ともだち、トモダチ。[六話]
- カテゴリ:自作小説
- 2011/07/10 22:34:26
「・・・・・・・・・・・・・・・・・え?」
紅葉がため息混じりに舌打ちする。
「だぁかぁらぁ、三人の班にするしかないって言ってんの。
耳遠いんですかぁ~~??」
「あ、えっと、あの、」
驚きで上手く舌が回らない。
「わたしは、別にいいんだけど・・・・・・」
私は沙羅の方に目を泳がせる。
沙羅は、目を伏せた。
「・・・・・・じゃあ、決定ね~。」
紅葉が先生の方へ走って行った。
私と沙羅との間に、よどんだ空気が流れる。
「・・・・・・・・・・・・・・・・ごめんね」
沙羅は、そう小さく呟くと、紅葉の方へと駆けて行った。
修学旅行、当日。
「おっはよー!沙羅!!」
紅葉が、私の横を走り抜けて、沙羅に抱きつく。
沙羅は、
「お、おはよう。紅葉。」
と、ぎこちない笑みで返していた。
バスでの移動中、みんながレクリエーションをし始めた。
沙羅と紅葉は、楽しそうにお喋りし、笑っていた。
宿に着くと、部屋に案内された。
同じ班の人は、自動的に同じ部屋になる。
一つの部屋に、二つの班が一緒なのだが、
もう一つの班にも、一緒にいて楽しいような子はいなかった。
それもそうだ。
私には、沙羅しかいないのだから。
一日目は、
班ごとでの自由行動だった。
大仏を見たり、鹿に鹿せんべいをあげたり、神社でお祈りをしたり、
とてもありきたりな所を回ってきた。
夜店でお土産を買う時も、私は一人ぼっちだった。
私にとっては、ただただ、労力を使っただけの一日だった。
――――――――――――事件は、その夜起こった。