アーラン
- カテゴリ:日記
- 2012/03/15 20:13:27
地震などの災害が発生すると、被災地域では平常時の通信に比べて安否確認などのため数十倍の通信が発生するため、一時的に通信ネットワークの処理能力オーバーとなり通信ができなくなる状態が発生するといわれています。
早く安否を確認したいのに、電話できないと困ってしまいますね。
20世紀初頭に、デンマークの電話技師アグナー・アーランは、ユーザーに許容される電話サービスを提供するためにはどれだけの回線を用意する必要があるかという通信トラヒックや待ち行列理論を研究しました。このアグナー・アーランの名にちなんで、通信の呼量の単位はアーランとなっています。
単位時間当たりにN回の呼(Call)があり、1回当たりの平均占有時間がtであれば、
呼量=N×t/単位時間
たとえば1時間当たり15回の呼が発生し、1回の呼当たりの平均占有時間が120秒であれば、呼量は15回×120秒/回÷3600秒=0.5アーランとなりますが、1時間当たり60回の呼が発生し、1回の呼当たりの平均占有時間が30秒でも、呼量は60回×30秒/回÷3600秒=0.5アーランとなります。あたりまえですが、占有時間が少なければより多くの呼を処理することができます。
電話網においては、災害などで呼が大量に発生し通信サービス品質を保証できないと判断した時には新しい呼を拒絶する通信規制が発生します。しかしながら、呼量の式から明らかなように通信占有時間を少なくすることで解決する手法もあるのです。1回あたりの呼をすみやかに停止すれば、処理できる呼を多くすることができるので、災害時は短時間の通話につとめたいものです。
電話会社では、呼が生じたときに接続できない確率(呼損率といいます)をあらかじめ定めて回線数を決定しています。こうしないと回線数を最適化できずに、膨大な設備投資が必要になってしまいます。
仮に呼損率 0.1の呼損率表が以下の通りだとします。(呼損率0.1とは、10回に1回は回線が繋がらない状況となることです。)
回線数 呼量(アーラン)
3 1.271
4 2.045
5 2.881
この場合、3回線有れば呼損率0.1で1.271アーランの呼を処理できるということになります。
したがって、呼量が2アーランでは、表から4回線有れば2.045アーランまで処理できるので4回線でよいことが分かりますね。しかし、呼量が2.1アーランならば4回線では足らず、2.881アーランまで処理できる5回線が必要となります。
このことからユーザー数が同じ規模の電話会社なら、回線数が多い電話会社のほうが通信サービス品質がよいらしいことが理解できると思います。
次に通信ネットワークの処理能力の問題を考えて見ます。
現在では、呼の処理はコンピュータで処理されます。次から次へと発生する呼にたいしてコンピュータはどう処理していくのでしょう?
ここで処理プログラムの手法が問題となってきます。多くの呼がある程度たまってから処理するのと、発生する呼ごとにこまめに処理していくのとどちらがよいでしょう?
呼をどう処理するかという手法によっては、コンピュータの処理性能をうまくいかせないのです。このため処理プログラムの優劣が出てきます。通常の処理では同じように見える処理プログラムでも、大量に呼が発生するとまったく異なった処理となるのです。
これは待ち行列の問題でもあります。アーランとは、待ち行列モデルにおける窓口の利用率と同じものなのです。
待ち行列は、スーパーのレジで順番まちをしていると処理性能を実感できますね。
レジ係の段取りが悪いと、なかなか行列がさばけない^^;
かなり緩和できると思いますよ。
最近のネットワークでは、情報更新のための輻輳が多いので、リソースの有効活用のためにはこちらを何とかすべきでしょうね。本来の有効情報に比べてなんとムダが多いことか・・・
学位はそうです。
かなり緩和できるかな~。
でも、ユーザーから文句が出そうね(汗)。
空いている回線をすばやく見つけて、次々に呼を乗せて行くという弁別判断の善し悪しが、
通信ネットワークソフトの性能を決めるのかしら?
こういう話題が出るとは、のめ様は電子工学科の御出身?