Nicotto Town


人生カカト落とし


パズルのピースとガラス片

朝起きると、昔見た光景がTVに映っていた。
十七年。
あのすこし後に離れたけど、一番長く暮らしたのはあの街で、まぁ神戸っ子なのだろう(アニメ『FATE/Zero』の背景でときどき笑っちゃうくらいにはw)
そんなに経った。あのころ生まれた子はもう思春期を迎えている。
あの街の四割の人が震災を知らないのもむべなるかな。
でもって自分も年をとるわけだわな。

思うところが色々ありすぎて他人様に見せるところでは文章にしづらいし、しない方がいいけれど、去年のこともあって、ついあれこれ思い出す。

あの一年くらい後、引っ越しのため書籍を箱に詰め直していた(書棚が壊れたのもあって一部段ボールに詰めたままだった)ら、本のページの間から、ジグソーパズルのピースとガラス片が落ちてきた。

当時、部屋のベッドわきの壁に、ベッドの半分を超す面積のパズルの額をかけていた。絵柄はピーテル・ブリューゲルの『バベルの塔の建設』で、作るのもえらく時間がかかった(かかりすぎて、迷惑がりながら家族みんなが手伝ってくれた)し、大きすぎてそこ以外飾れるところがなかった。
父が厳重に取り付けてくれたので(格好悪いと母がこぼすほどガッチリと)、震災時にも壁からはずれなかったが、額そのものが壊れてパズルのピースが流れ落ちた。

パズルのピースはその一片、ガラスは外れて倒れた(で、わたしがその下敷きになった)スライド本棚の扉に入っていたものだった。
で、本が『Uの世界』の単行本で、エピグラムに「Uは/(略)/YOU ユウ あなた」という文がある、そういう本だ。
本に何の罪もなく、好きな、いまだに大事にしてる本だけど、その時はブン投げた。単なる偶然だが、それでも、いかにもな取り合わせに腹が立った。

去年また大きな地震があって、被害もない場所で浮き足立ってる人に苛立ったり、蚊帳の外でただ苛立ってる自分が嫌になったり、地震にことよせて自分の思うところをうれしそうに主張する連中にハラワタ煮がえくりかえったりしていた。

自分自身は、大きな被害は受けていない。だけど被害の影響、いってみれば「地震が終わってない」ところがあると感じたことがあるし、地震の影響で亡くなった人の数が、本当は公称より多いだろうことも知っている。
昔見たのと似た出来事が、さらに先が見えない形で起きていて、考えるだに胸が重くなる。
あの時の、そして現在の災害で、困難にあっている人に、平穏な日常が戻りますようにと祈りたい気分になる。
神さまをなぞ、信じないけど、ね。




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