Nicotto Town


安寿の仮初めブログ


安寿の『奥の細道/迷い道』 湯けむり編 その2


雨だれがトタン屋根を打つ音で目が覚めます。
「なんだ今日は雨か」と思いきや、外は快晴。

つまり、朝になって日が昇り、屋根に積もった雪が溶け出して、
雨だれとなって下のトタン屋根に降っていたのでした。

7時にご飯がどんぶりに入って届いたので、
炊事場でわかめと豆腐の味噌汁を作り、
納豆・卵・刻みネギと味付け海苔で、
おおお~、なんか旅館の朝食みたいです。  ☆\(ーーメ 旅館にいるんだろうが。

食器を洗い、歯を磨き、そして、朝の入浴へ。

混浴のお風呂の横を通り過ぎれば、女性専用時間帯でもないのに、
中から女性のにぎやかな声が。

覗いてみれば、おばちゃんたちが大挙して湯船を占領している。
「これは同じ女性でも入っていけないわ」と思い、
河原に面した露天風呂の方へ。

あああ、湯気の向こうには朝日に光る雪原がまぶしい~。
立木の枝が雪に覆われていて、
それが朝日に照らされ、風に吹かれて、
パサッ~パサッ~と落ちて行きます。


景色に動きがあって、見る者を飽きさせません。

さて、部屋へと戻って、勉強を始めます。

他にすることがなければ勉強するだろうという、
勉強熱心なのかどうか、かなりあやしい安寿なのですが、
ともかくそういう状況になったので勉強します。

今日は、昨日電車の中で読み続けてきた本を読み終えること。
退屈したら、ドイツ語の単語をチェックし、会話表現も練習しよう。
気分転換したくなったら、お風呂に入ればいい。

そして2時間もたたぬ内に、
気分転換をしに、お風呂へ出かけている安寿がいたのでした。 ☆\(ーーメ

昔は青春18切符を使って旅をしていても、
電車の中で眠たくなるなんてことはなく、
眠たくならないから、結構退屈したものでした。
ですが、最近はすぐ眠ってしまい、終点近くで目覚めることもしばしば。
おかげで退屈はしないのですが、全然本が読み進みません。

なんか物事に取り組む馬力というものがなくなってきているように思います。
ですが、温泉は精力的にしっかりと巡っています。   ☆\(ーーメ

お昼は、まず岩風呂に入って、次に露天風呂とお風呂巡り。

再び外の景色を眺めてみれば
朝には雪の衣を纏っていた立木も、
昼近くになって、すでにすべてを脱ぎ捨てており、
枯れ木となって立ち尽くしている姿は、
まるで朝見たおばちゃんのヌードのよう。  ☆\(ーーメ

そういえば、さっきまで止むことなく聞こえていた雨だれの音も、
雪がほとんど溶け落ちたのでしょう、いつの間にか静かになっています。


さて、お風呂に入った後、ちょっと売店に立ち寄って、
どんなものがあるのか物色してみます。

旅館で売っている土産物のようなものは少なく、
ご飯のおかずになるような缶詰や漬け物、
パンやカップラーメン、それにお菓子やせんべい等々。

お客さんは少ない…、というより、ほとんどいないのですが、
それでも売店はしっかりと開いています。

おばあちゃんと世間話をしながら、
お茶請けのお菓子と漬け物を一つ買って、今日はおしまい。
明日は、豆腐を買いに来ましょうか。

さて、夕方までもう少し読書しましょう。

…そして、5時。
夕飯用のご飯も部屋に届きましたが、思ったよりも読み進んでない。

私の読書は遅いのです。
なぜなら、本と話し合うようにして読むからです。
しかも、その時思ったことを忘れないように、
本の余白に書き込んでいくからです。

ですから、なかなか読み進まなかったことは、
本を読んでいなかったわけでも、
考えていなかったわけでもないのですが、
でも、途中で少し寝ていたような…  ☆\(ーーメ

ともかく夕飯の湯豆腐を作るべく、
鍋に水と昆布を入れ、昆布が戻る間、再びお風呂へ。

夕暮れ時なので、今晩泊まるお客さんが到着したのでしょう。
お風呂場は、ちょっとにぎわっていました。
また、いくつものお風呂をはしごながら身体を温め、
さて、夕食の支度。

今日は湯豆腐に、お昼に買った漬け物。
ご飯もレンジで温め直していただきます。

いただきます。…(中略)…ごちそうさま。

さっと食器類を洗って、お茶を煎れ、再び読書の続きです。

そして、10時半。
最後の章まで到達したので、今日はこれで良しとして、
今日一日の〆のお風呂に入ります。
ついでに歯磨きも。

今日の夜、露天風呂はしんと静まり返っています。
川岸にある露天風呂なのでせせらぎの音は常にしているのですが、
なぜか耳に入ってきません。

今晩は雪が降っていないからでしょうか。
雪の降る音はそれほど大きくないはずですが、
雪が降っていると風景にダイナミックな動きが生まれて、
それが音のように聞こえるのかもしれません。

例えば「ずんずんずん」「どんどんどん」「こんこんこん」と言った感じで、
目が音を捉えるのでしょう。

そう言えば、歌舞伎や文楽の雪が降るシーンでは、
紙吹雪を降らせるだけでなく、太鼓を低く打ち続けます。
本当はそんな音などしていないのに、太鼓の音が低く響き続けると、
あたかも雪が降り積もっているかのように思えるから不思議です。

さて、私も「どんどんどん」と眠たくなってきました。
今日はこれでお開きといたしましょうか。

また続く…

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2012/03/17 22:01
>あくあさん

肩を揉んでもらうように、
読んでいて、まるで頭を柔らかくマッサージしてもらっているかのように感じる文章って
確かにあります。

そういう文章に出会いたいし、そういう文章を書きたいです。
あくあさんにとって、私の文章は、そういうものなのでしょうか。

ちょっと恥ずかしい…。

今回の本はお仕事の本だったので、とても重い内容のものです。
その点から言えば、もみほぐしてくれる文章と言うよりは、かえって肩が凝る文章でした。
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2012/03/17 21:54
>四季さん

あ、私と同じで、女性の一人旅の方、いました。
その方は、自炊せず、一泊だけで帰られたけど。
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2012/03/16 23:58
こんばんは。
以前から安寿さんの文章っていいなーと思っておりました。
言葉の選び方やリズムなど、とても惹かれます。
本をじっくり自分の中に内容を取り込みながら大切に読まれているのですね。
勉強家で読書家、という印象を受けましたが、そういうところが文章に
表れてるんでしょうね。

私も読書は大好きでたくさん本を買いますが、安寿さんとは逆で
読むのが早いんです。考えてないなあ・・・。
同じ本を何度も読むのも好きなので、無意識に一度で読み込まないようにしてるのかも。

今回はどのような本を読まれていたのかなー、と思いながら
楽しませていただいています。
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2012/03/16 23:34
読んでるこちらも心が温まってきそうです^^
続きを楽しみにしていますね

以前より、一人旅には憧れているけれど、あたしにはハードルが高くて実現できていません(´ω`)
つきつけられるような孤独感が、心にポッカリ浮かんできそうなんですね
いずれはチャレンジしたいです^^



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