--------この話はフィクションです。実在する人物、サービス、会社等には一切関係が・・・・多分ありません---------

Pは川縁に仰向けの状態で半ば打ち上げられていた。長身痩躯の若い男だ。肌の色は蒼白いくらい白い。漆黒のシャツと細身の黒のパンツが、余計肌の異様な白さを強調している。
カラスが舞い降りてきて、彼の顔に留まり、鋭いつめが食い込んで彼は目を覚ました。重だるい腕を持ち上げ、カラスを追い払う。
もやがかかっているのでしかとはわからないが、東の空は柔らかな水色の光を帯びてきているものの、まだ薄暗い。夜明け前時刻のようだ。まあ、それだけはいくらか幸運だったと言えるだろう。
このひどいなりである。夜明け前ならば人目につかずに済む。

すでに寒い季節ではないが、初夏の川の水は決して暖かくはない。明け方の風はひんやりして、ずぶぬれの体には冷たい。オマケに水をしたたか飲んでしまっているらしい。息が詰まる。
咳き込んで肺にたまった水を吐き出し、彼はよろよろと立ち上がった。一晩水に浸かっていたため、着ていたシャツとジーンズは下着までずぶぬれだ。体も服も、ひどく冷たいし寒く、鉛のごとく重い。綺麗とは言いがたい川の水を吸い込んでいたため、喉も気管も胸にも、鈍く重い痛みがある。
Pはノスフェラトゥ（不死者）なのだ。何度死んでもよみがえる、不死身の男。

一渡り体を調べてみたが、目に付く外傷はすでにないようだ。しかし、正常に戻るためにエネルギーを使い果たし、例によってひどく腹が減っている。おまけに後頭部にも鈍い痛みが残っていた。
「またやってしまった・・・・・・・・・・」
搾り出すような声でつぶやくと、Pはのろのろと川べりを離れ、水の帯を引きながら、近くの自宅へと向かった。
アパートの部屋によろめき入り、浴室で服をゴミ袋にすべて入れ、熱いシャワーを浴びる。

今回は行きつけのスイーツバーのママに貰ったお菓子を、常連のNがトイレに立った隙に食べてしまおうとしたのだが、最後の一個を口に入れたところで不運にもNが戻ってきてしまったのだった。
彼はNに後頭部を一撃されて、自宅そばの川に投げ込まれたのだ。
（次回は気をつけよう・・・・・・・）
毎度つまらない理由で、彼の秘密を知るNに鬱憤晴らしで殺されているのだった・・・・・・
（まだ、今回は焼かれたとか滅多刺しじゃなかっただけよかったかもしれないな・・・・・・)
そんなことを思いながら乱暴にタオルで体をぬぐった。

しかし彼は多分またNを怒らせるのだろう。そしてまた・・・・・・・

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原案：Nさん
出演：Nさん、ぱぷぅl君
文責：フランカー