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■近代文藝之研究|研究|イブセン小傳(35)

■近代文藝之研究|研究|イブセン小傳 (五)(5)

此の説に近い見解を持する人の一例は、『戀の喜劇』『ブランド』等の譯者ハーフォード氏である。氏は其の譯書の序文に於いて、イブセンの戀愛の自由は結局此の世以上に超脱すること、即ち肉界を逃るゝことによりて始めて全くせらるべきものであると解した。此に至ればイブセンは樂天的厭世觀に到達したものである。現實の世にあつては、人は啻に社會國家のみならず、人生そのものをも併せて破却するの外は無い。現世に對しては厭世である。併しながら眞理は其の後に於いて全うせられるといふ希望を持つてゐる、樂天的たる所以である、不可解若しくは無光明を以て最後の解決としてゐるものでは無い。さて斯くの如き解釋は、イブセンが思想の傾向から自然に來たるべき哲學であるが、イブセンみづから如何なる程度まで此の種の結論を意識してゐたかは尚ほ研究の餘地ある問題である。



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*註1:此の説に
原本では文頭は前ページの文末より改行なしでつづいている。
「説」の旧字体。旁は「兌」。

*註2:近い
「近」の旧字体。「シンニョウ」は「二点シンニョウ」。

*註3:譯者
「者」の正字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/mono.jpg

*註4:序文
「文」の旧字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/bun_aya.jpg

*註5:肉界
「肉」の旧字体。「冂(=エンガマエ)」+「入」+「人」。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/niku.jpg

*註6:超脱
「脱」の旧字体。旁が「兌」。

*註7:逃るゝ
「逃」の旧字体。「シンニョウ」は「二点シンニョウ」。

*註8:全く
「全」の正字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/zen.jpg

*註9:到達
「達」の旧字体。「シンニョウ」は「二点シンニョウ」。

*註10:啻に
「啻」の正字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/tadani.jpg

*註11:社會
「社」の旧字体。扁の「ネ」は「示」。

*註12:全うせられる
「全」の正字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/zen.jpg

*註13:希望
「望」の正字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/bou.jpg

*註14:所以
「所」の旧字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/tokoro.jpg

*註15:程度
「程」の旧字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/hodo_tei.jpg

*註16:尚ほ
「尚」の旧字体。「ナオガシラ」は「小」。

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http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/kbk_tobira.html
■このテキストの原本は国立国会図書館「近代デジタルライブラリー」収録の「近代文芸之研究 / 島村抱月(滝太郎)著 早稲田大学出版部, 明42.6」の画像データに依っています。
http://kindai.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/871630/1

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2011/06/26 08:41
肉肉・だよ・

雨ダス今日も。ナメクジ調理したら解けちゃう生で食べる勇気ないよ

何でも食べる中国でもナメクジでてないねゲテモノ料理




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