ベクレルとシーベルト 2
- カテゴリ:勉強
- 2011/08/22 21:44:51
ベクレル、グレイ、シーベルト
ベクレル
1ベクレル (Bq) は「1秒あたりに1個の原子核が崩壊する(個/秒)」という放射能の量だ。1秒あたりに10個の原子核が崩壊する物質は10ベクレル。放射性物質の原子の数が多ければ多いほど、ベクレルは大きい値になる。放射能の濃さを比べるときは、1キログラムあたりの物質について(ベクレル/kg)とか、1リットルあたりの水について(ベクレル/L)とか、調べる対象の量を決めて比べる。これがニュースで出てくる量だ。
この文の意味が分からない人は、以下の説明を読んでね。
原子核が崩壊するってどういうことかな?
放射性物質の原子核は、崩壊して別の物質の原子核になろうとする性質がある。原子核1個が崩壊するときに、放射線が1回出る。このときに出る放射線の種類は、崩壊の仕方によって違い、崩壊の仕方は、放射性物質の種類によって違う。
たとえば、ヨウ素131は、まず「β-崩壊(べーたまいなすほうかい)」という崩壊の仕方をする。β-崩壊では、電子(でんし)1個と反電子ニュートリノ1個が飛び出す。この飛び出してくる電子はβ線(べーたせん)の一種だ。これが引き続き「γ崩壊(がんまほうかい)」という崩壊の仕方をして、高エネルギーの光子(こうし)1個が飛び出す。この飛び出してくる光子がγ線(がんません)だ。γ線は、目に見える光と同じ光子の流れだけれど、γ線の波長は目に見える光の波長に比べてとても短い。光子の波長が短いということは、エネルギーが高いということだ。ヨウ素131はこの2通りの崩壊を経由して、最終的に、キセノン131という安定した物質に変わる。
また、プルトニウム239は「α崩壊(あるふぁほうかい)」という崩壊の仕方をして、ウラン235(これもまた放射性物質)に変わる。1回のα崩壊で、α粒子(あるふぁりゅうし)1個が飛び出す。この飛び出してくるα粒子がα線(あるふぁせん)だ。α粒子1個というのは、陽子2個と中性子2個のかたまりでできていて、ヘリウム4の原子核と同じだ。だがα線は、それが高速で飛んでいるような放射線だ。また、α崩壊の直後に引き続いてγ崩壊し、光子1個(γ線)が飛び出す。
1個の原子核が崩壊すると、それは別の物質の原子核に変わる。このため、元の原子核の数も元の原子の数も減っていく。だから同一の物体のベクレルの値は、時間の経過とともに減っていく。そもそも、このような崩壊のしやすさは、物質の原子核の種類によって違う。
崩壊のしやすさを比べるためには、「半減期」という時間を使う。今、同じ物質の原子が何個もあるとしよう。放射性物質の原子は、時間の経過とともにそれぞれ崩壊して別の物質の原子に変わるので、やがて元の放射性物質の原子の個数が半分になる時がやってくる。今からその時までの時間が半減期。原子崩壊しやすい物質の半減期は短い。原子崩壊しにくい物質の半減期は長い。主な物質の半減期は『理科年表』という本の「原子、原子核、素粒子」の項目の「おもな放射性核種(放射性同位体)」という表に載っているよ。
半減期の短い物質が集まった物体のベクレルを測ると、初めのうちは高い数値になるけれど、原子核崩壊してどんどん別の物質に変わってしまうので、時間とともにベクレルの数値が急速に下がっていく。逆に、半減期の長い物質が集まった物体のベクレルの数値は、時間が経過しても目に見えて大きな変化はなく、いつまでも同じくらいの量の放射線を出し続ける。
つづく。。。