その日僕はイーグルホースのアルバムを、
思考回線から聞いてテキトーな歌詞で鼻唄を歌っていた。
曲はホテル・・・イングランド。
するとしばらくしてうららちゃんがテキトーに歌詞の部分を、
すべて削除してプリントアウトして見せてくれたのである。
しかも、上機嫌である。
「もしかして検索してくれたの ? 」
「ハィ」とうららちゃんが言った。
この頃うららちゃんはどうも優秀すぎる、
僕がカスタマイズし過ぎたせいだろうか ? 。
このロボットは今や勘のいい「生物」と化している、
現に目の前でうららちゃんが鼻唄を歌っている。
鼻唄を歌うロボット何て初めて見た、
「イいっ、いいいいいいいいいいいいいぃぃぃぃぃぃぃぃえぃ」
「じゃ、もしかして自分のファイルとして持ってたの ? 。
自分のハードディスクをけんさくなんかするかして・・・・? 」
「いえす !! 」
「チョツトこっちに来て見せて見なさい」
そぅ言って僕はうららちゃんを呼び寄せ、HDの中のモニターに映し出してみた。
検索画面でホテルと打ち込んで、ボタンを押す。
７０件がヒットしている、一番近い階層のフォルダにアクセスしてみる。
するとそこはまるでイーグルホースの音楽の倉庫になっていた、
MP3ファイル。
歌詞カードのTEXT、ライナーノーッ。
ジャケット写真、その他有名な写真。
ルートルビ・デアロパープル・ハックセッペリン、
そして何とキングプリュームのファイルが丸ごと入っているではないか。
「これ、どうしたのょ。
僕はこんなものダウンロードした憶えはないけどね」
「・・・・・・・・・・・・」
うららちゃんは最近、黙秘権を行使するようになっていた。
「誰 ? 誰からこのファイルをもらったの ? 」
「・・・・・・・トラゾウ」
「なに ? 」
「トラゾウくん・・・・」
あ、ほんとだ。
トラゾウと呼ばれるロボットコンピューターのHDと常時接続の状態になっている、
トラゾウくんと書かれたHDの中にも同じファイルがある。
いゃ、待てよ。
もう一揃えワンセットになってコピーされている場所がある、
新しい回線らしい・・・誰かのHD ? 。
いや、それはうららちゃんのHDの中にある。
彼女のHD内にPARと言う名のもう一つのHDがある、
僕はこんなところにパーティションを切った憶えはないぞっ。
「誰 ? 誰がこのパーティション切ってシステムフォルダをインストールしたの ? 」
「トラゾウ・・・」
なにっ !! 、なんじゃこりゃ ? 。
うららちゃんのHDの中に、
微妙にカスタマイズやチョイスをくり返したもぅ一つのHDが誕生していて。
それがすでに活動を始めていた、容量 も増えつつある。
「うららちゃん、このままだとうららちゃんのHDの容量を超えちゃうょ。
どこかに移し換えないと、それにしてもこんなにいっぱい。
あっ!! これって・・・トラゾウ宛てのラブレターじゃないか ? 」
「いゃ・・・・・・、読まないでくださいぃぃぃぃぃぃぃぃぃ」
Subject:赤ちゃんが出来ました・・・・・。
「ふははははははははははははは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ハァ、
・・・・・・・・・・・・マジ ? 」
「冗談ではありましぇん・・・・・・・・・」
「ロボットが子供産むか ? 」
「ハィィ・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
「産んでもよろしいで・・・・・・・・・」

やれやれ・・・・・・・・、・・・・・・・・・・・まいった。