神様２０１１
- カテゴリ：小説/詩
- 2011/11/09 23:47:35
川上弘美 著
１９９３年に書かれた短編「神様」と今年書かれた「神様２０１１」の２編が入った本です。
川上弘美は話の中に異世界がスルリと入り込んできてそのまま話がすすんでゆく、
不思議な作家さんです。この話でもフツーに熊と会話してます。
「くま（熊）」 に誘われて川原へ散歩にいくという牧歌的な、ほのぼのとした最初の「神様」。
その同じ話が、福島原発事故を「あのこと」として、書き直されています。
同じようにくまと川原へ散歩に行くのに、防護服を着た人々や、累積被爆量貯金とか、
放射線に対する無知や勘違い、毎日ガイガーカウンターで被爆線量を計測するということが、
同じ話の流れの中で語られます。
何気ない日常が続くことのありがたさ、それがいつ、どんなことで変化してしまうかもしれない
もろさや恐怖、それでも日常は続いてゆき、私たちは生きていかなくてはならない‥
なんてことを考えさせられます。
２編入ってますが、ホントに短い話なので本屋で見かけたら立ち読みしてみてください。
私も一旦は読み終えて棚に戻したんですが、手元に置きたくて再度手に取りました。
ちなみに「神様」とは 「熊の神様」のことです。
「熊の神様のお恵みがあなたの上にも降り注ぎますように」
