ポヨは、実は左上の前歯がさし歯になっていて、
それが、ある時取れてしまった。

すぐに歯医者に行けば良いものを、1か月位放置していた。

もちろんその間、うがい薬やら、歯磨き粉やらで、
電動歯ブラシを使いながら、
入念に磨いて消毒したりはしていたのだ。

だから、問題は黴菌が入って化膿した、とかそういう事ではないのだ。
そもそも、そのあたりは、土台がしっかりしているので、心配はない。

問題は別のところにあった。

何せ、話している時にいきなりポロッと落っこちるのだよ。

その時は、「ウッ…！」とか言って、急いで洗面所に駆け込み、
水洗いして、もと通りにしておくのだが、

時々、家の中で突然、前歯がなくなって、
何処へ行ったかわからなくなってしまう、ということもあったりしたのだ。

これが、家の中だからまだ良いようなものの、

例えば、リトモスの最中何ぞだったら、
周りの人は、急に前歯がなくなったポヨに、
さぞかし、『ギョッ！！』と驚くに違いないと思えるのだ。

何という、イメージダウンだ！！
それだけは何としても、断固避けなければならない。

とか言いながらも、一向に歯医者に行こうとしないポヨだったのだ。

ところが、ついにあるまじき悲惨な事件が起こった。

ポヨは、実は身の回りのことは礼儀を失さない程度には気を使うが、
その辺はまことにズサン、
メイクなんぞは何か行事でもない限り、したことはない、という大雑把さなのだよ。

だから、普段はすっぴんのみ。
しかし、さすがに化粧水位はつけないと、顔が乾くので、
顔を洗った後位は、ペタペタと手でつける。

その化粧水もほとんど試供品か、娘の（娘は親の反動で、その辺は入念なのだ）ものか、
オババ様のを失敬するか、亡き母がくれたものとかで、
それもあまり使わないので、一向に減らないのだ。

何だか変な方向に行ってしまったが、要するに髪をカットする時も実にリーズナブル、
今はやりの1000円で10分とかというところで、お手軽にさっさとすませるのだ。
もちろん、髪形はお手入れ簡単なショート。
パーマをかけるわけでもないのに、くせっ毛なので、ちょうど良くなるのだ。
場合によっては、自分でカットすることもあるよ。

そう、ポヨのアバターみたいなものだね。
そういえば、アバター程可愛いわけではないが、
アバターをチラッと見た誰かさんが、
昔のポヨに似ているね、と言ってくれた（ウフフ）。

何だか、どんどん話がそれていくぞ…。

話をもとに戻そう。

それで、何故かは知らないけれど、
誰もお客さんがいないという閉店間際の美容院でカットをしてもらっていたんだけれど、
美容師さんが、とてもお話好きの人だったんだよね。

それで、本当はポヨはボーっとしていたかったんだけれど、
彼女に合わせて
「髪が多いですね」
「そうなんだよね、誰かさんにあげたいよね」
とか馬鹿話をしていたんだけれど、

そう、まさにその時に、歯がポロッと落ちてしまったのさ。
ポヨは思わず、「アーッ、歯が落ちたぁ…」と叫んでしまった。

美容師さんは、多分一瞬「きょとん！」としていたのだろうけれど」
ポヨが、しつこく「歯が落ちたのよね」と言うのを、
何とか理解してくれて、
何だか、とても人間ができている方で、すぐさま探してくれた。
ポヨも探したが、なかなか見つからないので、
もう一人の美容師さんも駆け散じてくれて、
みんなで探したのさ。

何だか、これってとっても恥ずかしい話だよね。
書いてて、何だかとっても気持ちが滅入ってきたよ。

そして、自分のものだからと、良くわかっているポヨが
落っこちている歯を発見し、
洗面所をお借りして、事なきをえたのだけれども。

笑いをこらえている美容師さんたちの姿が目に焼き付いたねぇ。

でも、ポヨはオプティミストだから、嫌なことはすぐに忘れるのさ。
忘れないうちに書けて、良かった（？）かもしれない…。

そして、カットを続行してもらったのだけれど、
その間彼女達は、おくびにも顔に出さなかったね。

ところが、支払いを済ませて、ドアの外に出たとたんに、
後ろの方で、「ゲラゲラ」笑い転げる美容師さんたちの声が聞こえてしまった。

そりゃぁそうだろうとポヨは思うのだよ。
随分我慢してくれていただろう彼女たちに拍手…。

それで、帰ってから家でその話をしたんだよね。
ポヨは懲りないやつで、そこまであったのにもかかわらず、
まだ、歯医者に行こうとしない・・・。

それで、業を煮やしてしまった娘が、
「私が電話するっ！！」とか言って、
強引に歯医者に予約を入れてしまった訳なのだ。

それで、やむなく歯医者に行くことになってしまって、
その結果が抜歯なのさ。

何とか、歯医者までたどり着いた。
けれど、もう字数がそろそろ限界なので、
ポヨは全然そのつもりはなかったのだけれど、
また続き物になってしまったね。

ごめんなさい。ｍ（＿＿）ｍ