Nicotto Town



捏造『浦島太郎』

浦島太郎がいつものように浜辺に釣りに出ると、子供たちが集まって大きな亀をいじめていました。
「へえ~、でかい亀だな」
それだけを言って通り過ぎようとすると…
「おいこら、お前。浦島太郎なら助けろよ!」
その声に太郎が振り向くと、子供たちをけちらして亀がこちらへ向かってくるところでした。

「だって、助けなくてもへーきじゃん」
太郎がそう言うと、
「うるせーよ。浦島太郎がカメを助けるってのはお約束なんだよ。ほら、行くぜ」
そう言うとカメは太郎の腕を掴み、海に向かって歩き始めました。
「ちょーっと待て。どこへ、なんのために、なぜ行かなきゃならないんだよ」
「海底にある竜宮城へ、乙姫様に会うために、カメを助けたから行くんだよ」
「だから、助けてねーだろ?」
太郎の言葉に、亀はびっくりして逃げる事も忘れている子供の元へ太郎を引っ張って行くと
子供が手に持っていた棒を太郎に握らせ…ぽこっ!
それで子供の頭を殴りました。
わーっと泣きながら逃げていく子供たち。
「ほら、これで助けた」
「何言ってんだよ。お前が殴らせたんだろうが」
「往生際の悪い奴だな。いいから行くぞ」
そう言うと亀は太郎の腕を引っ張り、ざばざばと海へ入って行きました。

「あれ? 息ができる」
「当り前だろ。ただ海へ入ったんじゃなくて、空間ごと移動してるんだから」
「へー。一体どういう仕組みなんだ?」
「・・・・・おとぎばなしに理屈を求めるんじゃねー」
「あっそ」
そんな話をしている間に、ふたり(?)は竜宮城の門につきました。
「オレが案内するのはここまでだ。後は勝手に進めよ」
そう言うと、亀はどこかへ泳いで行ってしまいました。
「こんなところにほっぽってくなよ。不親切だな」
「不親切ですみません」
その後ろ姿を見送ってブツブツ言っていると、太郎はいきなり背後から声を掛けられました。
振り返ってみるとそこにいたのは、穏やかな表情をして、十二単のような着物を着た女の人でした。
「初めまして、乙姫です。
この度は亀を助けていただいたそうで、ありがとうございました」
「まあ、その…助けたっつーか、助けさせられたっつーか」
深々と頭を下げる乙姫に、太郎は頭をかきながらそう言いました。
「宴の用意ができてます。どうぞ」

先に立って案内をする乙姫について行くと、たどり着いた大広間には
海藻類を主とした料理の並んだテーブルがありました。
今着いたばかりなのに、ずい分手回しのいい事です。
宴が始まると、乙姫の合図で鯛娘や平目娘が出てきて踊りを披露し、何やらホテルのディナーショーのような展開になりました。
その内、太郎の横に立っていた乙姫まで一緒になって踊り出…そうとし、裳裾を踏ん付けてスッ転ぶと言うハプニングもありましたが、楽しい数時間はあっという間に過ぎて行きました。
「おれ、そろそろ帰らないと。仕事あるし」
すっかり楽しんだ太郎がそう言うと、乙姫はそれはそれは悲しそうな顔で、「え…」と言うのでした。
「もう帰ってしまうんですか?」
そう言って淋しそうに小首を傾げて自分を見上げる乙姫に、太郎はどうしても帰るとは言い辛くなり、「それじゃあ、もう少しだけ…」と、滞在を伸ばすことにしたのでした。
楽しい日々はまたあっという間に過ぎてゆき、太郎も流石に地上の事が心配になってきました。
「あのさ、流石にそろそろ帰りたいんだけど。無断欠勤したままじゃ仕事クビになっちゃうし」
太郎がそう言うと、乙姫は淋しそうに、それでも「仕方がないですね」と言ってくれました。
「では、これを持って行って下さい。そして、たまには私の事も思い出して下さいね」
そう言って竜宮城の扉のところで、玉手箱を手渡してくれました。

「なに・・・これ?」
太郎が地上へ戻ると、そこはとても数日前と同じ場所とは思えないほど、様変わりしていました。
地面には土はなく、石のように固い何かで覆われていますし、空に届くほど背の高い家々も石でできているようです。
しかも、石でできた道には、恐ろしい速さで走る化けものもいます。
ほんの数日と思っていた竜宮城での滞在中、陸上では思いもよらないほどの時間が流れていたのでした。
「さて…これからどうするかな」
とりあえず太郎は砂浜に戻ると、乙姫にもらった玉手箱を開けてみる事にしました。
「この中から乙姫が出てきてくれると嬉しいんだけどな」
そんな事を言いながら紐を解きふたを開けると、中からは白い煙が飛び出し、
太郎はあっという間に包み込まれてしまいました。

その煙が消えると、目の前には乙姫が。
「あれ? 竜宮城?」
「あ、太郎さん。なんで??・・・あ!」
いきなり現れた太郎を不思議そうに見つめていた乙姫が、何かに思い当ったように目を大きく見開き、
「すみません、渡す玉手箱を間違えたみたいです」
そう言うと、ぺこぺこと頭を下げました。
その乙姫の手を取ると、太郎は、「帰って来れて嬉しいよ」と言いました。

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2011/07/29 11:32
みなわさん、こんにちは。
>出版社の公募
すごいですね。
コメントいただいてからずいぶん経ってしまいましたが、
どうなったのでしょうか?

