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『平家物語』に見る陰陽道 17

○泰山府君
(巻第九 十六 濱軍の事)下p107

 あまりに祕藏して、この馬の祈りの爲にとて、毎月朔日(ついたち)ごとに、泰山府君(たいざんぶくん)をぞ祭られける。その故にや、馬の息も長う、主の命も助けけるこそめでたけれ。
《訳》
(平知盛は)あまりに秘蔵して、この馬の息災の祈祷の為にと、毎月一日ごとに泰山府君を祭られた。そのお陰だろうか、馬の寿命も長く、(馬が)主人の命も助けたのは素晴しい事である。

《解説》
 知盛は清盛の四男で、新中納言。一の谷の戦いで、知盛は生田の森の総大将をしていたが、味方の軍勢は敗走。嫡子の知章(ともあきら)とともに主従三騎で落ち延びるところを源氏方に襲われ、知章達は討たれるが、知盛一騎が海に逃れることが出来る。名馬のお陰で船にたどり着くが、馬を乗せる余地が無く、馬は浜へと追い立てられる。知盛はこの戦いで、嫡子も愛馬も失ってしまう。その名馬の話がこれである。

 下段訳注には、「泰山府君 支那泰山の神。道家・陰陽家で祭る。人の寿命を掌るという」とある。陰陽道でこの神を延命祈願のため祀る。晴明が泰山府君を陰陽道の最高神としたとして、陰陽道総家の安倍家では特にこの祀りに力を入れていたという。泰山府君は早い時期から閻魔王と習合し、冥府で人の寿命と福禄を司る神とされた。泰山府君祭は延命に最も効果的とされた。

 泰山府君にまつわる説話で有名なものに「泣不動縁起」がある。園城寺(三井寺)の高僧が重病に罹り、余命幾許もない。そこで晴明に祈祷が頼まれたが、身代わりがあれば、泰山府君の祭を行ってその命を祀り替えるという。弟子である若い僧がただ一人名乗り出て、祭を行うのだが、このことに感動した不動明王が血涙を流し、我が汝の身代わりになろうと言い、結局師弟ともども延命できたとう話である。平安時代、貴族たちは病気になると延命を願って陰陽師に泰山府君を祀らせた様である。

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2009/05/16 15:15
私も、ここだけしか、知識ありませんが。
広く浅くは、難しいです。
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2009/05/15 19:10
確実に私の知識が偏っているせいだと思います…よくリア友にも「浅く広くじゃなくて一部陥没しながら狭いよね」と言われるので(一部のみ微妙に深いが絶対的な知識の範囲は狭いと言いたいらしい)
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2009/05/14 23:44
斎様

福井の天社土御門神道本庁でも祀られている、最高神です。
泰山府君はメジャーな神と思っていたのですが…。
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2009/05/14 19:19
平家物語に「泰山府君」が出て来るとは思いませんでした…!(驚)
地獄の十王の1人、という認識しか持っていなかったのですが、陰陽道の神でもあったんですね。



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