青く輝く鳥
- カテゴリ:自作小説
- 2011/10/14 18:35:38
ワタシはニナ・ガランド・・・の続きです。
青く輝く鳥
殺人のあとは気のたかまりを静めるために・・・ボクは血の海の中、手を握ったり、開いたりしていた。
その動作に気を静める効果があるなんてことは聞いたこともなく、ただそれでもボクはやらないと落ち着かないのだ。
愛を与える。
それが自分が生かされている理由ではなかろうか。
ボクは殺人を犯し、奪うことしかできなかったことを謝り、別れの言葉と、旅立ちの言葉を死体に添えていく。
それはボクにとっては一つの儀式みたいなものだ。
誰かに教えられたというわけでもない。
アリを殺した時、カエルを殺した時、小さいとはいえ、命をもてあそんでしまった時に、ボクはこうして儀式みたいなものを執り行ってきた。
やり始めると・・・ニナと、スコットも一緒にやってくれた。その心使い、行動に胸が熱くなるのを抑えられず、何故か「ありがとう」と、つぶやいた。
スコットは「よせやい」などと、照れている。
ニナはただにっこりほほ笑んだ。
ありがたかった・・・。
「ルゥは誰に・・・この儀式を教わったの?」
「わからない・・・。ただそうしたいんだ。こうすると落ち着くってわかるんだ。」と、つぶやいてからボクは叔父のことを思い出した。
叔父、ダクト・アプサラスは「そこに罪があるから、そうするのではなく、天国と共にあるために、そうするのだ」と、よく語ってくれた。アプサラス家の次男に当たる叔父はフィルハーモニー家にて執事をやらせてもらっていると・・・手紙で読んだことがある。
叔父は生きているだろうか。
「ルゥ。人が来る・・・。」と、ニナはボクの袖を引っ張る。
スコットは、「ダクトじぃ」と、驚いた顔をして近寄って来る人間を見つめている。
「そこにいるのはルゥか。わが甥っ子のルゥなのか」
「おじさん!どうしてここに!」・・・何よりも驚かされたのはボクだった。
「フィオル様の執事をやっていると・・・手紙には書いていたと思うが。さては忘れておるな」
「そうでしたか・・・。フィオル様の。ではおじさん、この奥にフィオル様はいるのですね」
「そうじゃな・・・かろうじて。おっとその前に「合言葉」を言ってもらわんとな」と、ダクトおじさんは言う。
「青い鳥・・・」そうつぶやくと、ダクトおじさんの後ろの方で、カチリと、奇怪な音を聞く。
「使者様も御主たちを認めてくれたようじゃ。よかったの」
「使者様?・・・おじさんの他にまだ誰か?」
「気づいておらぬのはルゥよ、お前だけじゃ。周りをよく見てみい」
右手を見ると、スコットが跪いて、下を見ている。
ニナにいたっては両膝をつき、目をつぶって、祈りを捧げている。
ボクは今の今まで死角となっていた右斜め前に視線を移す。
そこには青く輝く鳥がいた。
ボクは慌てて、跪き、血で染まった床を見た。
「『聖霊』に会うのは初めてか、ルゥよ」
「・・・はい。『聖霊』さまのお住まいを血で汚し・・・」
聖霊:気遣いは無用。血に正も邪も無い。床が汚れた・・・それだけのこと。黒き聖剣を持つ者よ・・・カウンターの奥の封印を解いた・・・。階段を下り、白き聖剣を持つ者に会われよ。
それだけ伝えると、青い輝きは徐々に治まり、消えていった。
「ささ、こっちじゃ。早く来い」と、カウンターの奥からダクトおじさんに手招きされてボクたちは歩を進めた。
青い鳥の紋章が描かれている茶色のドアを開けて、ボクたちはロウソク灯りを頼りに下の階へ降りた。
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- マレーナ
- 2011/10/14 23:27
- 「聖霊」が青く輝く鳥って・・・とってもいいね。。^^
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- おおちゃん
- 2011/10/14 19:07
- どうなるんっ(´・艸・`;)
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