Nicotto Town



お涼と与一の話、其の一(忍者物語)その12


其の雇われいた領地の一番最初の5年が過ぎるとお涼は別の任務に就きます。

其れは一転して、殺戮の激務でした。

京に近い事もあって、強奪、略奪、酷い時は一族虐殺もありました。

その中に在って、一つの落ち武者の強奪集団が在りました。

其の集団は周辺の小さな領地のそれなりの大きな家へ強奪に入って
一家を殺して火を放つと言う事をやっておりました。

其の族集団の討伐をついに領主から命ぜられます。

其れなりの手練れの集団を行かせてましたが、

お涼が入ったのは地形に詳しいからでした。

かなりの損害を其の集団に与えますが、

反撃に在った時にお涼がつかまり、

乱暴をされた挙句に殺される所を寛太と呼ばれていた

仲間にすんでの所で助けられますが、

刀をまっすぐ上から胸に突き刺される寸前に

抑えていた者達の手が緩んでとっさに身を縮めて胸を守り
転げる様に横によけますが足の小指と其の下をすっぱりと切られます。

其の後から来た仲間と寛太にその場は助けられますが、

戦力にならなくなったお涼は村に返されます。

これ以上戦力を失わせられない状態でお涼は一人で
抜ける事を言いますが、寛太が村まで送って
更に多くの手練れた人間をよこす交渉をすると言います。

其れなら、お涼を連れては早くに村に付かないので別々に行けとの
命に背いて、寛太は町はずれからお涼を背負って、村に向かいます。

復讐を誓った族の一団が執拗に追いかけてきます。

お涼は何度も自分を捨てろと言いますが、
寛太は黙々とお涼を背負って村を目指します。

其の途中に何度も俗に襲われて寛太は顔を切られて目を一つ
失います。

更に背中と胸にも深手を負いますが、お涼も反撃をして
何とか村に付きます。

村はすぐに反撃をしてついてきた族を全員殺して
更に手練れた者を派遣して其の族を皆殺しにします。

村を知って居る者を一人も残さない常識です。

お涼はしばらく傷をいやして、
元の割と安泰な5年間勤めていた領地の旅芸人に戻ります。

其の時在った大工の与一にはお涼は別人に見えたでしょう。

「体は売っても、男に売る心どころか見せる物すら、無い」と言うお涼に
其れでも、夫婦に成ろうといつか自分は一人前になってのれん分けを
して貰うからと言います。

其れを冷笑して突っぱねて、旅一座と旅に出ます。

足袋に小指の所に布の詰め物をすれば、旅一座と同じ程度に歩けます。

踊りは踊れません。

其れでも、三味線の師匠の所には片方に負担がかかって腫れあがった足を
引きづりながら、時々休みに来ます。

表向きは三味線のけいこになってます。

流石に足をひきづってくるので、足が悪い事は誰の目にも解ります。

師匠から、「盗賊に襲われて、彼女だけ逃げ遅れて乱暴されて殺される所を
何とか助けられたけど、それ以来男に心を許す事は無いから、
お涼の事は諦めろ」と与一は言われます。

お涼も目線一つ合わせず、冷たい空気が通り過ぎる様に男達の間を
通って旅の一座に戻ります。

やがて、其の領地での残りの5年の契約が終わります。

領主から、荒れ地を恩賞に貰った親方と呼ばれていた人を残して

残りは村に帰り、それぞれが別の任務に就きます。

お涼はまた数人で旅一座の仕事に付きます。




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