~争いの無い世界~*裏切りと新たな敵Ⅷ*
- カテゴリ:自作小説
- 2011/07/29 03:36:46
慧璃「見せてあげましょう、本当の地獄という物を…」
慧璃のその一言で、周りが変わる。
灯りが灯っていたその部屋も、影のようなもので覆われていて少し暗い。
そして―――…
当の本人以外、誰もが皆その場の異様な圧力を感じていた。
塑羅「慧、璃…?」
慧璃「……」
塑羅の声が聞こえてないのか、慧璃は無言だった。
ただ慧璃はネヴァだけを見て、今までと違う鎌を持ち直し、タイミングを見計らうかのように佇む。
その事も知らず、塑羅は話しかける。
塑羅「ねえ、慧――…」
玲「塑羅避けて!!」
塑羅「…!?」
玲の言葉で塑羅は後ろに下がる。
が、完全に避けれなかったのか、慧璃の鎌の先が少しネクタイを斬った。
塑羅「な、何なのよ一体…」
バックステップで玲の元まで来ると、塑羅は玲に尋ねた。
すると言いにくそうな表情で話す。
玲「…暴走だよ」
塑羅「暴走?」
聞き返すと玲はコクリと小さく頷いた。
玲「慧璃は…感情がある条件で達してしまうと今のように暴走してしまうの」
星姫「条件とは…?」
傍で聞いていた星姫が玲に問う。
玲「…多分、ネヴァが慧璃の母親になったからだろうね」
塑羅「けど慧璃は家族の顔も覚えてないんじゃないの?何からの記憶喪失で…」
玲「確かに何らかの記憶喪失で十四歳までの記憶が無い。でもネヴァがあのように変化した上『慧璃の母親』って事を言ったから…多分思い出しちゃったんだろうね」
慧璃「フフ…アハハハッ…!!」
今までの冷静さが嘘のように狂ったように笑い出し、鎌を振り回す慧璃。
それを必死にかわすネヴァは呟くように言った。
ネヴァ「何なんだこいつは…!!」
可憐「…暴走?何が起こったの?」
冷ややかな目で慧璃を見て可憐は言う。
慧璃「さあさあ…!避けてばかりだと全然楽しくないですよぉ…?」
普段と違う様子、口調や喋り方、そして行動。
星姫「玲先輩、なんとかならないんですか!?」
そんな慧璃を見ていられなくなったのか、見ないように目を瞑りつつも玲に頼る。
塑羅「何言ってるのよ!此処は私が…」
玲「ううん、大丈夫」
慧璃を止めようと塑羅は動くが、それを玲が止める。
塑羅「大丈夫って…アンタ、動けないのにどうやって…」
玲「大丈夫だよ、いつまでもこうはしてられないからね」
すると玲は大剣を床に刺し、無理やり立ち上がる。
立ち上がる際に、ブチブチと奇妙な音が鳴る。
大剣に支えられつつも玲は立ち上がると、ズボンに血が染みついていた。
塑羅「血…!」
玲「はは、無理に立ちあがったからまた傷口作っちゃった」
何事もなかったように軽く笑うと、床に刺さった大剣を抜き、構える。
星姫「玲先輩、何を…?」
玲「慧璃を止める。二人は此処に居てね。じゃないと鎌で狩られちゃうから」
冗談のつもりだったのか、そういってから走り出す。
慧璃「これで最後です!」
ネヴァに向かって慧璃は鎌を振り下ろす。
が、玲の大剣によりその一撃は阻止された。
慧璃「なっ…」
玲「もういいじゃん、慧璃。いい加減目を覚ましなよ」
言葉が届いてないのか、鎌に力が入る。
聞こえてない、そう確信すると玲は手をかざす。
その後に小声で何かを唱えた。
詠唱魔法―――…それによって慧璃の力が抜け、眠ってしまい、その場に倒れこむ。
玲「星姫、慧璃をお願い」
星姫「は、はい」
玲「さてネヴァ…今度は私が相手するよ!」
ネヴァ「ふん、幾つかのトラウマを持つお前に何ができる!」
そういってネヴァはまた姿を変える。
過去に亡くしてしまった、それまでいつも優しくしてくれた、自分の母。
それを見て、玲の取った行動は―――――
ズバッ
玲「そんな物…私に通用すると思ってんの?」
玲は一撃でネヴァを切り裂いた。
切り裂かれたネヴァは影となり、消え去った。
玲「最後は…アンタだよ可憐、覚悟しな!」
可憐「……」
片手で大剣を持ち、可憐を差しながら言った。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~続く
次でギリギリ入るかな、うん^p^
やっぱ更新出来る時にしないとね((
ネタ忘れるし((ハ
感想待ってますノノ