Nicotto Town


なんでもないこと


魔女への願い(前編)

ある下級兵士は国のお姫様を警護していました。
歳はお姫様と同じくらい、小さいころから相談役として、そしてお姫様の警護としての
役目を担い、つかず離れずの生活を送ってきたのです。
王様もこの兵士には、姫が結婚するまではずっと守ってほしいと非常に厚い信頼感を
もっていました。

お姫様の方は、この兵士に守ってもらうことを当たり前のようには思っておらず、
身分の差はあれどまるで兄妹のように慕っていました。

そんな生活もすでに10年以上が経ち、お姫様もお年頃。縁談の話が持ち上がって
きました。相手は兵士にはとても及ばない、隣の国の高級貴族の子息で、お姫様に
とって申し分のない身分とお姫様を一生不自由させることのない財産の持ち主でした。

もしお姫様が結婚することになれば兵士の警護の役目は終わりです。
兵士はお姫様の安全と幸せを守ることが使命であるから、お姫様が幸せであれば
自分はどうなろうとも全くかまわないとさえ思っていました。
もちろん兵士にとってお姫様はかけがえのない人でありましたが、絶対に許されない
恋心を抱いていたことも事実でした。


そんなある日、とある女性がこの兵士の前に現れました。全身を黒で統一した
いでたちの女性は兵士に向かって話しかけました。
「私はあなたのその閉ざされた心を解放してあげます。何か望むことがあれば
言いなさい。きっとその望みは叶うでしょう」

兵士はお姫様の幸せを願うため、婚約者にお姫様を幸せにしてもらうことを切に願いました。

「わかった。その願いを叶えてやろう」
そう言って黒づくめの女は兵士の前から姿を消してしまいました。

数日後、お姫様は結婚して兵士の前から離れた所で生活を送ることになりました。
兵士は新たに国王の警護という重要な任務を任されることになりましたが、魂を
抜かれたような毎日でした。

そんなある日、大事件が勃発してしまいました。お姫様が嫁いだ先の国で大規模な
暴動が勃発したのです。相次ぐ飢饉による物価高騰が原因でした。市民は次々に
貴族たちの屋敷を襲い、食糧を盗んでいるのです。

国王への伝令をそばで聞いた兵士は目の色を変え、国王にお姫様のいる屋敷への
警護に向かわせてもらうように直談判をしました。
本来ならば国王に向かってそんなことを言うだけで死罪を与えられてもおかしくは
ないほどの無礼な行いでしたが、国王もこの兵士の気持ちを察してぜひ向かうように
命令しました。

兵士は国王の話を最後まで聞かずに、すぐに城を後にしました。


つづく

アバター
2012/03/19 23:02
後編アップしたよー。
アバター
2012/03/19 20:20
続きを早く (・ω・`人).☆

国王の話 気になりますね><ハッピーエンド以外認めません(´;д;`)




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