Nicotto Town



眠りの森の不美女

今回も前回もその前も、登場人物の性格とか口調の設定はまるきり一緒だったりします^^ゞ


詐欺だ…。

美女が眠ると言うから、茨の森や怪物の棲みかを必死の思いでくぐり抜けて来たと言うのに…
どこが美女なんだ!
「初めまして、オーロラです」
しかも起きてるしっ!!

「あんたさあ、魔女だか何だかの呪いで寝てるんじゃなかったの?」
出してもらったお茶をすすりながらそう言うと、
「ええ、さっき目が覚めたところなんですよ。
そしたら城は蔦だらけだし、城内の者は皆寝てるしでびっくりしたんです」
と、にっこり笑ってそう言った。
いや、にっこり笑ってる場合じゃないだろう?
「ずいぶん呑気なんだな」
「だって、慌てても仕方ないでしょう?」
嫌みのつもりで言ったのに、全然こたえちゃいない。
「んで、これからどうするのさ」
念願の美女がいなかった事にイライラしながらそう言うと、
「そうですね。とりあえず城の皆を起こす方法を探してみます」
「…アテはあるのかよ」
「ないですよ」
何故そう言う絶望的な内容を、笑顔で答えるかな。
なんだかこのまま見捨てて帰るのも、非道な気がしてくるじゃないか。

「どうせヒマだし。おれも手伝うよ」
そのおれの言葉に、「ありがとうございます。助かります」と、にっこり答える。
もしかして、うっかりのせられたんだろうか。
そうも思ったのだが、これからどうするという目的もないのは確かだし、まあいいか。
「それで、まずどっから手をつける?」
「そうですね。・・・う~ん」
悩む事、十数分。待ちくたびれたぞっ。
「あのさ、眠りにつく前の事で何か覚えてないのか?」
「えーと、確か塔の一番上の部屋で、糸紡ぎをしているおばあさんに会ったんですよ」
「んじゃ、とりあえずその部屋へ行ってみようぜ」
そこで、おれ達はその部屋を目指して塔を登ることにした。

イライライライライライライラ…
「すみません、お待たせしました。なにしろ歩くの久し振りで」
「いいよ、別に」
数段上るごとに一休みするオーロラに、つっけんどんにそう返すと、
「ありがとうございます」
と、笑顔が返ってきた。
こいつ…笑えばすむと思ってるんじゃないだろうな。
くそ、階段上ってるせいか、イライラしているせいか、やけに顔が熱いな。

おれが一人で上っていれば、多分十分もかからずに上れたはずの階段を上がりきるのに、結局一時間もかかってしまった。
「やっと辿り着きましたね」
本当にたどり着いたって感じだな。お前一人じゃ階段の途中で遭難してたんじゃないのか?
「それじゃ開けるぞ?」
目の前にある木製の小さな扉が重い音を響かせて開いた向こうには、糸紡ぎをしている老婆がいた。

「おや、よく来たね」
こちらを振り返る老婆を見て、オーロラが「この人です」と言った。
「わたしが眠る直前に会ったのは、このおばあさんです」
「てコトは、この城に呪いを掛けたのもあんたか?」
おれの言葉に、老婆はにやりと笑って言った。
「そうとも。その子が生まれた時に、私だけ祝いの席に呼ばなかった仕返しさ」
その言葉に、オーロラは衝撃を受けたようだった。
「そうなんですか? そんなひどい事をしたなんて、本当に申し訳ありませんでした。怒るのも当たり前ですよね」
…て、おーい。
自分に呪いを掛けた相手に何を言ってるかな。向こうだって驚いてるぞ。
「それで、呪いを解く方法はあるんだろうな」
「あ、ああ。もちろんあるとも」
おれの言葉に、ようやく老婆は我に返ったようだった。
「そうなんですか? ぜひそれを教えてください」
オーロラの言葉に、老婆が答える。
「それはな、お前を真実心から愛する男からのせっぷんを受ける事じゃ」
「え…そんなの無理です」
「そうとも。簡単には解けない。だからこその呪…」
老婆の言葉が終わる前に、おれはオーロラの胸ぐらを掴むと引き寄せ、その唇にキスをした。
その途端、城中が目を覚ました。

いつの間にか老婆(=多分魔女)は姿を消し、部屋にはおれとオーロラの二人だけだった。
顔をのぞきこむと、ぼーぜんと目を見開いている。
まあ、そうだろうな。出会って間もない人間からいきなりキスされたんだし。
おれはそんなオーロラを抱きしめると、「愛してる」と告げた。
最初はどうしたものかと戸惑っていたらしいオーロラが、おずおずと答える。
「わたし、美女じゃないですよ?」
まーな。確かに間違っても美女とは言えないけど、でもそんな事はもうどうでもいいんだ。
お前の笑顔を見ていると、心が安らぐんだよ。
「あの…ありがとうございます」
そう答えるオーロラと顔を合わせると、オーロラは少し照れたように微笑んで、
「嬉しいです」と言った。

茨の森の向こうに、とびっきりの美女はいなかったけど、おれは最高の幸せを手に入れた。


・・・クサッι

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2012/02/27 20:02
ジュンさん、今晩は。
>階段を
そうそう、大人の階段を上ったのですw
なにしろ一時間がかりですし^^;
いや、気の迷いじゃないですよ。きっと、多分、おそらくっ!

