「今日のお目当てはタイヤキ～♪」
「あーん、私、まだパール釣ってないよお！」

わいわいがやがや、夕方になって賑わってきた釣り堀。

お勤め帰りの酔っぱらいサラリーマン、夜が活動時間の
黒猫、冬眠から目覚めて絶好調のカエルに、魔法使いなど、
集う人は様々なれど、気持ちはひとつ。

「レアが釣りたい！！！」

釣り堀なのにさざ波の立つ、川魚も海魚も一緒に泳ぐ、
不思議な水面を、みんな息を殺して見つめている。

ぴんぽん、ぴんぽん！

「・・・・かかったっっっっ！！！」

・・・・・しばし格闘ののち・・・。

「なんだあ・・・バケツかあ・・・。」
「私、もう、ナマズいらないよお・・・。」
「俺なんか、３匹連続、アブラハヤなんすけど！」

待って待ってやっとかかったエモノを苦労して釣り上げては、
ため息まじりに、また竿を振る。

「時間帯、なんすかねえ。」
「タイミングもあるのかなあ？」
「竿、何使ってます？」
「ああ、もう大漁マーク出ちゃった・・・。」

テンションのあがらない会話がしばし続くなか、
ふと水面を覗き込んだ、黒猫の目が大きく見開かれた。

「あっ・・・！何か、かかったっっっ！！！」

ぐいぐい、ぐいぐい・・・。水面近くに浮かぶ魚影は小さいような、
でも、ちょっと魚とも違うような・・・？？？

「く・・・！抵抗、強いっっっ！」
「頑張れ、逃がすな！もう少しだ！！」

カエルが負けないように手を添え、釣り糸が切れないように
気を遣いながら、黒猫と一丸となって釣り竿を引っ張った。

すっぱーーーーーーーーんっっっっ！！！

「おお！茶色の身体！まさしくタイヤキ！」
「おめでと・・・ううううううう？？？」

釣り堀に集まった一同、しばしの沈黙の後・・・。

「なんで・・・半身なの？？？」

確かに、釣り上げたのは、タイヤキである。
今週のレア魚で掲載されていた写真と同じ、
薄茶色の、まぎれもなく、タイヤキ。

でも、でも・・・何故か、身体の下半分が、ないのだ。
切れたお腹の部分からは、あんこがすこしはみ出して、
なんともみっともない恰好になっている。

「こんなの・・・アリだっけ？」
「さあ・・・・聞いたことないなあ。」
「ひょっとして、これってものすごくレアってコトじゃ！？」

わいわい、がやがや、論議は、微妙な盛り上がりのなか、
魔法使いが、背後に異様な気配を感じて振り向いた。

「きゃああ！なに、あれ！？」

いままでおだやかだった水面が、奇妙に黒々と盛り上がっている。
ざわざわと小さな波を打ち、、水面下に何やら、
魚とは違う、奇妙な影がうごめいている。

「う・・・動いてる！」
「・・・みんな退がれ！来るぞ！！！」

どんどん盛り上がってくる水面に、一同身構えながら
釣り堀から遠ざかった。

ざばあああああああああああんっっっっ！

「俺の、エモノを、返せえええええええええ！！！」

奇妙な叫び声を上げながら、水面から飛び出してきたのは・・・！！！

ゼイゼイ、ハアハア・・・肩全体を大きくくゆらし、全身で息を
吸い込みながら、らんらんと光る目で、一同をジロっと眺め回した・・・。

「く・・・くまちゃん？？？」

ウェディングイベントに登場すると噂の、ウェディングスーツを着た、
テディベア・・・。

「く・・・くまでわるいかっっっ！俺の・・・俺のごはんを、返せ！」

小さな身体を一生懸命引きずって、腕を大きく振り回しながら、
テディベアは、必死でわめいている。

「クマって・・・泳げたんだっけ！？」
「浅瀬でせいぜいシャケ獲るくらいだって思ってた。」
「びしょびしょ。身体重そうだね。」
「ぬいぐるみだからねえ・・・無理もないよ。」

天使に悪魔にカエルに猫に・・・キメラを見慣れている一同に
とっては、くまぬい一匹暴れたくらいで驚く程のコトもなく・・・。

「くまちゃん、身体も一度洗って、乾かしてからごはん食べようね♪」

魔法使いにヒョイと抱えられ、テディベアは回収されてしまったのだった。

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・・・・ああっっ・・・妄想がふくらんで、話が終わらん(^^;)！！！

ここで、こんなお話にお付き合いいただいてる酔狂な皆様に
お願い・・・♪

魔法使い役で、どなたか、出演してくださる方、募集ｗｗｗ！

お名前出してもいいという方、どうぞコメントくださいませ～♪♪♪