出版は色々大変なのでなかなかできないんではないかと想像しますが、
ネットに掲載したりされる予定はないんですか?


yumoさん、こんにちは。
元の話でも確か着いたらすでに宴の用意ができてた記述があったような気がしたので、
それは変だろうとわざわざツッコミを入れてみたんです^^ゞ
楽しんでいただいてありがとうございました^^

FROSTさん、こんにちは。
>亀さん
確かに、最初からさらう気満々ですしね^^;
やっぱりハッピーエンドの方が後味すっきりー(?)な気がします。
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2011/07/18 23:02
うわぁめでたしめでたしですね!
こんばんは。
これなら納得です。うんうん^^
亀さんはどういうつもりで浦島さんを連れて行ったのか、聞いてみたいです。

牛乳かってくればよかったわぁ。ちっ。(そうそう、雪菜ちゃんが可愛いから!)
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2011/07/18 22:07
こんばんは~

全部おもしろいんですが、

>今着いたばかりなのに、ずい分手回しのいい事です。
↑特にここ、爆笑です。
確かに 着いてすぐ用意が出来てるなんて…怪しい(^_^;
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2011/07/18 22:03
時々、書いてます^^

でも、出版まではね~。

某、出版社の公募に出してみましたが、どう考えてもジャンルが違うので、
どこまで残れるか…。
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2011/07/18 19:59
☪ りょう ☪ さん、今晩は。
ちょうど入れ違ってしまいました^^;
りょうさんにそう言っていただけて、嬉しくもあり恐れ多くもあり^^ゞ
そうそう、亀さんは無害な顔してて、実は結構尊大だったりw
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2011/07/18 19:55
一番下のコメントにも書きましたが、字数制限により尻切れトンボです^^ゞ
読み返してみると、国語の成績の悪かったのがまるわかりな文章力ですだわorz


ღまこっち3さん、今晩は。
なんか、昼メロと言うべきか、一昔前の少女漫画と言うかw
続き楽しみにしてます(笑)

みなわさん、今晩は。
ありがとうございます^^
最近は小説書かれてないんですか?

ジュンさん、今晩は。
楽しんでいただいてありがとうございます^^

莉紅さん、今晩は。
わはは、恐れ多いです^^;
そうそう、それこそあっという間に車にひかれてしまいそうです^^;
>パッドエンド
か、哀しいですw
ふられる太郎さんも楽しいですけどねww

みゆさん、今晩は。
楽しんでいただいてありがとうございます^^
乙姫さんと末永く仲良く暮らして欲しいですw

シフォンさん、今晩は。
こんな亀では今一つ助ける気になりませんね^^;
ちなみに原作も、本来は太郎と乙姫は鶴になって共に暮らすハッピーエンドだそうですよ。
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2011/07/18 19:55
こんばんは。
いやーすてきにおもしろい浦島太郎を読めて楽しかったです。
タウンの亀さんは眠たそうな顔をしていたけれど、あれで案外
やさぐれた物言いなのですねw

それにしてもハッピーエンドで救われてほっとしました。
知らない場所で一人おじいさんになるのは寂しすぎますものね。
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2011/07/18 15:50
本当の浦島太郎も
こんなハッピーエンドなら良かったのに!
ゴーインな亀のキャラが好きです^^
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2011/07/18 08:05
面白い~(^◇^)www
浦島太郎 一人ぼっちにならなくてよかった♪
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2011/07/17 23:08
こんばんわ☆
おぉう!安奈さんのお話が読めるとは!!しかし…捏造ってww
素敵ハッピーエンドで良かったです♪
知らない社会で急にお爺さん。だと途方にくれちゃいますよねーw

でも…ゴメン。
こんなハッピーエンドなのに、少々バッドエンドを想像した僕を許して orz
乙姫玉手箱間違いを詫びる→太郎渾身の告白
 →乙姫正しい玉手箱を渡す「さようなら太郎さん」→結局、太郎は地上に帰るw
 →地上にて太郎、玉手箱を開け、やはりお爺さんに。。。

いやだ!僕の脳内寂し過ぎるww
アバター
2011/07/17 22:50
ハッピーエンドで良かた~。末永くお幸せに~。^^
アバター
2011/07/17 21:20
創作の熱が再燃する、このスチュエーション。
なかなか考えさせられる、ラスト!
アバター
2011/07/17 19:59
「・・・太郎さん・・・あたしも・・・」
「・・・そ、そっか?実は俺も、あんたのこと、さ・・・」


はい、次の方、つづきを、どうぞ!
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2011/07/17 19:21
文字数が足りなくなったので、尻切れトンボ^^ゞ



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