~争いの無い世界~*最強少女の知られざる過去Ⅴ*
- カテゴリ:自作小説
- 2011/11/01 21:11:53
――…確か、この辺だった筈…
翌日。
私は昨日落としたペンダントを探しに昨日の出来事が起こったあの場所へ向かった。
その場に着くと下を見ながら探す。
金色だから、下を見れば太陽の光に反射されてすぐ分かるはずなのに。
下を見ながら歩いていると、誰かにぶつかった。
私は下を向いたまま固まった。
――…ああ?誰だ?
ぶつかられた相手は後ろを振り向く。
――…てめぇ、昨日の奴じゃねーか
…邪魔。
――丁度いい、昨日の借りを返させてもらおうか
…五月蠅い。
――…おい、なんとか言えよクソガキ。
…五月蠅い五月蠅い。
私はまだ下を向いている。
相手はそれに対し感に触ったのか、拳を振り上げる。
――なんとか言えよぉ!!
…五月蠅い五月蠅い五月蠅い
――五月蠅い!!
相手の拳を避け、手首と腕を掴んで背負い投げ。
さっきから見つからなくてイライラしてるのに五月蠅くて仕方がなかった。
気がつくと、私は無意識で人を投げた。
――…ば、化け物…!!
相手は仲間を引き連れ、逃げて行った。
…化け物、か。
ボーっと相手の逃げる背中を見送った。
――…あの…
後ろから声を掛けられ振り向いて警戒する。
が、そこに居たのは弱々しそうな少女。
…そう、昨日助けた一人の召喚族。
――また、あんた?
――二度も…助けられましたね…
…助けた?私は単に八つ当たりをしただけなんだけど…
と、思いながら少女を見る。
――まあ誰でもいいや。私忙しいから、じゃあね
そのまま少女の横を過ぎようとした。
――あ…待って…
後ろから少女は手を伸ばしながら呼ぶ。
けど振り向かない。私とあの子は無関係なんだから。
――待ってよ、藤堂さん!!
後ろで少女は叫ぶ。
その声に私は足を止める。
けど私はただ呼ばれたから足をとめた訳じゃない。
名前を――…教えもしなかった名前を呼んだから。
それから少し振り向いて言った。
――なんで、私の名前を…
――えと…ペンダントの写真…見て…
しどろもどろに答える少女。
ペンダント、という言葉に私は詰め寄った。
――ペンダント、ですって?
――き、昨日…落ちてて…返そうと思ったけど…もう居なくて…
それから何か思い出したかのように鞄から綺麗にハンカチで包まれた私のペンダントを取り出す。
――だ、だから今日返そうと思ってここで…
――…で、昨日の輩に再び絡まれたと。
――…
少女は無言でペンダントを握る。
――わざわざペンダント如きに…あんた、馬鹿じゃないの?
――…っ
私の言葉に少女は顔を俯かせ、ペンダントを持った手を前に差し出す。
私はそれを受け取ると首にぶら下げた。
それから私は少女の方を見る。
まだ顔を俯かせたままで無言で立ち留まっている。
その光景を見て、私はペンダントが見つかった安心感と、また泣かしてしまったのかと罪悪感がごちゃごちゃに混ざる。
声をかけたい。謝りたい。
自分の声で。ちゃんと相手の顔を見て。
―――…けどそれが出来ない。
普通に声かけて謝ればいいのに。
そんな簡単な事なのに。
謝れない。
…私はいつからそんな最低な奴になったのだろう?
酷い言葉をぶつけては謝らず逃げようとする。
今でも走り出したい。逃げ出したい。
気まず過ぎる。どうしていつもこうなんだろう。
――…すいません
――…
黙っていたら向こうが不意に謝ってきた。
…どうして謝るの?悪いのは私なのに。
――私…しつこいですよね。ウザいですよね…
――…
また黙りこむ。
言葉が思いつかない。
相手とのコミュニケーションをあまり取れてない私には、どのタイミングで声をかけるか分からなかった。
――…失礼、します…
一度も私の顔を見ず、そのまま走り出してしまった。
馬鹿だ。何を迷っていたんだ私は。
どうしていつもこうなんだ。
小さな嗚咽を洩らしながら私は歩を進めた。
暫くして、私は大ババ様にあの少女の事を聞いた。
か弱そうなあの容姿。透き通った、濁りが無い声。
癖の無い細く綺麗な茶髪。光に照らされると、輝いて見える綺麗な青色――サファイアの瞳。
その子の家と、その子の名前を尋ねた。
それから私は自分の家に戻り、手紙を羽ペンで綴る。
その手紙を持って、私はその子の家のポストに入れ、インターホンを押して立ち去った。
この内容を残して―――…
―Mir tut es leid.Danke dafür, meinen Anhänger aufzuheben. Rei Todo―
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~続く
久々更新&今月初の小説でっす。
めっちゃ書いたぞ…過去の話ってこんなに書くの大変なのか((シルカ
ちなみに一番最後のはドイツ語ね。
追記。上のドイツ語の奴エキサイトので翻訳しないで^p^意味不な文になるかr((