潜む言葉
- カテゴリ:小説/詩
- 2011/07/03 22:33:07
潜む言葉
それは違う
そのことをうまく言えない
あなたが正しいようにも思える
でも違う
何か大切なことを見落としている
気分で拒んでいるのではない
でもうまく説明できない
くやしい
「女子供だからわからないのだ」
そんな目で私を見て
平然としているあなた
二重にくやしい
そんなに賢いのなら
私を偽りなく解放してくれる
たった一つの確かな言葉を
教えてくれたらいいでしょうに
それこそ本当の知恵者でしょうに
見落したものだけでなく
見落した自分にすら気がつかない
危機に瀕しているのは
あなたなのだ
だからここで折れてはいけない
わかった振りをしてはいけない
あなたを打つ言葉を持たぬ限り
私もあなたも敗者となる
静かに!
沈黙のソナーが
新たな信号を送ってよこす
聞き漏らさずに解読せよ
まだ暗い底の方にある大切な何か
意識の錘を真っ直ぐ降ろして
コツコツ コツコツ…
それに触れたい
…もう少し
すぐそこにいる
私を自由にし
あなたさえも自由にする
言葉
諦めない
1997/01 初稿
2000/09/18 改訂
2005/08/14 推敲
2011/07/03 推敲
頭で考えたことは、
私の場合、すでに言語化されています。
それを他人に伝えるために整理するのも、
手間のかかる仕事ですが、
この詩で語りたいのは、
まだ思考のまな板の上に、
のぼる以前の、
「もやもや」のことです。
冴えたセンスで、すぱっと言語化したいなあ~。
同じ言葉でも、受け手によってまったく違う意味を持つものになってしまったりも
しますしね。
死ぬまでには『知恵者』になりたいものです。
ああ、きっと私は、
鳩羽さんがもどかしくも見つけられずにいた言葉、
ずっと探していた言葉を
確かに言い当てたのですね。
言葉にしたとしても思いとずれているような気がする。
そして相手も怪訝な顔をする。
諦めず、その一言を発掘する人間でありたいです。