しあわせな二人のちょっと愉快なつきあい方
- カテゴリ:人生
- 2011/10/20 06:01:27
「指先と健康」をめぐる、愉快な実話がある。美しくて、タメになるお話である。
私のある友人の奥さんが、病をえて、数日間床についた。いくらかよくなりかけてきたこ
ろ、彼女が彼に「指圧をしてほしい」と訴えた。ガスかたよっているのだが、出てくれない、
気ばって出す力もない。これが出ればスッとして、楽になれるにちがいないから、肋けてく
れ、というのだ。
そこで夫君はシロウトなりに、しかるべきツボらしきところをまさぐりながら、けんめい
に指圧をしてやった。二十分ほどもしてやったそうである。
「もういいわ、ありがとう」といわれて、自分の部屋に引きさがった。奥さんに目的のもの
が一発もなかったことが、気にはなりつつも、また、「そう、すぐに効くというものでもあ
るまいし……」と、あえて思いながら……。
と、彼の腹がグウと鴫った。中で何かがうごめく気配である。……と思う間もなく、豊か
な気体が出口のほうヘドドドと押しよせてきて、大きなヤツが爆発するようにブーッ。すぐ
につぎのが……。また、 つぎのが……。後続部隊が絶え間なく押しよせて、合計十何発も出
たそうである。
かつてなかったほどの現象だから、自分で呆れるやら、おかしくなるやら、自室で一人で
笑いころげたそうだ。笑うのに合わせて、下からも伴奏が鳴ったりして……。
「人が見てたら、おかしな人だと思っただろうねエ。それにしても、おもしろいじやないか。
女房に屁をひらしめようとして、結果はこっちのほうが、お祭りさわぎみたいに出たんだか
らなア。あとで彼女に聞いたら、ご小さいのがチョツト。だけど、それでずいぶん楽になっ
たわ。ありがとう″だってサ。どうなってんの、これ?」
「こうなって」いるんです。指圧というのは、やる人自身の指先にも、強烈な刺激をあ
たえるものだ。めったに加えることのないその刺激を、二十分間もあたえつづけたのだから、
健康で、生命機能の充実していた彼には、ことのほか効いてしまった。内臓にまで強くひび
いて、ただちにああいう結果を生みだしたのだ。
奥さんのほうは、目的物の近辺に刺激を加えたにもかかわらず、生命機能が衰えていたた
めに、チョツトしか出なかったのである。ただし、「それでずいぶん楽になった」は、事実
であったろう。病人にはこのチョツトが、大きいからである。
この美談が教えるところは小さくない。「求める人よりも、あたえる人にこそ、多くのも
のがあたえられる」という真理を、実証しているからである。
じゃあがんばって誰かに指圧してあげなきゃ~^^