Nicotto Town



クラス対抗野球大会が始まった。

いよいよクラス対抗野球大会が始まりました。
最初に対戦したクラスのピッチャーを見て息をのんだ。
其の天気図の男子だったのです。
クラスの女子が無邪気に自分のクラスの男子を応援しているのを尻目に私は3塁側に居る相手方のクラスの女子に混じりたい気持ちでした。

最初の一球が投げられました。唖然とするほどのひょろひょろ玉。
こっちのクラスの男子に打てない訳がありません。なぜなら私のクラスの男子は所謂スポーツだけは得意と言う男子が集まってました。赤白に分かれてもうちのクラスが入った方が必ず勝ちました。野球など3カクベースで散々やってきているのです。
スコーンと打たれてあっという間にベースは埋まりました。

私は胸が詰まりました。彼の困惑している姿は見てられませんでした。涙が出てきたのを袖で拭きました。そして祈るような姿でじっとマウンドの彼を見てました。

それをあのバッターボックスのクラスの男子は見てました。そして空振りをしたのです。
その後、全員空振りで点数は入りませんでした。

うちのクラスのピッチャーは更に全身運動神経の塊みたいな奴。一つも相手に打たせません。
次の回も次の回も男子は私の顔を見ながらバッターボックスに立ちました。
相手方の女子の応援は必死です。でもこっちはくら~いい雰囲気がただよってました。
男子が業と空振りをしているのは目にみえてます。
殆どボール玉に手を出しているのですから、少しでも野球を知っているのなら、何が起きているのか当然解ります。

いよいよ9回になりました。其処で男子がタイムを要求しました。
そして私の所に数人寄って来ました。いつもの連中です。
「どうする?どうしてほしい?お前があいつを勝たせたかったら、俺らは負けてやってもいいんだぜ。」
女子が心配そうに私がなんて言うかを見ています。

私は頭を振って言いました。「いい、負けなくていい、此処までしてくれてありがとう。でももういい、もういい・・・。」

その後あっさりと天気図の男子は打たれて満塁で何ても入りそうなのを何とかたぶん5点位だったと思う。其処で抑えて、勿論こっちのピッチャーは一球も打たせませんでした。

荷物を片付けて居る時に相手方の先生と別の先生が話してました。「いい試合だった。勝てないと思っていたけど、案外ゆるい球は打ちにくいんだよな」「誰もピッチャーをやる奴が居なくて、クラス委員のあいつに頼んだんだが、野球を一度もやったことがなくてな。」「だがあそこまで持つとは思わなかったよ」
私は其の先生の前に立って言いました。「ちっとも良い試合じゃない!あんなのでたらめ!私が悪いの!全部私のせいなんだから!」そう言って泣きそうになりながら、或いは泣いて走り去りました。わめいたのは覚えている。

次の日の試合はまた例の一番最初に冷たく振ったあいつがピッチャー。
試合前に男子が私の所に寄ってきて「どうする?どうとでもできるぜ」と言って来ました。
私は「試合を見ないで保健室で寝てくるから、どうとでも好きにしていいよ」と言ってお腹が痛いと言ってさっさと保健室に行ってベットに寝てました。

しばらくして男子達がきて「勝ったぜ。12対0」と報告に来ました。
私は喜んで、にっこにっこと「やったね!」とベットから飛び起きてお腹が治ったと保健室の先生に言ってクラスの男子達と教室に戻りました。
教室では女子も男子も大盛り上がりでした♪




月別アーカイブ

2024

2023

2022

2021

2020

2019

2018

2017

2016

2015

2014

2013

2012

2011


Copyright © 2024 SMILE-LAB Co., Ltd. All Rights Reserved.