を起しに行った時は他の人達も何事かと起きて来て
外に出ようとしてました。
「にげて~!にげて~!」と叫びながら、
棟梁を引き起こすと服を着ようとしている棟梁に
そんな「暇はない!こっち」と街道の反対側に連れ出しました。
あっという間に街道沿いの前の家が赤く火に染まり、
自分達の家の方にも、どやどやと人が来る気配がします。
「こっち!」と佳世は棟梁を引っ張るとどんどんと
街道から離れた方へ逃げて行きます。
街道から城へ向かう事は推測が出来ました。
そこいらじゅうが火の海と悲鳴と怒号と城へ向かう敵兵の地鳴りで
あちこちの家からパニックになった人が出てきます。
その中を佳世は棟梁を引っ張って、少し逃げ切れたと思ったら
棟梁の尻を押して屋根に上らせました。
屋根の上で体を伏せながら、
敵兵が戸をけ破って中の人を殺して出て行くのを待って、這う様に少しずつ、
進んで、できるだけ街道沿いの
其の奥の奥まで敵兵がパニックになった人達を襲っている現場から
遠くへ屋根伝いに逃げました。
お涼達の家は早くに開けた城下町から離れた
比較的新しくできた長屋です。
其れでも地鳴りは聞こえましたし、
騒動はきこえましたし、そとへ出ると真っ赤になった一帯が
街道沿いの城下町は遠いのに見えました。
佳世達の家の方からどんどんと凄い勢いで城に向かって
川の様に赤い場所が連なっています。
暫く行くとパニックになった人達で行けないと判断した3人は
屋根に上って屋根伝いに佳世の家の方に向かいました。
ある程度進んで比較的高い屋根の上で立ち上がって様子を見ると
遠くにこっちに向かってくる屋根の上の人影が見えました。
其れを目標に進むと暫くして佳世と棟梁だと解りました。
向こうもこっちを見つけた様で必死に近づいてきます。
まずは無事を確認して、ひとまずお涼の家に屋根伝いに
戻りました。
流石に敵もお涼達の家の方まで寄り道して殺して行くほど暇じゃない。
城との攻防が始まり、すっかり明けても続いて居ました。
その頃はあちこちに逃げる人で
お涼達も荷物をすぐにまとめて、
荷車に乗せて、足を痛めた棟梁を乗せて更に城下町を外れて、
せめて来た国の反対の山へ向かっていると
こっちに向かってくる人達がいるので聞くと
山から見て居た人が、敵は城を落とせないと
諦めて帰ったと言うので一旦お涼達の家に戻りました。
次の日、佳世達とお涼達が佳世の家に戻ると
離れ屋だけが残っていました。
何よりも哀しかったのは何人もの大工達の死体と
飯炊き女中達の死体でした。
其処までに大勢の死体と死体を荷車に乗せて寺に運ぶ人達にすれ違ったり
拝んで跨いだりしましたが、
流石に此れは5人とも涙が止まりませんでした。
荷車に死体を乗せて、寺に運びましたが、
寺に近づくにつれて、そんな台車でいっぱいで進めません。
やむなく引き返して、筵を開けて、線香を傍に立てて、
一晩中線香を絶やさない様にしていると
数人の生き残った大工達と女中が帰って来ました。
まだ街道の方に逃げた仲間の死体がそのままだと言うので
荷車を持って知った大工の顔を探して運んで
広い木材置き場の木材が燃えて、
場所が出来てましたから
筵を引いて、其の上に遺体を置きました。
逃げる事しかできないし、侍に抗議すらできない。
逃げまどい現実を受け入れるだけだったのが多くの人達だったとしました。
主人公が刀を持って義や忠義の為に闘ったのが多いでしょうが、
あえてそうじゃない人を取り上げました。
というには あまりにも厳しい現実!
実際の事件(といっていいのかどうかさておいて)も、このようなあんばいだったのではないでしょうか?
其れなりに銭を土を掘って埋めたり、釘やノコ、鑢、鉋を油紙に包んで土に埋めました。
逃げられる様に貴重品はまとめて風呂敷に包んで居ました。
まさか、隣の隣の国が隣を落とした次の日に来るとは思っても居ませんでした。
ちゃんと武家屋敷は襲って居ますから、
其の隣の隣の国も忍者を入れて調べていたのでしょう。
全く気が付きませんでした。
手練れ者達でしょう。
更に長い事入り込んで居たのかも知れません。
しかしお涼達にも安心はありました。
お涼が前に使えていた国の姫の子供がこの国の誰かに嫁いでいました。
一応和議見たいな形を取っていたし、
其の反対の攻め落とされた国からも姫が一人嫁いでいました。
其れほど此の領土はこの辺りでは大きな領土で
此処は大丈夫だと言う気持ちはお涼でさえ持って居ました。
寺は悲惨な状態でした。
秋になったとは言え、残暑が残っています。
引き取って身内が寺へ運んだ死体は兎も角、
誰も引き取らない死体も道のわきに並べてありました。
身内が探しに来るのを待って置いてあるのです。
川に流された死体は縁に船に止められて集まって浮いて居ました。
佳世の離れが残っていたのは母屋と離れていたのと
元は土台の石材などを置居たりする物置だったのです。
其処を内装をきれいに改築して三部屋と土間など、
其れなりの美しい中だけきれいな家が出来ました。
雨戸を閉めたので、物置と誤解されたのか、荒らされませんでしたが、
其れでも、あちこちを壊されて開けようとした跡がありました。
其れよりも棟梁の居た母屋が外装も立派だったので其処は
燃やされて、更に中も在らされて火が付けらえた様です。
一応大工達は外に逃げましたがそこで殺されたり、
反対に街道の方へ逃げようとしてそこで殺されたりしました。
数人が佳世と同じ様に道に出ないで裏の細道を街道から離れる様に
逃げた者だけが助かりました。
少し考えば、街道沿いに城に向かう事は解るので
街道や城から離れれば、命だけは助かる可能性が高いのです。
町中を皆殺しにしている暇に城からの兵で返り討ちに合いますから。
忘れてました・・
容赦なく殺していくんだなぁ
忍者は違うナァ
屋根をつたって、流石です
真っ赤になった空が眼に浮かびました