お姉ちゃんとリリィ
- カテゴリ:自作小説
- 2012/01/20 22:49:48
暗い穴の中をタイマツを頼りに進む。
道は一つだった。
本来、二つ、三つと、別れ道があるはずなのに、別れ道は塞がれていた。
誰かが故意的にボクたちを一つの場所へ導こうとしている。
罠だ。
そう、思ったのはボクだけじゃなかったようで。隣にいる赤髪のスコットが話し出した。
「おい、リルル。やっぱりやめようぜ。この中には黒騎士たちがたくさんいて、とてもじゃないけど勝ち目もなさそうだし、な。やめとこう…それに気づいているだろ?明らかに罠だ!」と、スコットは叫ぶ。
「そうだな…スコット。だが、君がいるから大丈夫だ」と、ボクは答える。
「意味がわからないぜ、どういうことだよ…」と、スコットはむくれ顔だ。
「昨日の夜の魔方陣…あれは事前に描くことはできるのか?」
「ああ、できる。簡単だ。何だ休憩でもしようってのか?」
「それを事前に描いて、ボクの合図で、発動させることは?」
「そんなのはおやすい御用だよ。何故、今そんなことを聞く?今は引き返すか、進むか?だろ?」
「スコット、ルーには何か秘策があるみたい…。それにワタシも思う。あなたの魔方陣…あれはただ休憩をするためだけの魔方陣じゃないって思う。だから、ルーに、いえ、リルに任せてみたら」と、金髪のニナは言う。
「ニナまで、リルルの味方かよ。まぁ、秘策があるならそれでいいけど。ほんとに大丈夫なんだろうな、リルル」
「ああ、いつでも発動できるようにだけしておいてくれ」
「わかった」と、スコットはさらさらと、魔法陣を描き、青い箱を袋から取り出して、青い箱の中に魔法陣を封じ込めた。
これで策はできた。
あとは敵の罠に巡り合うだけだ。
わかりやすい相手で、助かったよ。
黒い大きな扉の前に来た。
その扉が、まださわりもしていないのに、勝手に開く。