Nicotto Town



『精霊の世界、星の記憶』 第11話「光と闇の」②


第二章 アプリコットの野



「光と闇のワルツ」②



(星史はシルビア、ローズ・フローラ、花の精霊たちを見回しながら、大きく息を吸った。)


 朝焼けと夕焼けは

 光と闇の色

 ささやかなこの時間

 愛の色に染まるよ


   いち にぃ さん

   にぃ にぃ さん

   おどるよ

   光と闇のワルツ


   ワン ツゥ スリー

   アン ドゥ トロワ

   はずむよ

   楽しいステップで


 日は昇り日は沈む

 光と闇の時

 手を取って握り合う

 一瞬だけのくちづけ


   いち にぃ さん

   にぃ にぃ さん

   まわるよ

   光と闇のワルツ


   ワン ツゥ スリー

   アン ドゥ トロワ

   見つめる

   幸せの三拍子


星史が歌い終ると、辺りはすごく静かになっていた。

しかし、急に大きな拍手が鳴り響いた。

シルビアはもちろんのこと、花の精霊たちもすごく聞き入っていた。

「セイジ、素晴らしいわ!!」

とローズ・フローラは思わず星史に抱きついた。

星史は驚いて、思わずローズ・フローラの顔を見上げる。

「あっ、ごめんね、セイジ。ねぇ、何ていう曲?」

と言いながら、星史から少し離れた。

「『光と闇のワルツ』」

「『光と闇のワルツ』? こんなに素敵な歌なのに、聞いたことがないわ」

「『光と闇のワルツ』は、僕の歌だから」

「セイジの歌なの?」

「うん、そうだよ。あのね、ローズ・フローラさんのために歌ったんだよ。カトゥルさんのこと、人間のこと、いろいろあるけど、光と闇は表と裏ではなく隣同士なんだ。だから交じり合うことがある。光と闇はいつも手を取り合っているから」

と星史が大人びた表情で穏やかに言った。

ローズ・フローラはとても素直に聞くことができた。

「そう、光と闇は手を取り合っているのね。それは生と死も同じこと。カトゥルは手を伸ばしているのに、わたしが伸ばさなかっただけなのね。そして、この精霊の世界と人間の世界も同じことなのね」

「たぶん、そうだと思う」

「ありがとう、セイジ。『光と闇のワルツ』、わたしと一緒に踊ってくれない?」

星史は黙ったまま大きくうなづいて、ローズ・フローラの手を取った。

そして「ワン ツゥ スリー/アン ドゥ トロワ/見つめる/幸せの三拍子」の部分をハミングする。

そのリズムに合わせて星史とローズ・フローラはワルツを踊り始めた。

二人で『光と闇のワルツ』を歌いながら……。

それを見ていた他の花の精霊たちも、歌に合わせてみんな踊り始めた。

フリージアがシルビアの前に行き、

「セリア=シルビアも一緒に踊りましょう」

と誘い、シルビアも花の精霊たちと一緒にワルツを踊った。

色とりどりの花の精霊たちのワルツが、春の陽ざしのように暖かく輝いている。

ローズ・フローラの花園の薔薇も、アプリコット野の花たちも、みんなみんなワルツに合わせて踊るようにゆれていた。

そこに突然、身も凍るほどの冷たく強い風が吹き上げてきた。

風に舞った花びらは凍っていて、氷の花びらは精霊たちに吹きつけ肌を傷つけていった。

星史の頬にもピリッとした痛みが走った。

#日記広場:自作小説

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2011/09/11 21:54
>あぎょネコさんへ

とても嬉しいコメント、どうもありがとうございます♪(=⌒▽⌒=)

踊りの中でもワルツは一番ゆったりとした自然のリズムのような気がします。

ケトルいいですね!! 本当はケトルがいいのですが、そのまま放置OKの電気ポットですwwσ(^_^;)

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2011/09/11 12:17
ゆったり流れるワルツが、突然の風にかき消されてしまったのでしょうか。
どうしたんだろう、気になる~!!と、思っていたら…。
笛吹きケトルが「お湯が沸いたよ、ピョイ~!!(こんな変な音がするんです^^;)」って呼んだので
現実に引き戻されました(笑)


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2011/09/01 18:38
>若草さんへ

とても嬉しいコメント、どうもありがとうございます♪(=⌒▽⌒=)

いつも読んで下さり、ありがとうございます!!
もう少しお待ちください☆〈*⌒о⌒*)
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2011/08/28 21:06
精霊界で一体何が起こったのでしょか?
先が気になります



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