■近代文藝之研究|研究|イブセンの解決劇(9)
- カテゴリ:その他
- 2011/07/16 23:51:50
■近代文藝之研究|研究|イブセンの解決劇 (9)
第三幕。ワ゛ングルが庭の一隅、木陰の濕地、時は夕方、姉妹の娘、リングストランド、後アーンホルムが出て來てボレッタとの二人になり、ボレッタは世間が知りたい、何時までも斯んな田舎に居るのは殘念だと述懷し、父の頼りにならぬ事など言つて、父は弱い人、多く言ふけれども實行の精力の無い人、周圍に常に笑ひ顏があつて、家の内には日光と滿足が無ければ生きて行かれぬ人であるといふ。そこへエリーダが出て來て、三人の話になり、エリーダは、人間の本能の底には悲みがある。人間は始めから邪道に迷つて憂愁を根としてゐるものだと述べる。アーンホルム「私はそれと反對に考へますね、多數の人は愉快に氣輕に生を送つて行く——大きな靜な無意識的な喜びで以て」エリーダ「いゝえ、さうでないのですよ。其の喜びてのは——それはちやうどわたし達が長い明るい夏の日の喜びのやうなものです。暗くなる前兆がその中にあります。この前兆が人間の喜びに蔭をさすのです。」といつて愁ひに堪えない樣子を見て、アーンホルムはワ゛ングルを呼びに行く、ボレッタも同行する。
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*註1:姉妹の娘
「姉」は本書では旧字体も用いられているがここでは新字体。
*註2:田舎
「舎」の旧字体。「人(ヒトカンムリ)」+「舌」。
*註3:述懷・述べる
「述」の旧字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/jyutsu.jpg
*註4:父
「父」の旧字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/hu_chichi.jpg
*註5:頼り
「頼」の旧字体。旁の「頁」が「刀」+「貝」
*註6:弱い
「弱」の旧字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/jyaku_yowai.jpg
*註7:精力
「精」の正字体。旁の「青」の「月」は「円」。
*註8:周圍
「周」の旧字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/syuu_mawari.jpg
*註9:家の内
「内」の旧字体。「冂(=エンガマエ)」+「入」。
*註10:邪道
「道」の旧字体。「シンニョウ」は「二点シンニョウ」。
*註11:迷つて
「迷」の旧字体。「シンニョウ」は「二点シンニョウ」。
*註12:愉快
「愉」の正字体。「リッシンベン」+「兪」。
*註13:送つて
「送」の旧字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/sou.jpg
*註14:無意識的
「識」の正字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/shiki.jpg
*註15:わたし達
「達」の旧字体。「シンニョウ」は「二点シンニョウ」。
*註16:暗く
「暗」の正字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/an_kurai.jpg
*註17:前兆
「前」の旧字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/zen_mae.jpg
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■抱月『近代文藝之研究』を註記なしに通しで読みたいかたは、こちらをどうぞ。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/kbk_tobira.html
■このテキストの原本は国立国会図書館「近代デジタルライブラリー」収録の「近代文芸之研究 / 島村抱月(滝太郎)著 早稲田大学出版部, 明42.6」の画像データに依っています。
http://kindai.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/871630/1
今日のお祭仙台人多いね毎年