優しい兄と泣き虫な弟。【A.S短編*設定Ⅱ】
- カテゴリ:自作小説
- 2012/02/14 18:36:03
――俺の手はいつだって届かない。
届きそうになると大切な人は俺の前から、消えていってしまうから。
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俺たちは昔から、仲の良い兄弟だった。
先祖の代から続く時計屋で、俺は長男として今日も時計を作っていた。
そこへこの世界へ迷い込んだアリスが、やって来るまで。
控えめに扉が開いて、喫茶店のようなベルの音が鳴る。
「いらっしゃい。」
俺は顔も上げずにガラス蓋を磨くのに夢中になっていて、その客がアリスだという事に、声をかけられるまで気づかなかった。
「…あ、あの…!」
澄んだ高い声。
聞き覚えの無いそれにようやく俺は顔を上げ、そして素直に戸惑った。
「…こ、此処って…どこ、なんですか…?」
内心大いに焦っていた。
今考えれば"一目惚れ"なんていう可愛いやつだったのかもしれない。
最大限の勇気を振り絞ったような声に、俺はどう答えるか迷った。
「…どこって……ふ、不思議の国…か……な…。」
しどろもどろに答え、そしてわざとらしく作業に戻る。
これ以上見詰め合っていたら…そう、アレだ。
「ふしぎのくに?え、絵本か何かの中ってことですか?」
とん。と軽い音がして驚いてまた顔を上げると、緩くカールした赤毛の少女がカウンターに手を置いて身を乗り出していた。
滅茶苦茶近かった。
「うえあっ?!」
椅子から転げ落ちていた。
結構痛い。
「え?!あ、あ、あの、大丈夫ですか?!」
派手に尻餅を俺に心配そうにカウンターを回って駆け寄ってくる赤毛。
…俺以上に鈍感らしかった。
「あ、あぁ…うん、大丈夫……あはは…、」
…何をしているんだ俺は。
赤毛に手を貸してもらって立ち上がる。
手が触れたところで赤くなるほど殊勝じゃなかったけど、たまたま赤毛が壁に背を向けていたおかげで俺が立ち上がると、
俺は赤毛を壁まで押しやったような絵になってしまう。
一泊遅れてお互いが紅くなろうかというとき、またベルが鳴いた。
赤毛よりも控えめな扉の開け方。
弟だ。
「ただいまー、兄さ…、っ?!」
ごんっ、と買出しに行っていた弟が籠を落とす音が聴こえた。
「………お、お客…さん…?」
恐らくそう言って苦笑いもとい引き攣り笑いをしているであろう弟の微かに震えた声が背中に投げられる。
俺はここまで来てようやく行動不能から解放され、一つ大きく咳払いをして弟に振り返る。
「お、おかえり、ははは、そう、お客さんだ、ははは。」
…我ながら無様だったと思う。
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そんなこんなで出逢い、赤毛の名前はセーラと言うらしい。
今さっき来たばかりで身寄りが無いというので泊めてやり、それから俺たちは半ば流れで仲良くなっていった。
「…セーラ、」
だから俺は信じられなかった。
弟がそんな事を言うなんて。
「僕は…、」
この場に居た誰よりも驚き、そして恨みでも憎しみでもなく怒りでもなく僻みでもない、得体の知れないどろどろした感情に心が蹂躙されるのを感じた。
「君が、好きだ。」
セーラの返事なんて聞こえなかった。
いや、セーラが何て答えるかなんて解っていた。
だって俺は、あいつの兄貴だから。
そして俺はその日から弟から気づかれないよう距離を置いた。
二人が楽しそうに笑い、手を繋いで、どんどん俺から遠ざかって、俺に笑いかける度に。
"嫉妬"という名の地獄の業火に、焼き焦がされて。
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…駄目だ、兄さんが可愛すぎてどうにかなるわ。
A.S=アリスサークル
だよね、書いてる最中はもう、止めようかとおもt(
息抜きは必要さ、ははh((((((((
個人的には今も現役(
兄さんはね、良い人なんだよ。←
画面が霞んで見えな…っ((
こういう感じの、悲しい感じのお話、好きですが胸が苦しくなります…
クロウ兄さん……(;ω;‘)
息抜きにちょっとやってきちゃいました、テヘh((((
クロウ兄さんがなんとも言えないww
書いてて自分が悲しくなってきたって何なのよ←
クロウ兄さんがセーラを殺しちゃうのも解る気が、(
自分でも少し悩んだ末にw
いつもみたいに「アリスサークル」って入れようとしたら文字数オーバーしたからwwwww
そして不思議の国としか言いようがないのは俺にもわかったww
ASかwwwなるほどねーww