歌舞伎『三人吉三巴白浪』を見てきました。
- カテゴリ:アート/デザイン
- 2012/01/25 20:30:25
「月も朧に白魚の…、
こいつはぁー、春から縁起がいいわぇ~」
河竹黙阿弥作『三人吉三巴白浪』、
お嬢吉三の名台詞でございました。
この芝居、
季節はちょうど節分の頃、
しかも、大雪が降る江戸の町が舞台です。
今風に言えば、
コスプレしている女装趣味の盗人(お嬢吉三)と
ぐれてしまった名家のぼんぼん(お坊吉三)と、
坊主のなりはしているけど、ずっとやくざな世界を渡ってきた破戒坊主(和尚吉三)。
江戸社会の底辺に生きるこの三人が、
縁あって出会い、義兄弟のちぎりを結ぶ。
ですが、その生い立ちや親の因果によって、
生きづらい我が身を感じており、
しかも、それぞれがそれぞれに追い詰められていく…
たとえば、それは
兄弟を自らの手で殺さねばならなくなったり、
遺書をしたため、義兄弟同士、互いに差し違えて死のうとしたり…、
それでも義兄弟をちぎりを結んだお互いを
何とか助けてやりたいと思って、
最期は雪の中での大立ち回り。
華麗に見えて、実は儚く切ない若者たちが、
不運な青春をなんとか支え合いながらも、
破滅に向けて転がり落ちていくようなお話。
他人事じゃないな…。