みゆさん、今晩は。
救われてますかね。よかったです^^
>美人
自分で『はず』と言ってる時点で現実が透けて見えてる気がw
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2012/02/27 00:28
あ~なんか救われた感じで良いですね(^_-)-☆
まぁぁぁ私は美人のはずですが・・・←これに関しての苦情は受け付けてませんwww
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2012/02/26 23:48
王子は最初、オーロラの笑顔にイラッときてたのに、階段を上がっているうちに愛がめばえたのですね・・・。やっぱ女の弱々しい所に男は魅力を感じるのね・・・不細工でも・・・。でも、それは一時的な気の迷いかも・・・・・マイナス思考のわたし・・・
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2012/02/26 21:03
☪ りょう ☪ さん、今晩は。
ありがとうございます^^
童話は美人多いですよね~。美形なら何でもいいのかって言うくらい^^;
はい、O型です。
>気が合うの
そうなんですか。
私の場合、おおらかというか、大雑把ですけど^^ゞ
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2012/02/26 20:46
こんばんは。
あら、素敵なオーロラ姫のお話ですね。
こういうおっとり系のお姫様って好きです。
童話のお姫様は大抵、何でも出来てしまう美人さんなのでねw
え。安奈さんО型ですか。何でだか気が合うのはОの人が多いです。
マイウェイなB型を受け止めてくれるのは、やっぱりおおらかさ♪
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2012/02/26 19:17
♪~Rin~♪さん、今晩は。
山田く~ん、Rinさんに座布団一枚(笑)
そうか、思った事をうっかりそのまま言ってしまうのは、
O型の血のせいだったんですね(同じくO型な私^^;)
こちらこそうっかり失言が多いと思いますが、よろしくお願いしますm(__)m

シフォンさん、今晩は。
笑っていただいてありがとうございます^^
なんとかまとまりました。
可愛いだなんてそんな…キャ(〃▽〃)(違)

マイ(・ω・さん、今晩は。
御来訪及びコメントありがとうございます。
折角お声をかけていただいたのですが、
サークル活動はあまりする予定はありませんので、
今回は参加を見送らせていたきますね。申し訳ありません。

† 莉紅 †さん、今晩は。
お忙しい中、ありがとうございます^^
優しいんでしょうか、どうなんでしょう?^^ゞ
でもきっと、振り回されつつ「仕方ないなー」と
それなりに楽しい人生を送りそうですw

ღまこっち3さん、今晩は。
実は、書いた時はオーロラ姫、男だったんですよね^^ゞ
さすがに立て続けは不味いかなーと書き直した次第です。
だからいいのw
・・・あれ、そういう意味じゃない?

みちひささん、今晩は。
>男が、すべからく
それはもう、女がすべからくイケメンだけを求めてる訳ではないのと同じですよね。
でも、この主人公は『美女』を求めてたんですよ~…原作と同じでw
いい部分をひとつひとつ見つけられる相手の方が、長続きしますよね。

ゐ故障中さん、今晩は。
全米が泣きましたからww

まりあさん、今晩は。
美の基準は色々変わっても、昔から美人て優遇されてますね^^;
古事記でも、正体不明だけど美形だから結婚するって話もありますしorz
アバター
2012/02/26 17:41
グルーバルのおとぎ話ってさ、「昔むかしあるところに、・・・」のあと、「不細工だけどいいやつがいました・・・」てのは少ないね。

もしそんなお話があれば、幼稚園のお遊戯会で白雪姫が6人とかにならないのに・・・。
アバター
2012/02/26 13:56
イイハナシダナー(;;)
アバター
2012/02/26 06:53
男が、すべからく美女を求めている訳ではないですからねぇw

アタシなんかは、相手の良い部分や愛すべき部分等の個人的に好もしい処が蓄積して好きになります。
初対面で、一目惚れのち日々マイナスされてくのとは逆。

まぁ、飽きると言われる美女よりも慣れてく方を選択・・・かな?
アバター
2012/02/25 23:45
めでたし、めでたし\(^o^)/❤\(^o^)/




                     ・・・でも安奈さん、この終わり方で、いいの??
アバター
2012/02/25 22:55
こんばんわ☆
前作とはまた違った面白さがあったと思いますよん♫
超前向きなオーロラちゃんが可愛いし、
ぶっきらぼうだけど優しい王子?の行動力にもキュン☆
ってなっちゃいそうですww
オーロラちゃんの天然に振り回されながら幸せに暮らすんでしょうねw
アバター
2012/02/25 22:28
初めまして、マイ(・ω・ と申します。
私が管理人を勤めさせてもらっている、「自作小説書いて・見てみませんか?」の宣伝に参りました。
ここでは、自分の小説を宣伝したり、メンバーの小説を見たりするところです。また、自分のおすすめの小説やネタ意見を交換する場でもあります。
交流ができるトピもあり、メンバーとの交流も深めております
興味があったら、一度拝見してくださると嬉しいです。

サークルアドレス⇒
http://www.nicotto.jp/user/circle/index?c_id=181764
アバター
2012/02/25 22:08
冒頭から思わず笑ってしまいましたが
きれいなハッピーエンドになりましたねえ^^
思いっきり楽天的なオーロラちゃんが可愛かったです。
アバター
2012/02/25 22:02
「恋に落ちる」と言いますが。
落ちるどころか、登っちゃったんですね~。(笑)


伝言板のお返事。
私、生まれ持った性分?(血液型O) +10代は体育会畑育ちなせい・・・なのか??
思ったことをズバズバ言ってしまう・・・地雷を踏むとも言うΣ( ̄□ ̄lll)・・・ことが有りな人です。
気を使って話しているうちはいいんですけど、ちょっと気を許すと ボロっと出ます。^^ゞ
こんな私ですが、よろしかったらこれからもお付き合いくださいまし。m(_ _)m




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