Nicotto Town



『精霊の世界、星の記憶』 第11話「光と闇の」①

第二章 アプリコットの野


「光と闇のワルツ」①


花の精霊たちは、ローズ・フローラを囲んでいつのまにか輪になっていた。

風に揺れるようなリズムで体を左右に動かし、和気あいあいととても仲が良さそうである。

「マリ=ローズ・フローラ、一緒に歌いましょう」

とある花の精霊が言った。

「はい、ティア=アネモーネ」

とローズ・フローラは答えると輪の中に入って行った。

そしてみんなと一緒に『花のワルツ』を踊りながら歌った


  まわれ まわれ

  花のまわりを

  風といっしょに

  まわれ まわれ

  たのしいワルツ

  花のワルツ

  さぁ いっしょに

  おどりましょう……


「やっぱりマリ=ローズ・フローラいると違うわね!」

と先ほどローズ・フローラを誘った花の精霊アネモーネがしみじみと言う。

「セリア=シルビアと一緒にいる子は、人間かしら?」

と別の花の精霊が聞いた。

「ティア=ポピー、そうです。セイジと言うの」

とローズ・フローラが答える。

「へぇ、不思議ね。また何で人間が……」

とポピーはちょっと右眉をつり上げて言った。

「セフィロス様がお呼びされたそうです」

「ええっ? ウィル・セフィロス(始祖老樹(聖樹)セフィロス様)が!!!」

と静かに聞いていたアネモーネとポピーの声が大きく重なった。

「わたしにもよくわからないけど、セリア=シルビアが一緒なので、だぶん本当のことだと思います」

とローズ・フローラは笑いをこらえながら言う。

「確かに……そうよねぇ」

とアネモーネがうなづきながら言うと、

「うん、そうだね」

とポピーもうなづいた。

「ティア=ローズ・フローラ、あの子わたしと同じくらいかしら?」

と側でずっと聞いていた少し幼い感じの精霊が聞いた。

「うーん、見た目は同じくらいかもね、マリ=フリージア」

とローズ・フローラはお姉さんらしくやさしく答えた。

フリージアは黙ってうなづいて、星史の方をじっと見つめた。

ローズ・フローラは「マリ=フリージアは、セイジのことが気になるみたいね」と思って、ちょっと微笑ましい気分になった。

「セイジ」

と思わずローズ・フローラは声を上げて、星史を呼んだ。

呼ばれた星史は右手を軽く上げて、にこっと笑った。

ローズ・フローラは「あの子、やっぱりカトゥルに似ているわ。とてもやさしく静かな笑い方……」と心が温かくなっていくのを感じながら、星史を手招きする。

手招きされたので、星史はシルビアと一緒に花の精霊たちの輪の中に入って行った。

「『花のワルツ』、とてもいい歌だね」

と星史は花の精霊たちに言う。

「そういえば、セイジのお母さんはシャンソン歌手なのよね」

とローズ・フローラは華やかに微笑みながら、星史を皆に紹介するつもりで言った。

「うん、そうだよ」

と星史は穏やかに言う。

「わたし、シャンソン好きよ!!」

とアネモーネが目を輝かせて言った。

隣で静かに聞いていたシルビアは、

「セイジ、あの歌……えーと『枯葉』?、あれ歌ってあげたら?」

と思わず言ってしまった。

すると星史は少し苦笑いして、

「うーん、あの歌はやめておく」

とシルビアの方に向きながら答えた。

シルビアはちょっと軽率だったかしらと思い、

「あの、ごめんなさい」

と顔色を曇らせながら誤った。

「ううん、別にシルビアがあやまることないよ。あの歌はやめておくけど、別の歌ならいいよ。それでいいかな?」

「うん、ありがとう!」

とシルビアはぱっと顔色を明るくさせて、嬉しそうに笑った。

そのやり取りを見ていたローズ・フローラは「本当に仲が良いわね。でも、本当にあの子はカトゥルに似ているわ」としみじみと思っていた。

花の精霊たちは、人間の子が歌ってくれるということで、何だか楽しそうにしている。

星史はシルビア、ローズ・フローラ、花の精霊たちを見回しながら、大きく息を吸った。

#日記広場:自作小説

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2011/08/26 22:21
>若草さんへ

とても嬉しいコメント、どうもありがとうございます♪(=⌒▽⌒=)

星史くんはとてもすてきな歌を披露してくれます☆
続きUPしました。
よろしければご覧ください!! ^^
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2011/08/25 22:32
星史はどんな歌を精霊に聞かせるのでしょうか
気になります



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