創作小説「カルマキル雑技団3」
- カテゴリ:自作小説
- 2011/05/20 21:26:48
平行世界シリーズ
第3話
先に部屋を出たキバを追いかけて後を付いて行く。通い慣れている為か、迷いもせず進む彼、一度も後ろを振り向かない。付いて行くのは必死でないにしろ、全く声をかけない彼に対して怒りにも似た感情が沸き上がってくる。
「シーフィラノ様」
ドアをノックしても返事がなかったため、もう一度声を出して名を呼んだ。
来ることが判っていながら留守をするはずのないことを知っているからこそ、おかしいと気づく。
「シノ様!」
ドアのカギはかかっていなかった。開けた部屋の中から鋭い声が返ってきた。
「キバ、来るな!」
目前には背中を向けたシノの姿。その先には刀身を構えた人物のシルエットが月明かりに照らされて立っていた。
「シノ様!」
剣を振り上げた奴に向かい、躊躇なくキバは脇腹を狙って突っ込んだ。
バランスを失いシノに攻撃不可能となってもさすがは刺客、キバに標準を合わせ直すと鋭く振り下ろした。
その直撃を避けようとして身を引くが、剣先が彼の左腕を傷つけ、十五センチ程の刃傷から鮮血があふれ出ている。それでも一瞬、表情を歪めただけで自らの剣を傷ついていない右手で抜くと、刺客に反撃を繰り出した。
剣術の差はあきらかで、あっと言う間に刺客の手から剣は弾け飛んだ。
壁に追い詰められ苦顔でキバを睨む。
「シノ、どうしたの?」
物音に異常を感じ取った彼女・アルカディアが開いたままのドアから顔を覗かせた。
彼女はシノの婚約者としてこの宮殿で共に暮らしているのだ。
彼女が現れた一瞬の隙をついて刺客は隠し持っていた短剣を懐から取り出し、扉で佇むディアに刃先を向けた。
「ディア」
「アルカディア様」
シノとキバの声が重なる。
刺客の瞳には殺意が感じられる。
彼女をシノの婚約者と知っての攻撃だ。
次代の王妃に何の地位もない、出生さえも確かでないような者を据えることに反発する者は多い。
しかし、彼女を普通の地位すらない娘と思っているところが刺客は甘かった。
女の身でありながら剣術に長けている者はいるのだ。
ディアもその一人である。
素早く右手で刃を避け左手で手首をはたく。
全く予想していなかったらしく、カランとあっけなく音を立てて床に落ちた短剣。
よし、とまだかすかに滑り動く剣に視線動かした時に、男はディアの手を振り払い廊下の窓から外へ飛び降りた。
それはまさに一瞬の出来事。
「大丈夫か、ディア」
シノが彼女の元に駆け寄る。
払った右手に少しケガをしたようだが大したことはなさそうだ。彼女も平気な顔をしている。
「ケガはないな」
キバが傷口を押さえながらセリーナに声をかけた。
彼の声に目前で起こった出来事に何も反応ができずただ見ていたことに気づかされ、悔しさが込み上げてきた。それでもキバにはそんな感情をよみとられたくない。
「私は大丈夫」
毅然と言い放つと、布を取り出して彼の腕の傷口をきつく縛る。
ザクリと裂けた傷からはまだ血が流れ出て赤く染めていく。
「ありがとう」
苦笑ともいえる笑みを浮かべ言ったキバに何故かうれしくなって照れてしまいそうになるのを押さえて平静を装う。
彼には負けたくないという敵愾心と共に。もうひとつ、自分では決めることのできない想いがあることを感じつつ知らないふりをしていた。
【続く】何か月ぶりでしょうか・・・・・・
ホント、すみません><
ていうか、私が小説を書いているのを知らない人もいるんではないかというくらい、久しぶり過ぎの続編でございますw
おかしいなぁw 昔は毎日UPしていたのに……
ということで、ようやくの第3話でございますw
前の話を忘れたーと言う方は、ブログのカテゴリー別でお戻りください(笑)
まだまだ序章のお話ですが、これからもよろしくお願いしますね
昔にUPした小説をまとめて読めるようにアップしなおそうかなと思っております
突然記憶にある話が出てきたら、懐かしいと思ってくださいませw
ちゃんとディアが出てるw
いや~他人の事は言えませんがなぁ~
(オイラも今年に入ってUPしてにゃい・・・なーぜかしらーw)
頑張ってお話を終わらせてね!
(自分にも言ってる・・・・)
待ってましたワ―――ヽ(・∀・)ノ―――イ
私が復活するのを待って投稿してくださったんですね...。゚(●'ω'o)゚。←違う
ディアさんかっこいいです(≧∀≦)
あたしも、震災以来ずうーっと創作意欲がわかず、つい最近またちょろちょろ書き始めたところです。
お仕事もお忙しいと思うけど、また躍動感あるお話が読めて嬉しいです♪
再掲載大歓迎、待っています~♪