■近代文藝之研究|研究|イブセン小傳(28)
- カテゴリ:その他
- 2011/06/19 08:47:23
■近代文藝之研究|研究|イブセン小傳 (四)(3)
イブセンが他の諸作家に及ぼせる影響は廣大なものである。現時歐洲の眞面目な社會悲劇は殆ど尚ほ多數イブセン式と稱してよい。英のピネロ、獨のズーダーマン等の過去の作が取り分け明らかに此の影響を現したものであることは、人の知る通りである。イブセンの死は今千九百六年五月廿三日。其のクリスチアニアに歸つて以後の生涯は無論尊敬と平和とを以て包まれ、啻に諾威國の誇りたるのみならず、實に歐米文壇の最頂上に輝く大光明であつた。晩年には歩行視聽も自由ならぬまでに老衰してゐたが、去る七十五歳の誕辰には、ひとりブョルンソンのみは自分の室に通じて閑談したといふ。
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*註1:諸作家
「諸」の正字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/syo_moro.jpg
*註2:影響
「響」の旧字体、もしくは正字体だが原本画像不鮮明で確定できず。
旧字体は、
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/kyou_hibiku.jpg
正字体は、
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/kyou_seiji.jpg
*註3:社會
「社」の旧字体。扁の「ネ」は「示」。
*註4:殆ど尚ほ
「尚」の旧字体。「ナオガシラ」は「小」。
原本では「殆と尚ほ」とあるが誤植と思われるので改めた。
*註5:過去
「過」の旧字体。「シンニョウ」は「二点シンニョウ」。
*註6:ピネロ
アーサー・ウイング・ピネロ(Arthur Wing Pinero/1855年〜1934年)のこと。イギリスの劇作家で社会問題をとり上げ、イギリス近代劇の先駆者とされる。『二人目のタンカリー夫人』(1893年)など。
*註7:ズーダーマン
ヘルマン・ズーダーマン(Hermann Sudermann/1857年~1928年)のこと。ドイツの自然主義作家、劇作家。小説『憂愁夫人』(1887年)、戯曲『故郷』(1893年)など。
*註8:取り分け・自分
「分」の旧字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/hun_wakeru.jpg
*註9:通り・通じて
「通」の旧字体。「シンニョウ」は「二点シンニョウ」。
*註10:尊敬
「尊」の旧字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/son_toutoi.jpg
*註11:平和
「平」の旧字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/hei.jpg
*註12:包まれ
「包」の旧字体。「己」が「巳」。
*註13:啻に
「啻」の正字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/tadani.jpg
*註14:文壇
「文」の旧字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/bun_aya.jpg
*註15:最頂上
原本では「最項上」とあるが誤植と思われるので改めた。
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■抱月『近代文藝之研究』を註記なしに通しで読みたいかたは、こちらをどうぞ。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/kbk_tobira.html
■このテキストの原本は国立国会図書館「近代デジタルライブラリー」収録の「近代文芸之研究 / 島村抱月(滝太郎)著 早稲田大学出版部, 明42.6」の画像データに依っています。
http://kindai.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/871630/1
仕事で泣ける人…
考え方を変えてみたら死と隣り合わせの人などが多そうですね(幸福ではないですが…)
普通の仕事(?)をしている人でしたら確かに友達には…^^;
もうすぐ画像とか1年だねここ読んで^^